ドル買いが再び強まり、ドル円は139円台に一時上昇=NY為替概況
きょうの為替市場はNY時間に入ってドル買いが再び強まり、ドル円は139円台に一時上昇する場面が見られた。米株式市場でダウ平均が一時400ドル超下落するなどリスク回避の雰囲気が強まり、ドル買いを誘発した。この日発表の米消費者信頼感指数や求人件数が強い内容となり、FRBのタカ派姿勢を正当化する内容となったことがドル買いを誘発していた。
市場では、金曜日のパウエルFRB議長の講演で、インフレ抑制に向けたFRBのコミットメントを再確認したことから、ドルはしばらく堅調に推移するとの声も多い。金曜日からの米金融市場の反応を見ると、議長の講演はFRBの利上げサイクルを小幅に上昇させた。一方、FRBはドル高に満足している一方、エネルギー危機などがアジアや欧州経済を圧迫するしていることも安全資産のドルを支えているという。
ユーロドルは一時0.99ドル台に伸び悩む動きが見られたものの、買戻しの機運も出ており、パリティ(1.00ドル)の水準は維持している。先週のパウエルFRB議長の講演でFRBのタカ派姿勢が確認されたが、ECBもタカ派姿勢になるとの見方がユーロの下値を支えているようだ。
NY時間にECB理事の発言が幾つか伝わっていたが、その中でバスレ・スロベニア中銀総裁は、7月の0.50%ポイントの利上げより大幅となり得る利上げを来週の理事会で支持すると述べていた。
ただ、エネルギー危機とそれによるユーロ圏経済への影響がECBの金融政策に与える影響を考えれば、ユーロの投資家は当然ながら慎重姿勢を維持すべきとの声も多い。ECBは政策決定に際し、現在の情勢を重視したいと考えており、高インフレは当面利上げを強化する方向性を示している。しかし、中期的には、経済的課題が悪化すれば、ECBが引締め姿勢をすぐに撤回するリスクも高いという。
ポンドドルは一時1.1620ドル付近まで下落し、2020年3月以来の安値水準を更新。過熱感を測るテクニカル指標であるRSIが30付近まで低下しており、下げ過ぎ感も台頭しているが、ポンドはガス危機と構造問題を抱え、回復に苦戦するとの指摘も出ている。
市場が英中銀の利上げ期待を高めているが、ポンドはなかなか大きくは反転しないという。理由の1つは、ガス危機が英国にも影響を与えていることだという。さらに構造的な問題も抱えているとしている。EU離脱の影響は依然克服されておらず、英保守党の指導者争いとそれに伴う財政政策の不透明感が更なるリスクを内包しているという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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