【来週の注目材料】米PCEデフレータに注目
29日に2月の米個人消費支出(PCE)デフレータが発表されます。米国のインフレターゲットの対象でもある同指標だけに、今後の利下げ開始時期に関する予想にも大きな影響を与えます。
同系統の指標である2月の米消費者物価指数(CPI)は前年比+3.2%と、1月の+3.1%から伸びが強まりました。市場予想は前回から横ばいの+3.1%でした。食品とエネルギーを除くコアは前年比+3.8%と1月の+3.9%から伸びが鈍化も、市場予想の+3.7%を上回る伸びとなっています。またコアは前月比も市場予想を上回る伸びとなりました。
2月のガソリン小売価格が1月から上昇した影響で、ガソリンの前年比が-3.9%と1月の-6.4%から下落幅が縮小。その影響でエネルギー価格全体も前年比-1.9%と1月の-4.6%から下落幅が縮小しており、全体の強さにつながりました。
コア部門では2022年11月から前年比マイナスが続く中古車が今回もマイナスになるなど、自動車の弱さなどもあって財部門が2カ月連続でマイナス圏となりました。
一方サービスは減少傾向が続くものの前年比+5.2%と水準的にはかなり強めとなっています。もっともこれは住居費が+5.7%と高い水準になっているためです。住居費自体も1月の+6.0%から伸びが鈍化しており、強めながら、物価の鈍化傾向は継続という結果になりました。
こうした状況を受けて今回のPCEデフレータですが、市場予想は+2.5%とCPI同様に1月の+2.4%から伸びが強まる見込みです。コアPCEは+2.8%と1月と同水準が見込まれています。全体にCPIよりも低めに出ていますが、これは代替品(同系統の品目で値段の安い方に需要が移ることです)を考慮していることに加え、直近かなり高い水準にある住居費が指標全体に占める割合がCPIよりもかなり低いことがあります。
コアに関しては、CPIは予想よりも強かったとはいえ1月から鈍化しましたが、PCEの中で全体に占める割合がCPIよりもかなり高い医療費が1月から2月で上昇していたことなどが背景にあると見られます。
なお、今月の米連邦公開市場委員会(SEP)で示された物価見通しでは、2024年末時点でのPCEデフレータの水準が+2.4%で、12月に示した前回見通しと一致する一方、コアPCEは2.6%と前回の+2.4%から上方修正されています。今回の発表でコアの伸びが予想に反して前回を上回るなどの数字が見られると、物価への警戒感が広がり、ぎりぎり年3回の利下げとなっていたFRBの政策金利見通しが2回に落ちる可能性があります。
MINKABU PRESS 山岡和雅

執筆者 : MINKABU PRESS
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