ドル円は一時110円手前まで上昇 世界的なインフレ懸念が高まる=NY為替概況
きょうNYの為替市場は米国債利回りの上昇と伴にドル買いが強まり、ドル円も買い戻しが強まった。アジア時間に発表になった中国の生産者物価指数が予想を上回る強い内容となったことから、市場は世界的なインフレ懸念を強めたようだ。
米国債利回り上昇と伴にドル円も買い戻しが活発化し、一時110円手前まで上昇。実需のまとまった買いが断続的に入り、ドル円を押し上げたとの声も聞かれる。ただ、NY時間の米経済指標を通過するとその動きも一服し、伸び悩んた。ただ、本日109.50円付近に来ている21日線は回復しており来週以降の動きが注目される。
FRBの出口戦略について市場では様々な見方が出ているが、FRBが今後12カ月以内に資産購入ペースの縮小を始めるリスクは誇張されているとの指摘も出ている。今週のFOMC議事録や前日のパウエルFRB議長のスピーチもそうだったが、FRBは引き続き慎重で、インフレリスクはある程度容認することが予想されるという。市場は2013年に利回りが急激に上昇した「テーパー・タントラム」が再び進行中なのかどうか疑問視しているが、それはないと見ており、むしろ、米国債利回りは回復期待からの健全な上昇のほうが可能性が高いという。
ユーロドルは一時1.18ドル台に下落し、200日線を一時下回る場面もみられたが、1.19ドルちょうど付近まで戻した。ここに来てユーロの上昇はもうしばらく続くとの見方も出ているようだ。ユーロ圏の見通し改善が欧州株式市場で、景気回復の恩恵を受けやすい循環株の需要を押し上げることから、ユーロの需要は高まるという。ユーロと欧州の循環株は正の相関にあるとしている。
ワクチン展開や景気回復期待という点でユーロ圏は米英と比較してまだ格差があるが、次第にその格差も以前ほどではなくなって来ており、ショート勢によるユーロの買戻しが促しやすくなっているという。
ポンドは買い戻しが優勢となり、ポンドドルは1.37ドル台を回復。100日線が1.36ドル台後半に来ており、本日の上げでサポートされた格好。この先のポンドに強気な見方も少なくない。英国の封鎖制限が緩和され、第2四半期と第3四半期にワクチン接種が更に進展すれば、英資産への資金流入が促進され、ポンドをサポートするという。英国でのウイルスの症例数と死亡者数はワクチン導入に伴い減少しており、政府は封鎖措置の解除を開始し、経済は正常化する可能性があるという
また、英国も米国同様に予想以上の財政支援策を打ち出しており、それと相まって、今後24カ月間で英GDPを約2.0%を押し上げる効果があるという。特に対ユーロでの上げが期待されている。ポンドは第1四半期に対ユーロで上昇が続いたが、それでも割安の水準にあるとの見解を示している。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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