ドル売り優勢の中、ドル円は138円台前半に下落=NY為替概況
きょうの為替市場はドル売りが優勢となる中、ドル円は138円台前半に下落した。ただ、下押す動きまでは見られず、140円を視野に入れた動きは続いている。
先週は米消費者物価指数(CPI)の予想以上の強い内容を受けて、今月のFOMCでの1.00%ポイントの利上げ期待が強まった。短期金融市場では一時、85%程度までその確率が高まったが、FOMCメンバーから0.75%ポイントの利上げを支持する発言が相次ぎ、その期待は一気に後退している。現在、その確率は30%程度まで急低下した。
今週は日銀の決定会合が予定されているが、特に変更はなく、現行の金融緩和の据え置きが確実視されている。各国中銀が前倒ししてまで利上げを急いでいるのとは対照的。今回は展望レポートが公表され注目となりそうだ。政策委員のインフレ見通しは上方修正が見込まれる一方、世界的なリセッション(景気後退)への警戒感が強まる中で、成長見通しをどう修正してくるか注目される。
ユーロドルは買い戻しを強め、一時1.02ドルちょうど付近まで買い戻された。先週は20年ぶりに一時パリティ(1.00)割り込んだが、その水準はサポートされた形となっている。目先は本日1.03台前半に来ている21日線の水準まで戻せるか注目されるが、リバウンド相場への信頼感はまだない。
ユーロにとっては、今週21日のECB理事会が最注目であろう。ユーロ圏の消費者物価指数の伸びが過去最大となる中、11年ぶりの利上げが確実視されている。ただし、タカ派な期待とは裏腹に、今回は0.25%ポイントの利上げに留めると見られているようだ。その事自体はすでに市場も織り込み済みで、注目は同時に公表されるであろうユーロ圏の国債利回りの断片化(フラグメンテーション)リスクに対処するためのツールの詳細に移っているとの見方もあるようだ。一部からは、もし、それが市場に失望感を広めるようであれば、ユーロドルは下落の反応を示す可能性があるとの指摘も出ている。下落の反応は信頼感の置けるツール公表に伴う上昇よりも大きい事も警戒されるという。
ユーロドルはすでにパリティ(1.00ドル)を一時割り込んだことから、上昇したとしても1.02ドル水準を大きく上放れることはなく、逆に失望感が強まった場合は、先週安値0.9950ドル付近を下回り、0.98ドルに向かって下落する可能性も指摘されているようだ。
ポンドドルも買い戻しが強まり、一時1.20ドル台を回復。目先は本日1.2075ドル付近に来ている21日線の水準まで戻せるか注目される。今週は重要な英経済指標が目白押しの週となる。その中でも20日の6月の英消費者物価指数(CPI)は最注目であろう。予想は総合指数で前年比9.3%と前回から伸び加速が見込まれている。ガソリンと食品価格の上昇がインフレを押し上げた可能性が高い。
上向きのサプライズがあれば、英中銀へのより積極的な利上げを求める圧力が加わる可能性があるが、多くのコモディティ価格が最近急落しており、来年のインフレ見通しは改善が期待される。そのため、次回の英中銀金融政策委員会(MPC)の利上げは0.25%ポイントの通常利上げに留まると見込まれているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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