FX/為替「市場の関心は円買い介入から米金融政策へ」 外為トゥデイ 2022年10月26日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2022年10月26日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼25日(火)の為替相場
(1):独Ifo企業景況感指数 2020年5月以来の低水準
(2):豪政府 2022/2023年度の予算案を発表
(3):英首相にスナク元財務相が就任
(4):米住宅関連指標 予想を下回る
(5):米消費者信頼感指数 3カ月ぶりの低水準
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:市場の関心は米金融政策/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
25日(火)の為替相場
期間:25日(火)午前6時10分~26日(水)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):独Ifo企業景況感指数 2020年5月以来の低水準
独10月Ifo企業景況感指数は84.3と予想(83.5)を上回ったものの、前月(84.4)から僅かに低下して2020年5月以来の低水準を記録した。独Ifo経済研究所は「独経済は厳しい冬を迎えている」との見解を示した。
(2):豪政府 2022/2023年度の予算案を発表
豪連邦政府は、アルバニージー労働党政権にとって初となる2022/2023年度の予算案を発表。単年度の財政収支は369億豪ドルの赤字となる見込みとした。予算案の中で示した経済見通しでは22/23年度の成長率見通しを3.25%とし、23/24年度には1.5%に減速すると予測。5月の総選挙前に前政権が示した予測から下方修正した。チャーマーズ財務相は予算案演説で「過去15年間で3度目の世界的な景気減速に直面しようとしている。今回は、金融危機や感染症の拡大ではなく、グローバルな物価高と金利上昇を招いている戦争だ」と述べた。
(3):英首相にスナク元財務相が就任
英国の首相にスナク元財務相が就任。「経済の安定と政治への信頼感を取り戻す」「トラス政権には間違いがあった。それを正す」などと発言。これを受けて英国の財政不安が和らぐとポンド買いが優勢となった。
(4):米住宅関連指標 予想を下回る
米8月FHFA住宅価格指数は前月比-0.7%と予想(-0.6%)を下回り、米8月ケース・シラー住宅価格指数も前年比+13.08%と予想(+14.00%)を下回った。低調な住宅価格指標を受けて米10年債利回りが低下するとドルも下落した。
(5):米消費者信頼感指数 3カ月ぶりの低水準
米10月消費者信頼感指数は102.5と予想(105.9)を下回り3カ月ぶりの低水準となった。インフレの影響や積極的な利上げによって米国が景気後退(リセッション)への懸念が消費者への負担となっていることが明らかとなった。これを受けドル/円は147円台半ばまで下落した。
25日(火)の株・債券・商品市場
外為注文情報
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本日の見通し
ドル/円の見通し:市場の関心は米金融政策
昨日のドル/円は終値ベースで約0.7%下落。米長期金利の低下を背景にNY市場でドル売りに傾くと一時147.51円前後まで下落した。経済指標の悪化などから米連邦準備制度理事会(FRB)が年内に利上げのペースを緩めるとの見方が広がったことに加え、スナク英首相の就任を好感してポンドが上昇したこともドルを押し下げた。
ドル/円は150円からいくぶん下振れしたことで介入警戒感が後退。それとともに市場の関心はFRBの金融政策に移っているようだ。FRBは来週11月2日に75bp(0.75%ポイント)の利上げを行い、次回12月会合では利上げ幅を50bpに縮めるとの見方が広がりつつある。
もっとも、こうした見方がドル/円相場のトレンド転換のキーポイントになる公算は小さい。利上げペースが縮小されても日米の短期金利差は当面、拡大が続くためだ。利上げ停止や利下げ観測ならともかく、利上げペースの縮小観測ではドル高・円安トレンドを変えられないだろう。
注目の経済指標:米9月新築住宅販売件数
注目のイベント:米5年債入札
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。
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