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為替相場まとめ10月14日から10月18日の週

為替 

 14日からの週は、ドル高が進行。木曜日の米小売売上高が予想を上振れしたことなど、米経済は想定よりも強いとのイメージが広がった。市場では米金融当局の大幅利下げ観測は後退し、通常ペースでの段階的な利下げを織り込んでいる。円安の動きも目立った。政府・日銀が利上げを急がない姿勢を取っていることが円売り圧力となっている。米金融当局の利下げペースの落ち着きと相まってドル円を押し上げた。ただ、ここ1カ月で約10円幅での円安進行に政府や財務相からは円安けん制発言が出始めている。ドル円の節目である150円台では上値を抑えられている。ユーロやポンドに売り圧力が掛かる場面もあった。ポンドはインフレ指標が予想以上の鈍化したことが売りを誘った。ユーロはドイツの今年のマイナス成長見通しや、ECB理事会での文言が一段階ハト派寄りになったことが売り圧力となっている。ただ、ポンドに関しては週末に発表された英小売売上高が強かったことで買いが入るなど方向性は錯そうしている。リスク動向をみると、中国株の反落の動きは一服した。国慶節前には一連の景気刺激策の発表が中国株を急騰させたが、連休明けには期待感が剥落。中国株には売り圧力が強まった。しかし、週末には、GDP発表や追加刺激策の発表を経て再び中国株が買われている。市場はひと安心となった。

(14日)
 東京市場はスポーツの日の祝日のため休場。

 ロンドン市場では、円安の動き。注目された週末の中国財政省会見で、債券発行の余地が大きくあるとしたことが、追加の財政出動への期待感を市場に広げた。ただ、具体的な内容や数字などはまだ示されず、10月末の全人代までに順次発表される見込みとなっている。上海株は買われたが、連休明けの香港株は上値重く推移とまちまち。また、この日は東京市場がスポーツの日のため休場、NY市場はコロンブスデーのため米債券市場が休場、カナダは感謝祭で休場など取引参加者は少ない。米欧などの主要経済統計発表は予定されていない。欧州株は高安まちまちと方向性に欠けている。米株先物も時間外取引で小高い程度の動き。リスク動向が安定するなかで、先週までのドル高・円安の流れには特段の変化はみられていない。ドル円は149円付近から149円台後半へと上昇。クロス円もロンドン時間に入ってから買いが優勢になっている。ユーロ円は163円挟みの揉み合いから163円台前半へ、ポンド円は194円台後半から195円台前半へと水準を上げてきている。

 NY市場は、ドル買いの動き。ドル円は149円台後半で推移するなか、一時149.95近辺まで上昇した。ただ、150円台には届かず。本日はコロンブスデーで米連邦法では祝日となっており、銀行休業日にもあたる。米国債市場も休場の中、米経済指標の発表もなく手掛かり材料に乏しい日ではあったが、ドル買いの流れは継続している。大統領選が迫るなかで、トランプ氏勝利であれば、ドル高とのシナリオがでていた。財政拡大路線からインフレが再上昇し、FRBの利下げサイクルが突然停止する可能性も指摘されているようだ。ハリス氏の場合は、トランプ氏ほどのドル高にはならないとみられていた。ユーロドルは1.09を一時割り込む場面が見られた。今週は17日木曜日にECB理事会が予定されており、市場は25bpの利下げを確実視している状況。ポンドドルは下値模索を続け、一時1.3030近辺まで下落した。スターマー英首相が国際投資サミットが開かれているロンドンでインタビューに応じ、一部で流れているキャピタルゲイン課税の39%への引き上げ検討の臆測について「的外れ」だと一蹴した。ただ、220億ポンドに上る財政赤字を埋めるためにリーブス財務相はある程度のキャピタルゲイン課税の強化は打ち出すと見られている。

(15日)
 東京市場では、やや円買いが優勢。ドル円は、午前に米10年債利回りの低下などからややドル安傾向となり、一時149.45付近まで下落した。昼過ぎにかけて、いったん149.70台まで戻したものの、東京終盤には再び149.44付近まで軟化した。日経平均が上げ幅を縮小したことや、香港株の下落などからリスク回避の円買いが優勢となった。ユーロ円は午後に一段安。午前に163円ちょうど付近まで下げたあと、いったん163.20台まで戻したが、午後には162.74付近まで下値を広げた。ユーロドルは、人民元安・ドル高傾向を受けて午後に一時1.0886付近まで下落した。

 ロンドン市場で、ドル円は一時149円台を割り込んだ。東京午後からの流れが継続する形でドル売りが優勢だった。米債利回りの低下がロンドン市場でのドル売りを主導した。米10年債利回りはロンドン朝方の4.10%付近から4.06%付近に低下した。ドル円は148.80台に下落している。ユーロ円は162.80台まで買われたあと、再び軟化して162.30台に低下した。ユーロドルは対円での売りに押されて1.0880台まで下落したあとは、ドル安とともに買われて1.0910台に上昇した。特段の目立った材料はみられず、調整主導の値動きだった。

