【これからの見通し】週初のパニック相場からは次第に落ち着くが、まだ後遺症は残る
【これからの見通し】週初のパニック相場からは次第に落ち着くが、まだ後遺症は残る
今週は週初に歴史的な恐怖・パニック相場を示現した。前の週に、植田日銀総裁が今後の追加利上げの可能性に言及し、さらに米雇用統計が弱含んだことが米景気減速懸念を広げたことが背景。これまで蓄積してきた株高や円安のパワーが一気に放出され、相場は逆回転することとなった。日経平均が歴史的な急落となり、円相場も141円台まで投げ売り状態となった。しかし、その後の揺り戻しの動きも急となり、市場ボラティリティーは最高潮に達した。
負のパワーを落ち着かせたのが、内田日銀副総裁の「市場が不安定な時は金利の引き上げはしない」との発言だった。米経済統計も相場の落ち着きに寄与した。ISM非製造業景気指数が予想外の好転をみせたことや、昨日の新規失業保険申請件数の減少などが米株式市場のムードを明るくした。米金融当局者発言も市場の過剰反応に釘を刺した。1週間以内に米緊急利下げといった極端な市場観測は後退している。
ただ、市場の過剰反応の動きはまだ冷め切ってはいない。ドル円1週間ボラティリティーは18%程度と、1カ月よりもまだ4%超の開きがある。VIX指数は23台へと急速に低下してきているが、来週に米消費者物価発表を控えていることもあり、安心はできない水準だ。
来週は夏季休暇ムードが広がり、8月後半にはジャクソンホール会合も控える。薄商いとなりやすいなかで、相場大変動の後遺症はしばらく残りそうだ。
この後の海外市場ではカナダ雇用統計(7月)が発表されるくらいで、反応はカナダドルの局地戦にとどまりそうだ。主要な金融当局者の発言イベントなどは予定されていない。
minkabu PRESS編集部 松木秀明
執筆者 : MINKABU PRESS
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