FOMC議事録はドル売りの反応 ドル円は一時135円台回復=NY為替概況
きょうのNY為替市場、午後になって7月開催分のFOMC議事録が公表され、為替市場はドル売りの反応が見られた。議事録では、多くが必要以上に引き締めるリスクを認識していることが示されたほか、利上げペースが遅くなる可能性を見ていることも明らかとなった。7月FOMC以降のFOMC委員の発言は、従来通りにタカ派姿勢を堅持していたが、その割に今回の議事録に慎重な表現が含まれていたことは若干の驚きとなっている模様。
ただ、9月FOMCに対する市場の見方に変化はなく、0.50%ポイント利上げの確率が60%、0.75%ポイントは40%となっている。
きょうのドル円は買いが強まり、一時135.50円付近まで上昇。ドル買いが強まっている雰囲気はなく、米株が反落する中で円安の動きも強まっていない。米国債利回りが上昇しており、ドル円の上げをフォローしている模様。
議事録を受けてユーロドルは一時1.02ドル台に上昇。ただ、1.02ドル付近の売り圧力も強まっているようで、1.01ドル台後半に伸び悩んだ。
きょうは第2四半期のユーロ圏GDP改定値が公表されていたが、速報値から若干下方修正されていた。しかし、欧州でのガス危機が発生している中で、市場はすでに下期の成長に注目している。そのような中、ECBはユーロ圏の成長を下支えするためにユーロ安を容認する可能性があるとの見方が出ている。欧州のガス危機とそれに伴う今冬のユーロ圏の成長見通しがユーロを圧迫するという。また、年後半のドイツ経済も景気後退がほぼ避けられない状況。ECBが日々算出している貿易加重のユーロ相場は今年最安値にあり、さらに高インフレにもかかわらず、ECBは輸出支援のためにユーロ安を容認すると見ているようだ。
ユーロはテクニカル的には特に売られ過ぎ感はなく、1.01ドルの下値サポートをブレイクすれば、パリティ(1.00ドル)に向かうとの見方を引き続き支持しているという。
ポンドドルは戻り売りに押され、一時1.2040ドル付近まで下落。21日線を再び下放れする動きが見られているが、目先は1.20ドルが下値メドとして意識される。その水準を完全にブレイクするようであれば、7月に付けた年初来安値1.1760ドルを試しそうな気配も出ている。
この日は7月の英消費者物価指数(CPI)が発表になっていたが、総合指数で前年比10.1%までインフレが高まっていた。これは次回の英中銀金融政策委員会(MPC)での0.50%ポイント利上げへの期待を十分に裏付ける内容ではある。しかし、英中銀がインフレ対策を強化してもポンドは上昇しないとの声も出ている。よりタカ派的な英中銀の政策方針は将来の成長を犠牲にするものであり、必ずしもポンドの支援材料にはならないという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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