FOMCの結果待ちの中でドル買い強まる 米求人件数が予想外の増加=NY為替概況
きょうからFOMCが始まり、明日結果が発表される。その中で、きょうの為替市場はNY時間に入ってドル買いが強まり、ドル円は148円台を回復している。この日発表の米経済指標を受けてドル買いが強まっている。10月のISM製造業景気指数は予想範囲内だったものの、景気判断基準の50はかろうじて維持した。ただ、仕入価格が50を下回っており、インフレ低下への期待を示唆する内容ではあった。
一方、同時刻に発表になった9月の米求人件数に市場は敏感に反応した模様。米求人件数は予想外の増加を見せ、引き続き労働市場のひっ迫を示し、FRBのフラストレーションが溜まりそうな内容ではあった。
今回のFOMCは0.75%ポイントの利上げが確実視されている。しかし、そのこと自体は織り込み済みで、注目はパウエル議長が利上げペースについてどういった見解示して来るかに注目が集まっている。市場からは、0.75%ポイントの利上げを実施したとしても、パウエル議長が会見で今後タカ派姿勢を和らげる可能性を示唆する可能性があるとの期待も出ている。
また、市場の一部からは、今回は0.75%ポイントではなく、0.50%ポイントに利上げペースを落とすのではとの声まで出ているようだ。しかし、その可能性はさすがに低い。FRBはこれまで、発言などを通じて事前に市場に織り込ませ、発表当日のサプライズは起こさないのが通例。いずれにしろ市場は、明日の結果待ちの雰囲気となっている。
ユーロドルは売りが強まっている。ロンドン時間には0.99ドル台半ばまで買い戻されていたものの、0.98ドル台に再び下落。21日線が0.9845ドル付近に来ており、目先の下値メドとして意識される。
ユーロ圏の最新のインフレデータはECBに積極利上げを継続するよう圧力をかけるかもしれない。しかし、これがユーロ高に繋がるとは考えにくいとの見方も出ている。ユーロ圏の厳しい冬がエネルギー価格上昇を招き景気に打撃を与えるという見通しを踏まえれば、ユーロは買えないとしている。ユーロドルは短期的に0.95ドルへの下落を引き続き予想しているという。前日のユーロ圏消費者物価指数(HICP)が10.7%と過去最高水準に上昇してもユーロはあまり動かなかったことも要因として指摘している。
ポンドドルも売りが強まっている。きょうは心理的節目となっている1.15ドル台を一時回復していたものの、NY時間に入って1.14ドル台半ばまで再び下落する展開。
英国は政治的安定が得られたことが逆に、英ファンダメンタルズの悪化を表面化させ、ポンドは再び下落に転じる可能性があるとの指摘も出ている。この日発表の10月の英PMI確報値は上方修正されたものの、ファンダメンタルズの深刻な弱さを浮き彫りにした。これらのファンダメンタルズの弱さと、英中銀が市場の利上げ期待を押し戻したこと、そして、英経済の弱さを深刻化させる可能性のある緊縮財政措置とが相まって、現在のポンドは割高に見えるとしている。
なお、英中銀はきょうから保有債券の売却を開始した。13年間の量的緩和(QE)を通じて積み上げた保有債券から、きょうは初めて売却を実施。初回の入札は7億5000万ポンド相当の英短期債が対象で、24億4000万ポンドの応札を集めた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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