為替相場まとめ5月20日から5月24日の週
20日からの週は、ドル買いが優勢だった。4月以降続いたドル安傾向が一服している。一連の米金融当局者からは年内利下げについて慎重な見方が相次いだ。FOMC議事録では高金利を維持する必要が示され、状況次第では利上げの可能性を残した。FOMC会合時と比較するとタカ派の印象を市場に与えた。また、経済指標の手掛かりは少なかったが、米PMI速報値が上振れしたこともドル高に寄与した。ドル円相場は157円台へと水準を上げているが、イエレン米財務長官が「為替介入は稀であるべき」と繰り返したことで為替介入警戒が後退する面もあった。ユーロドルは1.08台で上値重く推移。ポンドドルは1.27台後半まで上昇したあとは買いが一服した。クロス円は全般に円安基調だった。NYダウが4万ドルの上昇するなど株式市場の好調な動きが背景だった。
(20日)
東京市場で、ドル円は上に往って来い。先週末終値付近の155.60前後でスタートしたあと、午前中は買いが優勢に。仲値に関連したドル買い注文入ったほか、日経平均の大幅高など株高を受けたリスク選好の円売りが入った。155.94近辺まで買われた後は、午後にかけて155.60台まで反落した。ユーロ円も同様に169円付近から169.60付近まで買われ、4月29日以来の高値水準をつけた。その後は169.30台までの反落。ユーロドルは1.08台後半での強保ち合いだった。
ロンドン市場では、円買いが入ったあとはドル買い・円売り優勢に転じた。ドル円は155.70付近から一時155.50付近まで下押し、その後は全般的なドル高のなかで156円台前半へと買われている。ユーロ円も169.50付近から169.00台まで下落。東京午後に入って円債利回りの上昇などが目立っていたことを受けて、ロンドン勢が円買いをトライした格好。しかし、ユーロドルが1.0880台から1.0850台へ、ポンドドルは1.2700台から1.2690前後へと軟化。ドル円の反発を受けて、ユーロ円は169円台前半から後半へ、ポンド円は197円台後半から198円台半ばへと買われた。特段の材料はみられなかった。
NY市場では、根強い円安の動き。ドル買いの動き自体は一服も、ドル円は156円台乗せから底堅く推移している。米国債利回りが上昇したことがドル円をサポート。また、円安の動きが根強く、対ドルのみならず、ユーロやポンドといった対クロスでも円は軟調に推移した。円債利回り上昇で、日米国債のイールドプレミアムも過去2週間で縮小している。ただ、ドル円は底堅い推移を続けている。ユーロドルは下げが一服し、1.08台で底堅く推移。ECBがFRBに先駆けて利下げに踏み切ることにいまや、ほとんど疑いの余地はないと見られている。織り込み済みといったところだ。ポンドドルは4月初旬に上値抵抗となった1.27台を回復している。ユーロ円は169円台後半、ポンド円は198円円台後半へと上昇した。この日は値動き主導で、材料に欠ける展開だった。
(21日)
東京市場では、ドル円が上昇。前日からの円安傾向が継続し、午後には156.55近辺に高値を伸ばした。ユーロ円も169.94近辺と、4月29日以来の170円台に迫る動きをみせた。香港ハンセン指数の2%を超える下げなどに見られるアジア株全般の軟調地合いも、円売りの流れを止められず。日米金利差を意識したドル買い円売りなどがドル円、クロス円全体を支えた。ロンドン勢に本格参加を前に、やや円高方向に押し戻され、ドル円は156.30付近ユーロ円は169.75付近まで反落した。ポンド円は朝の198.40台から198.91近辺まで買われたあとは、上昇一服。ユーロドルは1.0851-1.0862レンジ。ポンドドルも1.27台前半で揉み合った。
ロンドン市場では、ドル円が上値重く推移。振幅を伴いながらも上値を抑えられ、ロンドン中盤には一時156円台割れまで軟化した。ただ、目立った経済指標の発表予定などがなく、ポジション調整など値動き主導の展開だった。ユーロドルは1.08台半ばから後半で上に往って来い。ポンドドルも1.27台前半での小動き。ユーロ円は169円台半ばから後半、ポンド円は198.50付近を軸に上下動。
