ドル円は上値追いを続け、一気に150円台後半に急上昇=NY為替概況
ドル円は上値追いを続け、一気に150円台後半に急上昇=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は上値追いを続け、一気に150円台後半に急上昇した。NY時間に入ってドル高が再び強まったこともドル円を押し上げた。FRBが重要視するインフレ指標である6月のPCE価格指数が発表になったが、パウエル議長の慎重姿勢を裏付ける内容ではあった。
本日は円安もドル円をサポート。植田総裁が「25年度の物価見通しの上方修正だけで金融政策は左右されない」と発言したことで、早期利上げに慎重との受け止めから、円相場は円安の方向に戻している。日銀もFRB同様に、関税の影響を慎重に見極めたいようだ。
市場の注目は明日の7月の米雇用統計へと移っている。この日発表の米新規失業保険申請件数は引き続き強い米労働市場を示唆していたが、明日の米雇用統計もパウエル議長の慎重姿勢を裏付けるか注目される。
前日のパウエル議長の会見を受けて、短期的にはドル高の流れに落ち着いたようだ。ただ、長期的にはドル安との見方は
根強く、どこまでドル高の流れを維持できるかは不明だが、ドル円については、一気に200日線を上抜き、心理的節目の150円台も回復。明日の米雇用統計を経て高値水準を維持できるか注目される。
ユーロドルは買戻しが出ていたものの、依然として上値は重い印象。1.14ドル台は維持していたものの、積極的に買い戻す気配はく、下値でのショートカバーが入る程度の値動きとなっていた。前日はFOMCを受けてドル高が加速し、ユーロドルは一時1.14ドルちょうど付近まで下落。100日線が本日1.13ドル台半ばに来ており、目先の下値メドとして意識される。
短期金融市場では、ECBが年末まで金利を2%に据え置くとの見方が一段と強まっており、年内にもう1回の追加利下げの予想を後退させている。年内の利下げ確率も50%未満に低下している状況。先週初めには完全に織り込んでいた。この日発表のドイツとフランスのインフレ指標が上昇したことがきかっけとなっている模様。
ECBは先週の理事会で金利の据え置きを決定したほか、ラガルド総裁は利下げ停止を視野に入れる状況にあることを示唆していた。前日にパウエル議長が、FOMC後の会見で、利下げの慎重姿勢を強調していたことも意識されている模様。
ポンドドルはNY時間に入って下げを一服させたものの、下向きの流れは続いており、一時1.31ドル台に下落する場面も見られた。本日の下げで100日線を下放れる展開が見られており、本日1.2980ドル近辺に控えている200日線を視野に入れた展開になるか注目される。
来週は英中銀が金融政策委員会(MPC)を予定しているが、利下げが確実視されている。ただ、ストラテジストからは、英中銀が来週実施す利下げについて、広く予想されているため、投資家の反応は限定的となる可能性があると指摘している。
「現在の評価水準を見ると、市場の反応は抑制されたものに留まるだろう。引き続き四半期ごとの利下げペースを反映している」と述べている。「決定における委員の投票の分かれ方や、議事録の説明部分に市場は注目すると見られる」とも述べた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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