【これからの見通し】英国の債券介入、相場安定につながるのか、混乱助長か
【これからの見通し】英国の債券介入、相場安定につながるのか、混乱助長か
昨日は英中銀が20年超の英長期国債を一時的に購入する措置を実施した。1回につき最大50億ポンド規模としていた。昨日から10月14日までの時限措置としている。これを受けて英30年債利回りは一気に100bp以上の低下となった。これまでの債券利回り上昇、株安、リスク回避のドル買いの図式が巻き戻される結果となっていた。
ただ、この措置が市場の安定につながるのかどうかは不透明だ。市場では一時的にせよ、債券購入は緩和措置との連想が働く。一方で、インフレ退治のためには英中銀は利上げを急ぐ必要がある。英政府が景気対策を強めており、インフレ対策の英中銀とはどうもちぐはぐなポリシーミックスとなっている。財源無き英大型減税による景気対策は、英国債の信用を失墜させている。格付け会社からは英景気対策はクレジットネガティブとの判断が下されている。
足元のマーケットでは英国債利回りが再び上昇し始めている。上記の矛盾した政策運営が続く限りは長期債購入による介入措置は時間稼ぎに過ぎないとの声もありそうだ。この場合、市場は再び債券売り・株売り・ドル買いのリスク回避パターンに回帰しそうだ。
この後の海外市場では、英中銀による長期債購入実施の継続が想定される。ボラティリティーの高い相場展開に、引き続き注意したい。
経済指標発表予定は、ユーロ圏景況感(9月)、ユーロ圏消費者信頼感指数(確報値)(9月)、ドイツ消費者物価指数(速報)(9月)、南アフリカ生産者物価指数(8月)、カナダ月次GDP(7月)、米実質GDP(確報値)(第2四半期)、米新規失業保険申請件数(09/18 - 09/24)など。
発言イベント関連の予定は非常に多い。リトアニア中銀・国際決済銀行(BIS)主催会議「中央銀行の未来」、クリーブランド連銀・ECB主催インフレに関する討論会、イベント「英中銀のバランスシート」などが開催される。英米欧の金融当局者らが数多く参加する。
minkabu PRESS編集部 松木秀明
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。