ドル円、一時146円台まで下げ幅拡大 先行き不透明感を強める=NY為替概況
ドル円、一時146円台まで下げ幅拡大 先行き不透明感を強める=NY為替概況
きょうも為替市場は円高が強まり、ドル円は一時146円台まで下げ幅を拡大する場面が見られた。140-145円のゾーンへのレベルシフトを試しそうな雰囲気が本格的に出ている状況。本日も市場は先行き不透明感を強め、投資家は方向感を失っている模様。米株式市場ではテスラ<TSLA>を中心にIT・ハイテク株が一斉に売られ、ビットコインも売りが強まっていた。
トランプ大統領の関税と歳出削減策が先行きの不透明感を強めており、政府機関の大量の人員削減が続けば、今後数カ月は雇用創出の足かせとなり、失業率をさらに押し上げる可能性も指摘されている。先週末に発表になった2月の米雇用統計はトランプ政権による政府職員の大量解雇が実施される前の集計で、一部からは3月の数字は遥かに悪い内容になるとの声も聞かれる。
そのような中、円への逃避買いが強まったほか、本日の日本国債の10年物が一時1.58%台まで上昇する中、本邦勢の円資金への回帰も出ていそうだ。日銀の追加利上げだけは明確で、海外勢中心に円高の思惑が強まっているとの指摘も出ていた。
一方、金曜日に米商品先物協会(CFTC)が発表したIMM投機筋の建玉報告によると、投機筋の円ロングポジションは歴史的な高水準となっていた。米国に資金を振り向けにくくなっており、財政拡張路線に転換した欧州や円に資金が流れているという。その分、過熱感も出ており、きかっけがあれば円ロングの巻き戻しが強まる可能性があるとの指摘も出ている。なお、その場合でも150円は強い上値抵抗として機能しそうだという。
ユーロドルは一時1.08ドル台後半まで上昇する場面も見られたが、先週の急上昇からは一服してはいたものの、下押す気配もなく、1.08ドル台での高値圏での推移が続いている。
先週のECB理事会では予想通りに0.25%ポイントの利下げを実施していた。ただ、声明で「金利水準は景気抑制の度合いが有意に低下しつつある」と述べ、追加利下げの可能性にコミットしなかったことで、市場はユーロに対してタカ派になっている。短期金融市場では年内あと2回の利下げを完全には織り込めずにいる。
本日はECB理事のカジミール・スロバキア中銀総裁の発言が伝わっていたが、根強いインフレリスクに対応する中で、次の一手はオープンマインドでいる必要があるとの考えを示している。追加利下げあるいは休止についてあらゆる選択肢を残しておくことを意味すると続けた。
ポンドドルは1.29ドルを挟んで上下動。NY時間にかけて1.29ドル台半ばに上昇したものの、NY時間が本格化すると戻り売りが優勢となり、1.2865ドル付近まで下落。
ポンドドルは1月中旬からのリバウンド相場を継続しており堅調な値動きが続いているが、下方修正の可能性もストラテジストからは出ている。ポンドドルは米国の成長懸念を背景に直近で上昇しているが、買われ過ぎており、一旦の調整局面を示唆しているという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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