ドル円、再度145円台に上昇も維持できず=NY為替概況
ドル円、再度145円台に上昇も維持できず=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円はNY時間に入って再び買い戻しが優勢となり、再度145円台に上昇した。しかし、直ぐにドル売りが強まり145円台はまたしても維持できていない。ただ下押す動きもなく、FOMC後のレンジ相場の上限だった144.50円の水準は維持している。
ドル円の買い戻しについては、市場が米経済のソフトランディング期待の証拠を探している中、この日発表の米経済指標が底堅い内容で米株式市場や米国債利回りも上昇したことが下値を支えたようだ。
市場は先週のFOMCの大幅利下げを受けて、FRBは景気を支援するために積極的に動くとの印象が広がっている。短期金融市場では11月のFOMCでの0.50%ポイントの大幅利下げの確率を50%程度で見ている。
本日は日銀の議事要旨が公表されていたが、経済・物価見通しが実現なら利上げ継続が適当という認識で一致していた。ただ、アナリストからは日本のインフレは安定せず、日銀はあと1回、金利を0.50%までに引き上げるのが精一杯であることから来年はさらに円安が進むとの見通しも出ている。
来年の日本のインフレは目標の2%を下回る水準に留まると予想している。そのうえで「来年の円はやや弱含む可能性が高い。しかし、ドル高を伴った円安は年後半のみで、その時はドル円は大幅に上昇する可能性がある」と述べている。
ユーロドルは1.11ドル台後半に戻した。前日に1.12ドル台を回復したものの滞空時間が短く、1.11ドル台前半に押し戻されていた。ECBの利下げ期待が根強く、市場では10月の理事会での利下げを本格的に織り込み始めている。ユーロ圏経済が低迷していることが最大の要因だが、中でもドイツ経済への懸念がユーロの上値を重くしている。
そのドイツ経済について、同国の5大経済研究所がこの日発表した最新予測によると、同国の今年のGDP見通しは0.1%減と若干のマイナス成長を見込んでいる。今年3月時点の予測では0.1%のプラス成長だった。
景気低迷に加え、構造変化もドイツ経済の重しになっているという。脱炭素化やデジタル化、人口動態の変化、そして中国企業との競争激化はドイツ経済の長期的な成長を鈍化させる構造的な調整プロセスを引き起こしていると指摘している。
ポンドドルは再び上値追いの動きとなり、一時1.3435ドル付近まで上昇し、2022年3月以来の高値水準を更新している。先週の英中銀の金融政策委員会(MPC)を受けて上昇トレンドの勢いが増している。英中銀は足元のサービスインフレをなお警戒しており、FRBやECBのような思い切った利下げはできないとの見方が引き続きポンドを支えている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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