ドル円は137円台を固める展開 今週のイベントにドル高を期待した動きか=NY為替概況
きょうのNY為替市場はリスク回避のドル買いが優勢となる中、ドル円は137円台を固める展開が見られた。一時137.75円付近まで上げ幅を拡大し、もう一段の上値追いの動きが出ている。週末の参議院選で自民党が大勝したこともドル円を押し上げている模様。
市場ではリセッション(景気後退)への懸念が根強い中、ここにきて感染が再び拡大していることも重石となっている模様。特に中国政府が再び規制を強化するのではとの懸念が出ているが、感染拡大は中国のみならず、米国と欧州、日本でも確認されており気掛かりとなっているようだ。
今週から始まる4-6月期の米企業決算への警戒もあるようだ。景気後退への懸念が市場の雰囲気を重くしている中、市場は決算にかなりの関心を寄せている模様。今回は非常に保守的な見通しが示される可能性が高く、それに対して市場がどう反応するか注目される。また、13日水曜日に6月の米消費者物価指数(CPI)が発表される。食品とエネルギーを含む総合指数は5月の8.6%を上回る8.8%が予想。市場は高インフレとFRBの積極利上げを既に織り込んでいるが、予想以上に悪化した場合の反応は警戒される。
それらに伴うドル高を期待した動きが週初から出ているのかもしれない。
ユーロドルは下げ幅を拡大しており、1.00ドル台半ばまで一時下落している。パリティ(1.00ドル)を完全に視野に入れる動き。インフレは高いもののユーロ圏のリセッション(景気後退)への懸念から、ECBは市場が期待しているほど利上げに積極的になれないとの見方が根強い。
市場の一部からは、ロシアからのガス供給が完全に停止するなら、ユーロは更に10%下落する可能性が指摘されている。ロシアが欧州へのガス供給を完全にストップした場合にユーロ圏は不況に陥り、ユーロを圧迫する可能性が高いという。
フランスのルメール財務相はロシアのガスが完全にストップすることが最も可能性の高いシナリオであるとコメントしていた。最良のシナリオである現状維持でさえも、市場は神経質になっており、ユーロはささやかなショートカバーの救済に留まるという。
ポンドドルも下げ幅を拡大し、1.18ドル台まで下落。ジョンソン首相が辞意を表明し、次の首相争いが活発化している。ジャビド前保健相は「自分が党首に選ばれれば、多数の減税を行い、生活費上昇に苦しむ世帯への支援を強化するための緊急予算措置を実施する」と述べた。所得税減税の前倒し、法人税増税の延期、社会保障費の負担増停止などを経済政策として掲げていた。
ただ市場からは、英指導者争いへのポンドの反応は小幅に留まるとの見方も出ている。厳しい英経済見通しと英中銀による利上げ期待の縮小の可能性から、ポンド下落のリスクは残るとしている。ポンドドルはドル高を背景に1.17ドル台まで下げ幅を拡大する可能性があるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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