ドル円は利益確定売り強まり21日線を下放れる ファンド勢の円ショート巻き返し=NY為替概況
きょうのNY為替市場、前日のFOMCやパウエルFRB議長の会見を受けたドル売りは一服しているものの、円高の動きでドル円は利益確定売りが強まった。この日の第2四半期の米GDP速報値が予想外のマイナス成長となったことで、米国債利回りが急低下したこともドル円を圧迫。134円台前半まで下落した。きょうの下げで21日線を下放れる展開。
米GDPは2四半期連続のマイナス成長となり、定義上はリセッション(景気後退)入りとなる。ただ、パウエル議長がFOMC後の会見でも述べていたが、同期間の労働市場の強さなどを考慮すれば、景気後退には当たらないとも見られている。ただ、今後FRBの利上げぺースが鈍化する可能性を示唆する内容でもあり、ドル円を圧迫している模様。
本日の円高については、FRBの利上げ期待が低下したことでファンド勢がこれまで積み上げた円ショートを活発に巻き返しているとの声も出ている。
ただ、ドル高への期待感は依然として根強い。FOMCを受けて為替市場はドル売りの反応を見せたが、FRBは少なくともハト派にはなっていない。依然としてタカ派姿勢は堅持している。そのような中で市場が今後、経済指標により敏感になるにつれてドルは再び強含む可能性があるという。世界経済の減速と地政学的リスクが安全資産のドルを支え、FRBが明確にタカ派スタンスから軸足を移す兆候を見せるまでドルを買い続けるべきだと主張している。
ユーロドルは戻り売りに押され、一時1.01ドル台前半まで下落した。ただ、終盤に買い戻しも入り1.01ドル台後半に戻す展開。21日線の下での推移が続いており、下向きの流れに変化はない。前日のFOMCで為替市場はドル買いを一服させ、ユーロドルも買い戻しの機運が見られているが、再びパリティ(1.00ドル)を下回るとの見方は少なくない。
欧州のガス供給問題が深刻化し、ECBがインフレとの戦いを強化することを表明しない可能性もあることから、ユーロドルは下値模索が続くという。ロシアが欧州の大部分をガス不足に陥れる危険性は少なくはなく、それは不況のリスクを高め、インフレも助長するという。いわゆるスタグフレーションだが、ECBがインフレ対策に万全を尽くせば、このような事態は避けられるだろう。しかし、先週の理事会はそうではなかったようで、ECBが示した利上げの道筋は急にはなっていないという。
ポンドドルは伸び悩む動きを見せ、1.21ドル台前半まで値を落とす場面が見られた。しかし、次第に下値も底堅くなってきており、21日線の上での推移をしっかりと続けている。
過去2週間のポンドは好調で、テクニカル的なシグナルは上昇幅拡大の可能性を示唆しているとの指摘も出ている。FRBが利上げペースの鈍化を示唆したことでドルが反落し、ポンドドルはきのう、1.20ドルちょうど付近に来ている21日線を大きく上回って終了した。今月最後の取引日である明日金曜日に1.19ドルを超えて終了すれば、テクニカル的に1.27ドルに向けた上昇に拍車がかかる可能性も出ているという。
しかし、ファンダメンタルズ的には逆風にさらされており、次の大きなリスクは来週の英中銀金融政策委員会(MPC)だが、上昇の動きは不安定なものになりそうだとも指摘している。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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