ドル円は底堅い動きが続く 明日のFOMCの結果待ちの雰囲気も強い=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドルの買い戻しが見られ、ドル円も底堅い動きとなった。しかし、積極的に買い戻す動きまでは見られず、136円台での推移が続いている状況。きょうからFOMCが始まったが、明日の結果待ちの雰囲気も強い。
市場では、FRBに操縦の余地はほとんどなく、0.75%ポイントの利上げが確実視されている模様。6月の米消費者物価指数(CPI)が総合指数で9.1%までインフレが高まったことでFRBにはほとんど打つ手がないという。
一方、この日発表の米住宅指標や消費者信頼感指数が予想を下回る弱さを見せるなど、景気軟化の兆候も強まる中で、次回9月のFOMCも0.75%ポイントの積極利上げの可能性を示唆するか注目される。物価安定を回復させつつ、リセッション(景気後退)も回避したい中、パウエルFRB議長は明日、難しい会見に臨む。
1.00%ポイントの利上げの可能性を指摘するタカ派な声も聞かれるが、短期金融市場での1.00%ポイント利上げの確率は25%程度となっている。
ユーロドルは再び下値模索が強まり、1.01ドル台前半まで下げ幅を拡大。きょうの下げで21日線に上値を拒まれ、跳ね返された格好となっており、下値警戒感は依然強いことがうかがえる。
ロシアの欧州向けガス供給の完全停止という脅威がユーロドルの買戻しの意欲を抑制し、パリティ(1.00ドル)への再下落を誘発するとの指摘が出ている。ロシアのガスプロムが技術的な問題からノルドストリーム1を通じての欧州へのガス供給を一時停止すると発表した一方、EUはこの日に緊急会議を開き、ガス消費量の削減計画について議論する予定。
ノルドストリーム1を経由するロシアの流量が完全に停止する危険性が再び高まったと認識されている。このシナリオは常に目に見える脅威であり、ユーロ買いの意欲を引き続き低下させる可能性があるという。
ポンドドルは一旦1.1965ドル付近まで下落する場面が見られたものの、NY時間に入って1.20ドル台に買い戻されている。本日1.20ドルちょうど付近に来ている21日線にサポートされた格好となっているが、なお下向きのトレンドに変化はない。
一部からは、英中銀が次回8月の政策委員会(MPC)で、より積極的な利上げを行った場合、ポンドは買われる可能性があるとの指摘も出ている。英中銀が0.50%ポイントの利上げを行ったうえで、年内にさらに同規模の追加利上げの可能性を示唆した場合、ポンドドルは現在の抑制された水準から上昇する可能性があるという。英中銀が利上げを加速しそうなこと、英経済指標が他国より良好に推移していることで、ポンドは過小評価されている可能性があるという。
なお、前日に英与党・保守党の党首選で決選投票に進んだ2名によるテレビ討論が行われたが、世論調査ではトラス外相が優勢となっている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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