円急伸が一服 ドル円は一時145円台を回復 米雇用統計が予想上回る=NY為替概況
円急伸が一服 ドル円は一時145円台を回復 米雇用統計が予想上回る=NY為替概況
きょうのNY為替市場、前日の円急伸が一服し、ドル円は145円台を回復する場面も見られた。この日発表の米雇用統計が予想を上回ったことでドル買いが強まり、ドル円は一時145円台を回復している。ただ、145円台に入ると戻り待ちの売りオーダーも並んでいるようで上値は重い。ドル自体は買い戻しが続いているものの、円高の動きがドル円の上値を抑えている。
テクニカル勢からは、前日の急落でドル円の上昇トレンドは一旦終了し、目先は下落トレンドを加速させる可能性が高いとの指摘が出ている。前日の急落で下落モメンタムが大きく強まっており、下げがさらに加速する可能性も台頭しているという。節目の140円を下回り、139.60円まで下落する可能性もあり得るという。ただし、それを下回れば下げは鈍化するとも付け加えた。
米雇用統計については、本日の数字からは労働市場の減速は確認できず、市場が期待している来年のFRBの積極利下げへの期待は正当化できない。短期金融市場でも米利下げ期待が後退していたが、5月までの利下げは完全に織り込んでいる状況に変化はなく、市場の期待が大きな変化を見せているわけではない。
今週のドル円は日銀への思惑を高め、一時141円台まで急落した。氷見野副総裁の発言と前日の植田総裁の参議院財政金融委員会での説明が、市場の早期緩和解除への期待を一気に高めている。植田総裁は今後の金融政策の運営について、「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになると思っている」と述べていた。
「チャレンジング」という英語を海外経験が豊富な総裁がどういう意味合いで使ったのか、もしくは、市場が受け取ったのかは不明だが、短期金融市場では4月までのマイナス金利解除でなお織り込み続けている。
ユーロドルは1.07ドル台で上下動。ユーロドルは今月に入ってからの戻り売りが継続しているが、本日の下げで200日線を下放れる展開となり、100日線も下回っている。来週は各国中銀の年内最後の政策委員が予定され、ECBも14日に理事会を開催する。市場では来年の早期利下げ期待が高まっているが、一部からは来年後半までECBが利下げを開始する可能性は低いとの見方も出ている。直近のユーロ圏消費者物価指数(HICP)は予想以上に低下したが、ECBが早期利下げに踏み切るにはまだ不十分だという。
最終的にインフレが広範な弱含みを示し、労働市場が急速に冷え込むようであれば、ECBも積極的な利下げが視野に入れてくる可能性があるという。来年末のECBの中銀預金金利は3.50%を予想しているようだ。市場は2.50%程度の可能性まで想定している。
ポンドドルは一時1.25ドルちょうど付近に下落し、21日線を下回る場面が見られたものの、1.25ドル台は維持された。ポンドの置かれている状況に変化はない。来週は英中銀金融政策委員会(MPC)が予定されているが、10月の英消費者物価指数(CPI)が予想以上に鈍化したこともあり、英中銀は政策を据え置くと見られている。しかし、サービスインフレは依然として高く、第4四半期に景気が勢いを取り戻した兆候もある中で、委員の何名かはまだ利上げを主張すると見られているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。