NY市場では、ドル円が下落。一時155円台に下押しされる場面があった。手掛かり材料に乏しい中で全体的に様子見の雰囲気が強まる中、本日は米国債利回りが低下していたことでドル円も戻り売りに押された模様。ただ、売り一巡後は156円台に戻した。ウォラー理事は利上げには否定的な見解を示したものの利下げには良好なインフレあと数カ月必要との認識を示していた。ボスティック総裁は第4四半期の利下げの可能性に言及。インフレが今後も緩やかに鈍化するとの見方を改めて表明していた。FOMC委員の利下げに慎重な発言に対する市場の反応も一巡して来ているのか、本日は利回りとドル円は下げの反応を見せていたようだ。ユーロドルは1.08台後半に上昇した後、NY時間に入ると1.08台半ばに反落した。ポンドドルは1.27を挟んだ振幅。ベイリー英中銀総裁は、レポオペの大幅増に市場は備えるべきだと述べ、保有債券を現水準から大きく減らす方針を示唆していた。
(22日)
東京市場では、NZドルが買われた。NZ中銀金融政策会合で政策金利が予想通り据え置かれた。議事要旨で今回の会合で利上げを議論したことが示されたほか、声明などもインフレ警戒の姿勢が強くみられるタカ派なものとなった。また、四半期に一度示される見通しで政策金利水準見通しが引き上げられ約6割の利上げ織り込みとなった。利下げ開始についても後ずれした。NZドル円は95円台前半から96円台乗せ。その後は売りが出て95円台後半推移となった。ドル円のレンジは156.11から156.36まで。 ユーロドルは1.852-1.0864のレンジ。15時の英物価統計は予想を超える伸びとなり、ポンドは対ドル、対円で急騰している。
ロンドン市場では、ドル買いが優勢。日本時間午後3時発表の4月英消費者物価指数が予想を上回ったことで、市場における英中銀の早期利下げ観測が後退した。前年比は+2.3%と前回の+3.2%から大きく減速したが市場予想+2.1%を上回った。さらに、サービスCPIは前年比+5.9%と市場予想+5.4%を大幅に上回り、前回の+6.0%からほどんど減速しなかった。ポンドドルは1.2710付近から一時1.2760付近まで急伸。対円や対ユーロでもポンド買いが広がった。しかし、米債利回りの上昇とともに、総じてドル買い圧力が優勢に。ポンドドルは1.27台前半へと反落。ユーロドルは1.0860台まで小幅上昇したあと、1.0830台と安値を広げている。ドル円は東京市場からのジリ高の動きが継続し、高値を156.50付近に伸ばした。クロス円は、ポンド円の上昇後は次第に売りに押される展開。英インフレの結果や米債利回り上昇などが警戒感となったもよう。ポンド円は198円台半ばから199円台半ばまで買われたあとは199円付近へと反落。ユーロ円は170円手前で上値を抑えられると169円台半ばへと下げており、東京朝方からは上に往って来い。東京時間に買われたNZドルも、対ドル、対円ともに上昇一服。
NY市場では、ドル買いが優勢。午後に公表されたFOMC議事録では「政策金利をより長期に高水準での維持が望ましい」との見解で一致していたほか、様々な参加者が必要なら追加引き締めに前向きになっていることが明らかとなった。前回FOMC後のパウエルFRB議長の会見では利上げに否定的な見解が示されていたが、それらと比べると若干タカ派な印象も広がった模様。ドル円は156.70近辺に上昇。ユーロドルは1.08台前半にやや値を落とした。レーン・フィンランド中銀総裁の発言が伝わっていたが、インフレと賃金の伸び鈍化が6月に利下げを実施する強いケースになると述べていた。ポンドドルは1.27台で上下動。英金利動向について、エコノミストからは様々な見方が出ており、4月のデータの多くが一過性のもので6月の可能性が全く無くなったとは言えないが、8月が最も可能性が高いとの指摘の一方、再利上げの可能性も否定できないとの声まで出ている。この日発表された英消費者物価指数は前年比+2.3%と一気にインフレ目標に接近したが、市場予想は上回った。また、注目されていたサービスCPIが前年比5.9%と前回の6.0%からさほど鈍化しなかった。市場の6月利下げ期待は大きく後退している。
(23日)
