ドル円は146円台回復 明日の米CPIを控えドル買い戻しが強まる=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル買い優勢となり、ドル円は146円台を回復。一時146.80円近辺まで買い戻された。前日は145円台前半まで下落し、145円割れを試す動きも見られていたが、その水準は維持されている。
この時間になっても米中間選挙の結果は未だ確定していない。上院は拮抗しており、下院は予想通りに共和党が優勢となっているが、民主党も善戦しており、予想ほどの差は拡大していないようだ。
市場からは、米中間選挙の結果が米財政政策や金融政策に重大な影響を与えることはないとの見解も出ている。共和党が下院で過半数を占めるか、あるいは上下両院を制したとしても、新たな法案については膠着状態が続くと考えられるという。また、米中間選挙が米経済や世界市場の見通しを大きく変えることもなく、FRBはインフレ抑制のために利上げを継続し、これが米経済を景気後退に追い込む可能性が高い。2023年の米GDPは0.3%のマイナス成長が予想されるとしている。
市場の関心はむしろ、明日の10月の米消費者物価指数(CPI)に移っているのかもしれない。FRBは先日のFOMCで、今後利上げペースを縮小する可能性は示唆したものの、ターミナルレート(最終着地点)は9月時点の予想よりも高いとの認識を強調した。市場では12月FOMCは0.50%ポイントの利上げに留まるとの見方も有力視されているが、米CPIはそれを占う上で重要な指標となる。今回の米CPIは12月FOMCまでに発表になる最後の米CPI。強い内容であれば、12月FOMCの5回連続の0.75%ポイント利上げに道を開く。
ユーロドルは戻り売りに押された。ロシアのショイグ国防相がロシア軍に対して、ウクライナ南部の都市ヘルソン市からの撤退を命令したと伝わり、買いが強まる場面が見られたものの、一時的な動きに留まっている。パリティ(1.00ドル)付近まで下落しており、維持できるか注目される。
市場からは、第4四半期のユーロ圏は景気後退予想も、ECBは利上げ継続の可能性高いとの声が出ている。最新の経済指標によると、ユーロ圏経済は10月に縮小し、新規受注や景況感などの先行指標は景気のさらなる悪化を示唆しているという。第4四半期のGDPは前期比0.5%のマイナス成長を予測しており、これはパンデミックの流行期を除けば、2009年第1四半期以来の最大の落ち込みとなるという。
しかし、10月のユーロ圏の消費者物価指数(HICP)は総合指数で前年比10.7%に加速し、物価上昇圧力が極めて強いことが示唆されている。ECBは景気後退がインフレ低下に不十分と考え、今後も利上げを継続し、中銀預金金利を3.00%まで引き上げる可能性があるとしている。
ポンドドルは1.13ドル台に急速に下落。本日の21日線が1.1380ドル付近に来ており、その水準を割り込んでいる。
市場からは、英労働市場は依然としてタイトな状況だが、労働者需要の鈍化に伴い2023年には緩むとの声も出ている。ここ数カ月の求人数の減少から採用凍結の初期報告まで、同国の労働市場の圧迫感がすでに小さくなっていることを示す兆候があるという。そのため、英労働市場のひっ迫はピークを過ぎたと思われるとしている。
英失業率は現在の3.5%から2023年末には約4.7%に上昇すると予想。賃金の伸びも鈍化が見込まれ、このことが英中銀の利上げを、市場の予想ほどタカ派的ではないアプローチに向かわせる可能性が高いという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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