 NY市場では、ドル買いが一服。ドル円は戻り売りに押される形で、一時148円台まで下落した。特段の材料もない中、このところの上げの調整が出ていたようだ。前日は150円の心理的節目を再びうかがう展開を見せていたが、達成できずに伸び悩んでいる。ただ、全体的な情勢に変化はなくリバウンド相場の流れは継続。緩やかな利下げペースというFRBへの市場の期待の変化で、ドル高は当面続くとの見方が広がっているほか、日銀についても慎重な利上げが見込まれている。ユーロドルは1.09ドルちょうど付近の狭い範囲での上下動が続いた。市場は今週17日木曜日のECB理事会での利下げを確実視している。ポンドドルは下げが一服する中、1.30台後半まで一時買い戻された。本日は6-8月の英雇用統計が発表になっていたが、注目の週平均賃金(賞与除く)が前年比4.9%と予想通りではあったものの、4カ月連続で鈍化していた。市場では、英中銀は今回の賃金データに勇気づけられ11月に25bpの利下げを実施し、段階的な追加利下げも検討すると見られていた。

(16日)
 東京市場では、ドル円が下に往って来い。ドル円は149.20付近で取引を開始。午前は安達日銀審議委員が「金融正常化の条件すでに整っている」と発言したことで一時円高となり148.88近辺まで下落した。その後149円台を回復すると、午後の安達日銀審議委員の会見で「円安加速による物価上昇圧力やや低下」などの発言があり、一転して円が売られ、149.30台を付ける動きを見せた。ユーロドルは1.08台後半で揉み合い、午後にはポンドの売りを受けてやや連れ安となった。ユーロ円は午前の円買いに162.12近辺まで下落も、その後162.60台まで回復した。ポンドドルは1.3070前後でもみ合いが続く中、日本時間午後3時の英物価統計を迎え、インフレターゲットの対象であるCPI前年比が+1.7%と予想の+1.9%や前回の+2.2%から鈍化する展開となってポンド売りが強まった。対ドルで1.3010台へ急落。対円では195.20台から194.30台に下落。

 ロンドン市場では、ポンド売りが強まった。日本時間午後3時に発表された英消費者物価指数が前年比+1.7%と前回の+2.2%から大幅に低下したことに反応した。市場予想は+1.9%だった、市場での追加利下げ観測が一段と高まり、英債や英株が買われている。ポンドドルは1.30台後半から1.29台後半へ、ポンド円は195円台前半から193円台後半へ急落した。ユーロポンドもポンド売りに傾いている。ポンド相場が主役となるなかで、ドル円やユーロドルは小動き。ドル円は東京市場後半に買い戻された流れを受けて149.50手前水準まで買われたあとは、149円台前半で揉み合い。ユーロドルは1.08台後半から1.09手前水準での小幅振幅。ユーロ円は162円台でやや円安方向に振れている。米10年債利回りは4.04%付近から4.00%台へと低下、NY原油先物は70ドル台へと低下している。足元では、ポンド売りは一服しており、NY市場待ちとなっている。

 NY市場では、ドル買いが優勢。ドル円は149円台後半まで上昇。心理的節目の150円を再びうかがう展開となっているが、150円に慎重な雰囲気に変化はない。半面、下値を試す動きも限定的でリバウンド相場の流れは継続している。緩やかなペースでの利下げというFRBへの期待の変化で、ドル高は当面続くとの見方が市場に広がっているほか、日銀についても慎重な利上げが期待されている。ただ、FRBが利下げサイクルを開始し、日銀は逆に利上げに着手し始める中で、以前のように160円を超えて上昇すると見ている向きは少ないようだ。ユーロドルは1.08台半ばまで下げ幅を拡大し、200日線を割り込んだ。あすのECB理事会では25bp利下げが織り込み済み。ラガルド総裁が追加利下げを示唆するのかどうかが注目されている。ポンドドルは英インフレ指標の鈍化を受けて下げが加速し、1.30台を割り込んでいる。ただ、今後数カ月でインフレが再加速するとの見方もでていた。

(17日)
 東京市場では、小幅の上下動。ドル円は149.25近辺まで軟化したあとは、149円台半ばへと買い戻された。ユーロ円はドル円同様に午前に円高傾向となり、162.07近辺まで、ポンド円は193.84近辺まで下落した。ともに午後は下げが一服し、この日の安値圏で揉み合っている。9月の豪雇用統計で雇用者数が市場予想を上回ったことなどから豪ドルが買われ、豪ドル円は一時100.23近辺まで上昇した。しかし、上昇は続かず、午後には100円割れに沈んだ。ユーロドルは午後に入ってややドル高に振れ、前日安値を下回る1.0851近辺まで弱含んだ。。日本時間きょう午後9時15分に欧州中央銀行(ECB)政策金利、同9時30分に9月の米小売売上高などの発表を控え、一方的な値動きにはなりにくい展開だった。

