【来週の注目材料】9会合連続利下げか、据え置きか、それとも~トルコ中銀政策金利
21日20時にトルコ中銀の金融政策発表が予定されています。
トルコ中銀は先月22日の理事会で、大方の予想を超える1.00%の利下げを実施し、1週間ものレポ金利を8.75%としました。昨年7月の会合から8会合連続での利下げで、利下げ前の24.00%から15.25%も引き下げたことになります。
市場はこの利下げを受けてトルコリラ売りの動きを強めました。トルコの消費者物価指数は5月4日に発表された最新の数字で前年比10.94%。新型コロナウイルスの影響で若干低下傾向も、政策金利よりもかなり高い水準で、実質金利(名目金利をインフレ率で調整したもの)は大きくマイナスとなっています。
各国とも積極的な利下げで実質金利がマイナスとなっている国も多いですが、トルコのマイナス幅はかなり大きく、リラの売り材料となりました。トルコリラは対ドル、対円ともに史上最安値を更新。ドルリラは節目の7.0000を一時大きく超え、7日に7.27台を付ける動きが見られました。
その後、トルコ当局がトルコ国内の金融機関に欧米の大手金融機関(シティグループ・UBSグループ・BNPパリバ)とのリラ取引を禁じ、資本規制への懸念が広がったことや、積極的な為替介入を行ったことなどからリラの買い戻しが入り、7.0000を割り込む動きとなっていいます。ただ、こうした動きはトルコリラのスポット(直物)・スワップ市場の流動性を減少することにつながりかねず、警戒感が広がっています。
こうした状況を受けて今回の発表ですが、見通しがかなり難しいところです。取引規制の影響もあって、そもそも予想数が少なくなっており、コンセンサスがどこまで出来るかが微妙です。
一部では0.50%の利下げを見込む動きが見られ、この場合実質金利のマイナス幅がさらに大きくなります。こちらはトルコリラ売り材料となります。
一方でリラが一時史上最安値を更新する動きを見せたことなどから、利下げを止めるのではという見方もあります。この場合は少しリラ買いに。
トルコ中銀は日本、英国、中国、カタールの中銀当局者と二国間通貨スワップ枠の設定について協議を行っているようです。リラ防衛と物価との乖離を考えると、利上げもありうる状況ですが、エルドアン体制で利上げは難しいと思われるなか、据え置きはありえそう。
一方でエルドアン大統領がより積極的な利下げを求めてくる可能性も否定できず、こちらはリラ売りが強まる可能性があります。見通しがはっきりとしていないだけに、要注意といったところです。
MINKABU PRESS 山岡和雅
執筆者 : MINKABU PRESS
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