【来週の注目材料】12月の利上げ幅縮小に向けて、11月のFOMC議事要旨をチェック
来月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%へ利上げ幅が縮小されるとの見通しが広がっています。今年3月に利上げに踏み切った米連邦準備制度理事会(FRB)は、5月の0.5%利上げを経て、6月から4会合連続での0.75%利上げを実施しました。物価高が進む中、消費者物価指数(CPI)は7月分が前年比9%を超えるなど、歴史的な水準となりました。9月のFOMCで示された参加メンバーによる今年年末時点での政策金利水準見通し(ドットプロット)では、11月、12月のFOMCで計1.25%が中心シナリオとなっており、12月の0.5%利上げへの利上げ幅縮小見通しが見られましたが、物価の高止まり懸念もあり、今月10日に発表された10月の米CPIまでは0.75%利上げ見通しとで見通しが分かれる状況となっていました。10月の米CPIは前年比7.7%まで低下。内訳を見ても、遅効性の強い住宅関連価格以外の項目はほとんど下げてきており、物価のピークアウト感が見られます。
もっとも下がったとはいえ前年比7.7%はかなり高い物価上昇率です。次回のFOMCまでには11月の米雇用統計、CPIなどの重要指標の発表を控えており、単月の数字が下がったからと言って、次回の利上げ幅が確実に縮まるというものではありません。またここ最近よく耳にするターミナルレート(利上げサイクルの終着点)についての見通しも分かれる中で、次回以降の米FOMCでの利上げ幅を占う意味でも11月1日、2日に開催されたFOMC議事要旨は注目される材料となります。
FOMC結果発表時の声明では、物価を目標に戻すための利上げペースの決定にあたって、金融政策のこれまでの度重なる引き締めと、金融政策が経済活動とインフレ率に及ぼす影響の遅れに言及しました。市場はこれを今後の利上げ幅縮小に向けたハト派的な姿勢と考えました。しかし、その後のパウエルFRB議長の会見において、FF金利(政策金利)は9月で示した到達点よりも高い水準に達する可能性に言及。また利上げ停止の議論はかなり時期尚早と発言しています。こちらは一転してタカ派的な印象を与えるものとなりました。
議長は声明のハト派的な表現で、市場が過度に楽観的にならないようにけん制したものと見られます。そうした意味では、12月のFOMCでの0.5%利上げへの利上げ幅縮小はともかく、その後も利上げを継続してくるという可能性が高いと見られます。短期金利先物市場動向を見ると、来年1月31日・2月1日のFOMCでの利上げについて、0.5%と0.25%で見方が分かれています。3月21日・22日は0.25%利上げ。ここで打ち止めになるか、5月2日・3日のFOMCでの0.25%利上げを行うかでもまた見方が分かれています。ターミナルレートは4.75-5.00%か5.00-5.25%で意見が分かれていますが、5.00-5.25%を最低水準とした17日のブラード・セントルイス連銀発言もあり、5.00-5.25%見通しが若干上回っているようです。
こうした利上げペース、利上げ打ち止め時期、ターミナルレート水準についてのヒントが議事要旨でどこまで出てくるのかが注目されます。
MINKABU PRESS 山岡和雅
執筆者 : MINKABU PRESS
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