ドル円は139円台に上昇 FOMC議事録の反応は一時的=NY為替概況
ドル円は139円台に上昇 FOMC議事録の反応は一時的=NY為替概況
きょうのNY為替市場、きょうもドル買いが優勢となり、ドル円は139円台に上昇した。午後にFOMC議事録が公表され、若干ドル売りの反応が見られたものの、一時的な反応に留まった。ドル円は139円ちょうど付近まで値を落としたが、139円台は維持している。
議事録では、追加利上げへの支持を巡ってFOMC委員の意見が分かれていたことが示されたほか、データ依存のアプローチを強調し、利下げについては可能性が低いとしていた。このところのFOMC委員からのタカ派な発言がドル買いを誘発しており、その意味でも本日の議事録で何らかのヒントが出るか注目されたが、新たな材料はない。ただ、市場が警戒していたほどタカ派ではない印象もあった。
ドル円は上値追いを続け、戻り売りは出るものの、下値での押し目買い意欲も強く、140円を試す展開を堅持している。
米債務上限問題については、依然として具体的な合意はなく、にらみ合いの状況が続いている。共和党側は大胆な歳出削減を求めているが、それに対するバイデン大統領を始めとした民主党側の抵抗も大きい。期限切れぎりぎりまで交渉はもつれるとの見方も出ているが、最終的にデフォルトは回避されると楽観的に見ている状況に変化はない。合意に対する市場の期待が大きく裏切られた場合、円のショートが一気に圧縮され、ドル円は急落する可能性も指摘されている。
ユーロドルは上値が重いものの、円やポンドよりは底堅く推移した印象。ユーロは対円、ポンドでは上昇しており、ユーロ円は149円台後半に上昇。ただ、ユーロ圏最大の経済大国であるドイツの経済には黄色信号が点灯しているようだ。きょうは最新のIfo景況感指数が発表になっていたが、ドイツ企業のセンチメントは年初に見られた自信が薄れ、新たな成長懸念に取って代わられたことが示されている。
エコノミストからは、購買力低下、工業製品の受注減、過去数十年で最も積極的なECBの利上げの影響、予想される米経済の減速など、すべてが経済活動の低迷を支持するものだとの指摘も出ている。ウクライナ侵攻、人口動態の変化、エネルギー転換も成長の重荷になるという。ドイツ経済が今後数年間、リセッション(景気後退)に陥ることはないかもしれないが、短期的、長期的ないくつかの課題により、成長はせいぜい控えめなものに留まるとも付け加えている。
*Ifo景況感指数(5月)17:00
結果 91.7
予想 93.1 前回 93.4(93.6から修正)
ポンドドルは下値を切り下げ、1.23ドル台半ばまで下落。きょうの下げで1.24ドル付近に観測されていた下値サポートをブレイクした格好となっており、下値警戒感が高まっている。オプション市場でもボラティリティが上昇しており、弱気傾向が4月始め以来の水準まで強まっている。本日の100日線は1.22ドル台後半に来ているが、その水準が目先のターゲットとして意識されそうだ。
ただ、この日発表された4月の英消費者物価指数(CPI)は予想外に強い内容でインフレの粘着性を示す内容となった。市場では、市場の利上げ期待を後退させる可能性があるとの見方も出ていたが、その真逆の結果となっている。本日の英CPIを受けて英短期金融市場では6月の英中銀金融政策委員会(MPC)での0.25%ポイントの追加利上げはもちろん、0.50%ポイントの大幅利上げの可能性も一部織り込む動きも出ている状況。
エネルギー価格の高騰は和らぎ、インフレ押し下げに寄与した一方、通信サービスやアルコール、たばこはいずれも上昇。中古車価格も上昇した。食料品は落ち着いてはいるものの、なお約45年ぶりの高水準付近で推移。英中銀は農産品相場は下落しているものの、利益率を回復させようとする小売業者がインフレ低下を妨げていると指摘していた。
*英消費者物価指数(4月)15:00
結果 1.2%
予想 0.6% 前回 0.8%(前月比)
結果 8.7%
予想 8.2% 前回 10.1%(前年比)
結果 6.8%
予想 6.1% 前回 6.2%(コア・前年比)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。