米10年債の急低下でドル下落 ドル円も149円台半ばに下落=NY為替概況
米10年債の急低下でドル下落 ドル円も149円台半ばに下落=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となり、ドル円は149.55円付近まで一時下落。一時5%台に上昇した米10年債が急速に下げに転じたことがドル売りを誘発した模様。特に材料は見当たらないものの、10年債利回りの5%は短期的にピークの水準とも見られており、値ごろ感の買い戻し(利回り低下)が入ったのかもしれない。
今週は来週のFOMCに向けて委員が発言を控えるブラックアウト期間に入っているが、先週のパウエルFRB議長の講演内容からすると、今回は利上げは見送るものの、追加利上げはもうないとの市場の観測には一石を投じていたようだ。来週のFOMCはその通りの内容になるのではとの見方がコンセンサスになっている。
ただ、ドル円についてはむしろ、FOMCの前にある日銀決定会合に注目が集まっている模様。展望レポートでのインフレ見通しの上方修正は市場もほぼ確実視しているようだが、それに伴ってイールドカーブ・コントロール(YCC)も修正するのではとの思惑が広がっている。その場合、短期的に積み上がっている円ショートの巻き返しが過度に加速する可能性は警戒される。
ユーロドルは一時1.0675ドル近辺まで買い戻された。本日の21日線が1.0555ドル付近に来ており、その水準を上放れる展開。特にユーロ自体に買い材料はないが、このところのドル高の動きに一服感が出始めており、ドルロングを落とす動きが出ているようだ。
今週はECB理事会が予定されているが、市場では据え置きが確実視されている。一方、足元のインフレは緩みつつあるとはいえ、なお高水準での推移が続いており、ECBは追加利上げの可能性は残すものと見られている。ただ、市場ではドイツの第3四半期のマイナス成長が確実視されるなど、景気の先行き不透明感が強まる中で、ECBの利上げサイクルはすでに終了しているとの見方は根強くある。むしろ、来年の利下げに焦点を当てている市場関係者も少なくない。
一部からは、ECBによる利下げは早ければ3月にも始まる可能性があるが、その規模は現在の市場の想定よりも大きくなる可能性があるとの見方が出ている。来年のECBの利下げ幅を計1.00%ポイントと予想しており、市場が織り込んでいる0.60%ポイントを上回るという。仮に3月に利下げが実現しなかったとしても、その場合でも現在の市場価格に比べてより多くの利下げが織り込まれる可能性があり、短期間に連続して実施される可能性があるという。
ポンドドルも買い戻しが膨らみ、1.22ドル台半ばを回復。本日の21日線は1.2185ドル付近に来ているが、その水準を上回る動きが見られ、明日以降の動きが注目される。先週後半の日足のローソク足は下髭を付けており、リバウンド相場への期待を高めるチャート的の形状も見せている。
明日は製造業およびサービス業の10月の英PMI速報値が発表される。予想では依然として50を下回り、引き続き縮小圏に留まると予想されている。もし、予想を上回る内容であっても、英中銀は11月2日の金融政策委員会(MPC)で金利を据え置くという市場の予想を変えることはないとの見方が出ている。先週発表された英小売売上高とインフレが景気の脆弱化を示したことをその理由に挙げている。なお、明日は英雇用統計も発表される。
*英製造業PMI(速報)(10月)24日17:30
予想 44.5 前回 44.3
*英非製造業PMI(速報)(10月)24日17:30
予想 49.2 前回 49.3
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。