東京市場は、連日のNZドル高。第1四半期のNZ小売売上高が予想外の増加となったことで上昇。日経平均や米株価指数先物の時間外取引の上昇も、リスク動向に敏感なNZドル買いにつながった。NZドル/ドルは0.6123付近まで、NZドル円は95.98付近まで一時上昇した。ドル円は、午前に前日のドル高の流れを引き継ぎ、2日以来3週間ぶりの高値水準となる156.90付近まで上昇。しかし、上げは持続せず午後には156.70台を中心に揉み合った。13日に減額があった日銀の国債買い入れオペは、きょうは据え置きとなったが、市場の反応は限られた。ユーロドルは1.0820台を中心に膠着。ユーロ円は午前にドル円と同様に買いが入り一時169.88付近まで上昇。しかし、その後は169.60台まで押し戻された。
ロンドン市場では、ドル相場が小反落している。前日の米FOMC議事録を受けたドル高の動きに調整が入る格好。また、この日発表された一連の5月PMI速報値で、ユーロ圏が回復する一方で、英国は予想外の低下を示したことが、ユーロ買い・ポンド売りの動きにつながった。ユーロドルは1.08台前半から半ばへと上昇。一方、ポンドドルは1.27台前半で方向感に欠ける振幅となっている。より明瞭なのがユーロポンドの値動きで、0.85ちょうど付近から0.8530付近へと水準を上げている。ドル円は156.50台まで下押しされたあとは156.80付近まで反発も、その後は上値を抑えられている。米10年債利回りは4.41%付近から4.445%付近で上に往って来い。米株先物は時間外取引でナスダック主導で買われている。ユーロ円は170円付近へと底堅く推移、ポンド円は199円台で方向感なく振幅している。
NY市場では、ドル買いが優勢。5月の米PMIが予想外に強い内容となったことでドル高の反応が見られた。米国債利回りも上昇し、ドル円は売りオーダーが観測されていた157円台を一時回復。しかし、終盤には米株式市場が大幅安となったことで156円台に戻す展開となった。米PMIは5月上旬の米企業活動が過去2年間で最も速いペースで加速したことが示唆され、仕入価格も9月以来の2番目の高水準に上昇し、販売価格指数も上昇していた。インフレの粘着性を示唆する内容でもあり、FRBが高金利を長期化させる理由を与えている。前日のFOMC議事録で市場にタカ派な雰囲気が広がる中、予想を上回る米PMIに敏感に反応したようだ。ユーロドルは伸び悩む展開。序盤は1.0860付近まで買い戻されていたが、1.08台前半に値を落とした。ポンドドルは1.27台割れ。
(24日)
東京市場では、ドル円が堅調地合いを維持している。前日NY市場で、ドル円は米PMIの好結果を受けて157.20近辺まで高値を伸ばした。東京朝方は156.90台で取引を開始、午前中に157円台を回復すると昼過ぎには157.15近辺まで上昇。その後は、株安によるリスク警戒もあって157円付近で値動きが落ち着いた。ユーロドルは1.0806-1.0815までのレンジで揉み合い。ユーロ円は169円台後半での取引。ポンドドルは日本時間午後3時の英小売売上高が予想を大幅に下回り、一時売りに押されたが、1.2676近辺まで下げたあとすぐに1.2690付近に戻した。
ロンドン市場では、ドル売りが優勢。米三連休を控えて、前日までのドル高の流れに調整が入る格好となっている。米10年債利回りは4.46-4.48%での揉み合いと落ち着いている。株式市場では前日の米株安を受けて欧州株が軟調も、時間外取引の米株先物は反発している。ドル円は157円台前半から157円台割れ水準へとじり安の動き。ユーロドルは1.08台前半から半ばをうかがう動き。ポンドドルは日本時間午後3時発表の英小売売上高が予想外の大幅低下となったことで一瞬売られたが、すぐに値を戻すと1.26台後半から1.27台前半へと買われている。クロス円は総じて堅調。ユーロ円は169円台後半から170円台前半へ、ポンド円は199円台前半から後半へと上昇している。ユーロ対ポンドの値動きは、英小売売上高発表時に一時ユーロ買いに傾いたあとは、すぐに押し戻されており、方向性には欠けている。
NY市場は前日までのドル買いは一服していたものの円売りも根強く、ドル円は157円付近での底堅い値動きが続いた。ユーロ円やポンド円といったクロス円は上値追いが続き、ポンド円は介入前の200円台に一時上昇する場面も見られた。
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執筆者 : MINKABU PRESS
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