 ロンドン市場では、ドル買いが先行も続かず。このあとのECB理事会の金融政策発表、ラガルド総裁会見、米小売売上高や鉱工業生産など一連の米経済指標発表などを控えて、一方向には動きにくい相場展開となっている。序盤はドル買いが優勢だった。ドル円は149円台半ばから一時149.87近辺まで高値を伸ばした。米債利回りが小幅上昇、欧州株の堅調な動きなどがドル買いとともに円売りの動きにつながった。ユーロ円は162円台前半から後半へ、ポンド円は194円付近から194円台後半へと買われた。しかし、足元ではドル円149.60付近、ユーロ円162.50付近で上昇は一服している。ポンド円194台後半で引き続き堅調。ユーロドルは1.08台半ばから後半での小動き、ポンドドルは1.29台後半での揉み合いから一時1.30台乗せとなった。ユーロ対ポンドではややユーロ売りが優勢。ユーロ圏消費者物価・確報値は前年比+1.7%と速報値+1.8%から下方修正された。このあとのECB理事会では25bp利下げがほぼ織り込まれており、ラガルド総裁が今後の利下げペースについて、どのように言及するのかが注目されている。

 NY市場では、ドル買いが強まった。朝方発表の9月の米小売売上高が予想以上に強い内容となったことに反応。米小売売上高は米個人消費の底堅さを示し、短期金融市場ではFRBの利下げ期待を若干後退させている。11月は80%超の確率で25bpの利下げを見込んでいるものの、12月については60%程度まで確率が低下。米国債利回りも上昇する中、ドル円はここ数日拒まれていた150円を突破した。ただ、FRBが利下げサイクルを開始し、日銀は逆に利上げに着手し始める中で、以前のように160円を超えて上昇すると見ている向きはまだ少ない。150円を突破しても以前ほど上値は軽くないことも想定される。ユーロドルは下げが加速し、一時1.0810近辺まで下落する場面が見られた。米小売売上高を受けてのドル買いもあるが、この日のECB理事会を受けてのユーロ自体の下げも加わっている。ユーロは対ポンドでも下落。ECBは予想通りに25bpの利下げを実施した。声明では「ディスインフレのプロセスが順調に進んでいるとし、インフレは来年中に目標の2%まで低下する」とガイダンスの文言をハト派方向に変更していた。その後のラガルド総裁の会見でも市場は追加利下げへの期待を高めた。今回の利下げが全会一致の決定だったと総裁は述べていた。市場ではタカ派な理事もいることから、意見は分かれると見られていたが、全会一致はやや意外だったようだ。ポンドドルはロンドン時間に1.29台での推移が続いていたが、NY時間に入ってからは買いも見られ1.30を挟んでの上下動となった。

(18日)
 東京市場は、ドル円が上値から反落。前日の米小売売上高の好結果を受けて150.30台まで買われたあと、東京朝方も150円台で取引を開始。ドル高・円安の流れが意識されたが、高値からは利益確定の売りなどに押された。朝の三村財務官「投機的な動き含め相場を高い緊張感を持って注視、一方的な動きが見られる」、青木官房副長官「為替市場を高い緊張感を持って注視、安定的推移が望ましい」などの発言が円買いを誘った面もある。午前中に150円を割り込むと、しばらく150円挟みの揉み合いとなった。香港ハンセン、中国本土株の大幅上昇もあって、リスク警戒の動きはそれほど高まっておらず、売り買いが交錯した。しかし、午後には149.70台までもう一段下げている。ドル高に対する調整もあり、ユーロドルは1.08台前半でジリ高の動き。ユーロ円は前日NY終値付近が重く、162円台で推移した。

 ロンドン市場では、ドル買いが一服している。ロンドン朝方に発表された9月英小売売上高が予想から上振れたことを受けてポンド買いが広がった。ポンドドルが1.30台前半から後半へと上昇。ただ、ロンドン勢の本格参加とともにポンドドルは1.30台前半へと反落。ポンド買いは一服した。ポンド円は195円付近から196円付近で上に往って来いとなった。ユーロドルもややドル安方向に動き、1.0850手前まで上昇。その後は1.08台前半で揉み合っている。ドル円は東京朝方の150円台を維持できず、次第に上値が重くなっている。ロンドン午前には一時149.60付近まで下落する場面があった。関係者の発言として「経済・物価はオントラックとの認識共有、今後の利上げ排除せず」と報じられたことに反応した。ただ、「日銀は今月会合での利上げの必要性乏しいとの認識」ともしており、すぐに150円近くへと買い戻されている。ドル指数は反落しており、10月の上昇の流れにやや調整が入っている。

 NY 市場はドル買いが一服する中でドル円は戻り売りが強まり、一時149.35付近まで下げ幅を拡大した。前日の強い米小売売上高を受けての150円台への上昇をほぼ帳消しにした格好。前日の力強い上げから、150円台を完全回復し151円台前半に来ている200日線を試すか注目されたが、きょうのところはその期待は肩透かしに終わっている。

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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