ドル円は108円台後半に伸び悩む=NY為替後半
NY時間の終盤に入ってドル円は108円台後半に伸び悩む動きが見られている。原油相場と米株が伸び悩む動きが見られており。ドル円も追随しているようだ。新型ウイルス感染拡大が、米国の主要都市で鈍化の兆候を見せ始めており、きのうに引き続き、ピークアウトへの期待感を市場は高めている。ただ、感染拡大自体はなお続いており、死亡者数も増加している。米当局者は、今週が最も厳しい1週間になると述べているが、外出制限の解除はいまだ見通しが見えていない。経済への影響が懸念される中で、ドル円は底堅い推移は見せているものの、上値には慎重な面も見られているものと見られる。
ドル円は先月から今月1日までの下げの半値戻しの水準で、一旦上値を止められている。ただ、下押す動きもなく、108.35円来ている200日線は下値抵抗となっているようだ。現在は100日線付近での推移となっているが、次のアクション待ちといったところのようだ。
安倍首相が7都道府県に非常事態宣言を出し、同時に事業規模108兆円の緊急経済対策も発表した。経済対策については、見た目の事業規模は大きいが、真水の部分が足りないとの指摘も聞かれる。救済措置の側面が強く、景気後退に対応した景気浮揚の側面が小さく、市場へのインパクトは特にない。
NY州のクオモ知事が会見し、新型ウイルスによる新たな死亡者数は731人と1日当たりで過去最多になったことを明らかにした。新規の死亡者数は減少傾向も出ていたが、なお、増加していることが示された格好。ただ、市場の受け止めは冷静。
ユーロドルは1.09ドル台まで上昇するなど、買い戻しが強まっている。新型ウイルス感染に関してスペインとイタリアから死亡者数や感染者数にピークアウトの兆候を示すデータが報告されていることもユーロをサポートしている模様。イタリアの新たな感染者の増加は3039人と3月13日以来の少なさとなった。
きょうは新型ウイルス感染の対策に関してユーロ圏財務相のビデオ会合が開催。イタリアやフランスなど南欧からは、共同での景気対策のためにユーロ共同債であるコロナ債の発行が提案されているが、ドイツやオランダは難色を示しており、難しい情勢だ。ただ、市場に信頼感を与えるような何らかの代替策が出るようであれば、ユーロもポジティブな反応が見られるのかもしれない。ただ、可能性は未知数。
ポンドは底堅い動きをしており、ポンドドルは1.23ドル台を回復。東京時間の早朝に1.2165ドル付近まで下落し、21日線を割り込む場面が見られたが、新型ウイルス感染で手集中治療室に搬送されたジョンソン英首相の容体が安定していることもあり、ポンドは堅調に推移している模様。
ユーロと比較すればポンドは底堅い印象も受けるが、一部からは年内が期限となっている英国のEU離脱が、新型ウイルス感染で延期されるのではとの観測が強まっており、それがポンドをサポートしているとの指摘も聞かれる。EUのバルニエ首席交渉官もウイルス感染で陽性反応があり、ジョンソン英首相も治療中ということから、貿易交渉の進展は当面望めない状況。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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