弱い米指標でドルに戻り売り ジャクソンホールへの警戒緩む=NY為替概況
きょうの為替市場はNY時間に入ってドル売りが強まり、ドル円も戻り売りが強まった。この日発表の米サービス業の企業景況感と米住宅指標がかなり弱い内容だったことで、今週のジャクソンホールでのFRBの年次総会への警戒感が緩んだようだ。
米国債利回りも下げに転じ、米10年債利回りは一時3%を下回る中、ドル円も135円台に下落する場面が見られた。ただ、ドルはFRBへの期待や揺らぐリスク心理など、様々な恩恵を受けるとの見方は根強い。
パウエルFRB議長は26日のジャクソンホールで追加利上げを示唆するとのタカ派な期待や、リスク回避の株安で安全資産の面でもドルの需要が高まっているという。ガス価格のさらなる上昇がユーロ圏の見通しを悪化させており、欧州通貨が買えないことも、ドルへの資金流入を後押しし、ドルは複数の追い風を享受しているという。
そのような中、ドル円は以前ほどの勢いはないが、140円を再び目指すと見ているようだ。
ユーロドルは買戻しが強まった。ロンドン時間に0.99ドルちょうど付近まで下げ幅を拡大する場面が見られたが、NY時間に入ってパリティ(1.00)を一時回復。ただ、パリティを回復すると戻り売り圧力も強まり、水準を維持できていない。前日の急落でパリティが強い上値抵抗に変化した可能性がありそうだ。
ユーロドルはパリティを下回る水準でしばらく安定するとの見方も出ている。20年ぶりの安値水準まで下落しているが、エネルギー価格上昇に歯止めがかからず、ユーロ圏の経済見通しがかつてないほど悪化している中で、短期的にユーロに割安感はないという。さらに、アジア中銀が自国通貨買い・ドル売り介入を実施するために、ユーロドルを売る可能性もあると指摘している。
ポンドドルはロンドン時間に1.17ドル台前半まで下落していたが、NY時間に入って1.18ドル台に戻す展開。ただ、積極的に買い戻そうという動きまではなく、ここ数日の急速な下落の調整が入ったといった程度だ。
市場では、英インフレは従来の見通しよりも長期化するとの見方が広がっており、インフレは来年1月に18%を超える可能性も指摘されている。
そのような中で英中銀の利上げも継続される可能性がありそうだが、さらに政策金利を引き上げたとしても、ポンドは恩恵を受けられない可能性があるという。この先の市場は、英政治リスクと冬季の公共料金高騰による成長見通しの悪化に、注目が集まると思われ、今後数カ月間の英中銀の利上げがポンドに救済をもたらす可能性は低い。そのため、ポンドドルは年内に1.15ドルまでの下落を予想しているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。