国際最低課税を超富裕層にも

　多国籍企業に対する最低課税の導入を働きかけてきた独立研究機関「ＥＵタックス・オブザーバトリー」は、同じように超富裕層に対する国際最低課税で合意できれば税収を著しく押し上げることができるとの見解を示した。ブルームバーグが伝えた。

　パリ経済学院を拠点とする同組織が発表した研究結果によると、世界の超富裕層２７５０人の富に対して２％を課税すれば、年間２５００億ドル程度の税収押し上げが見込める。超富裕層では個人の実効税率が富の推定０－０．５％に過ぎないと分析している。

　経済学者スティグリッツ氏はリポートの前書きで「税制を巡る明らかな不均衡が民主主義の正常な機能を損ない、格差を広げ、制度への信頼を弱めるとともに社会契約をむしばんでいる」と指摘。「われわれが企業に求めたことを、今度は超富裕層に求めなければならない。今こそ、超富裕層に対する国際最低課税を確立する時だ」と述べた。

　ＥＵタックス・オブザーバトリーによると、超富裕層は持ち株会社を使って所得税を回避できることが多く、実効税率が低い傾向にある。フランス、アメリカ、オランダの例を挙げ、これが超富裕層に対する平均税率の急激な低下を招いているという。