リスク選好でドル円は104円台うかがう動き ポンドが下落=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円はロンドンフィキシングにかけて買いが強まり、104円台をうかがう動きを見せた。特段の買い材料は見当たらないが、きょうの市場はリスク選好の雰囲気が広がっており、円安の動きがドル円の上げをフォローしたほか、ポンドが対ドルで下落し、ドル買いのフォローも出ていたようだ。
米追加経済対策にトランプ大統領が署名したことや、先週の英・EUの貿易交渉合意が市場のムードを高めている。米株式市場でダウ平均が最高値更新、米国債利回りも上昇し、イールドカーブがスティープ化する中で、ドル円は買い戻しを強めた模様。
ただ、市場では来年のドル安期待が根強くある中、ドル円は戻り待ちの売りオーダーも数多く観測され、104円付近での上値抵抗も強そうだ。
米インフレ期待の高まりがドル円を支援しているとの指摘も聞かれる。インフレ期待を示す米10年物インフレ連動債(TIPS)が一時1.99%台まで上昇し、2018年12月以来、約1年ぶりの高値水準に上昇した。ワクチンへの期待に加えて、直接給付、失業手当上乗せなど米追加経済対策が成立したことで、来年の個人消費は盛り上がるとの見方がインフレ期待の高まりに結びついているのかもしれない。FRBもある程度のインフレ上昇は許容する姿勢を示している。ただ、一部からは、インフレ上昇でもFRBが低金利放置ならドルの購買力を失わせるとの指摘もあり、ドル安期待は根強いことも留意される。
きょうもポンドは売りが強まり、ポンドドルは一時1.3430ドル付近まで下落し、21日線に顔合わせした。来年のポンドに関しては、上値の重い展開を予想する向きが少なくない。先週の合意で英EU離脱に対する不透明感は後退したものの、同時にポンドはこの先、離脱に伴う英経済への悪影響という厳しい現実に直面するという。加えて、英国では足元の感染拡大が収束の気配をみせず、ウイルスの変異種の問題も浮上する中で、来年前半の英経済は厳しい情勢が続くことが予想されるという。英中銀のマイナス金利採用のシナリオも消えてはない。
特に来年前半にかけ、ドル以外の対ユーロや円での売りが推奨されている。ドル安の流れから来年後半には持ち直す可能性はあるものの、現行レベルを上回る持続的上昇は期待しにくいという。
一方、きょうのユーロドルは蚊帳の外といった雰囲気の中、1.22ドル台前半での値動き。一時1.21ドル台に下落する場面がみられたものの、1.22ドル台はサポートされている。ポンドが急速に戻り売りに押され、ユーロドルも上値が重くなっている印象。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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