パウエル待ち ジャクソンホールでタカ派なメッセージ発信か=NY為替概況
きょうのドル円はNY時間の朝方まで戻り売りが優勢となり、136.30円付近まで値を落としていた。しかし、NY時間に入って下げ渋っている。この日発表の第2四半期の米GDP確報値が上方修正されたことや、米新規失業保険申請件数が予想以下だったことが買い戻しを誘ったようだ。
ただ、全体的に方向感はなかった。市場は本日からのワイオミング州ジャクソンホールでのFRBの年次総会に関心が集まっている。FOMC委員がスピーチを予定しているが、その中でも明日のパウエルFRB議長のスピーチに注目している。インフレ対策を続ける意向を示す可能性が高く、FRBがハト派に方向転換したという見方が市場に広がらないよう強調すると見ているようだ。
タカ派なメッセージの核心は、「例え引き締め策が米経済をリセッション(景気後退)に追い込むリスクがあるとしても、インフレを抑制を優先する」といった内容になるのではと見られている模様。
ただ、予想通りにタカ派なメッセージを発したとしても、市場はすでに織り込んでおり、どの程度の反応を示すかは見方が分かれている。パウエル議長の発言をきっかけにドル買い再開との見方も出ている。
ユーロドルも方向感のない展開。中国の景気対策のニュースもあり、ロンドン時間の早朝にはパリティ(1.00ドル)を回復する場面も見られた。しかし、滞空時間は短く、直ぐに戻り売りに押される展開。パリティ超えの売り圧力は日増しに強まっている模様。
市場からは、ユーロ圏のインフレが7月に8.9%に達したことを受け、年後半は厳しい状況になるとの見方が出ている。供給問題が引き続きユーロ圏の経済を圧迫し、目先はインフレが緩和される兆しはほとんどないという。そのため、ピークにはまだ程遠いと指摘している。
予測不能なエネルギー価格がインフレに依然として大きな影響を及ぼしており、ピークがどの程度かを判断するのは困難だという。現時点ではインフレが9%を超えると考えるのが理に適っているが、ガス価格の高騰を考慮すると、10%超えも十分に考えられるとしている。
ポンドドルも方向感なく1.18ドル台での上下動が続いた。英インフレが想定以上に高い水準が見込まれる中、市場では、英中銀の利上げのピークが以前よりも高水準で着地するのではとの見方が広がっている。一方、リスクセンチメントは6月中旬以降、改善を見せている状況。しかし、ポンドはその雰囲気からの恩恵を受けずに、逆に英経済の成長懸念がポンドの足かせになる可能性があるとの指摘が出ている。
英中銀がさらに引き締め方向に傾けば、それは英経済の低迷を深める方向に作用する可能性がある。仮に英中銀が積極的に利上げを実施しても、インフレも上昇すれば、実質金利は大幅なマイナスに留まる。過去1カ月間のポンドのパフォーマンスはポンドロングを構築してきたファンド勢を失望させているという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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