新型コロナウイルスの感染拡大懸念でやや頭の重い展開
新型コロナウイルスの感染拡大懸念でやや頭の重い展開
109.62まで値を落とすも、109円台半ば手前はしっかり
ポンドはジャビド財務相の辞任を受けて財政出動の期待広がり上昇
【東京市場】湖北省での新型コロナウイルス感染拡大一気に広がる
ドル円は朝方一気に円高の動きが広がった。昨日のロンドン市場朝方に米債利回りの上昇などをきっかけとして110円台を回復。110円13銭を付けた後、少し調整が入り、110円ちょうど前後でのもみ合いを経て、NY市場夕方に再び110円10銭台に乗せて、東京朝も110円台でしっかりとした動きに。
しかし、湖北省での新型コロナウイルス感染者が一気に拡大。14000人超という数字のインパクトもあり一気に109円80銭近辺に値を落とす展開となった。もっとも、判断基準を他のところに合わせる形で変更したことが要因とされ、下がったところからは買い戻し。ただ、感染被害の大きさへの懸念が残る形で戻りは110円を付けきれず、109円80銭台に値を落とす展開となっている。
なお中国政府は湖北省及び武漢市のトップを共に更迭した。
【ロンドン市場】リスク回避強まる
ドル円は一時109円62銭まで。東京午後からの売り基調が継続。
東京朝に湖北省での新型コロナウイルス感染者が一気に拡大した件で急落したドル円は
判断基準の変更によるものとの発表もありいったん戻したが
感染者がこれまでの発表よりもはるかに多いこと自体は変わりなく
110円を回復できずに値を落とすと、ロンドン市場でも売りが続いた。
欧州株の下げ、米債利回りの低下なども見られ、ドル円の売りに。
ポンドが急騰。ジャビド財務相が突然の辞任。
これを受けて財政出動が一気に強まるのではとの期待感がポンド買いを誘った。
【NY市場】ドル円は下げ渋り
ドル円は下げ渋りも上値が重いという展開に。
ロンドン市場の安値からは少し戻したものの、110円が重く
109円80銭前後での推移が続いた。
ロンドン市場午後に上昇したポンドドルは1.3069まで上値を伸ばし
その後は1.30台台前半の高値圏推移。
ジャビド財務相の辞任でジョンソン首相が志向する財政出動が買いにつながった。
【本日の見通し】ドル円はもみ合い
ドル円はもみ合いが続く展開に。
ドル円は109円台後半でのレンジ取引が中心か。
110円台での買いには慎重な姿勢が継続。
週末を前に突っ込んだ買いには慎重か。
昨日一気に感染者が増えた新型コロナウイルスの感染動向にも注目が集まるところ。
昨日の感染拡大は判断基準の変更によるものとなっているが
今回新しい観戦基準の下で感染者の増加がかなりの規模に上るようだと
警戒感が強まる可能性も。
昨日ジャビド財務相の辞任を受けて上昇したポンドは、1.30台を維持して週の取引を終えるようだと
来週にかけてもう一段の買いも。
【本日の戦略】押し目買い
109円台半ばのサポートが依然強い。
下がったところはいったん買いに回り半ば割れでストップが基本的な姿勢か。
週末を前に調整が入りやすいことを考えると
スウィングは少しゆっくり目に買い下がり109円割れまで耐えるという展開も。
ただ、新型コロナウイルス関連で状況の急変などが懸念される中、ストップは確実に。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《2/13 木曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 110.09 1.0874 119.73
高値 110.09 1.0889 119.74
安値 109.62 1.0834 118.88
終値 109.82 1.0841 119.06
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《2/13 木曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 23827.73 -33.48
DOW 29423.31 -128.11
S&P 3373.94 -5.51
Nasdaq 9711.97 -13.99
FTSE 7452.03 -82.34
DAX 13745.43 -4.35
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《2/13 木曜日の商品市場》
NY原油先物3月限(WTI)(終値)
1バレル=51.42(+0.25 +0.49%)
NY金先物4月限(COMEX)(終値)
1オンス=1578.80(+7.20 +0.46%)
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《2/13 木曜日に発表された主な経済指標》
【日本】
国内企業物価(1月)08:50
結果 0.2%
予想 0.0% 前回 0.1%(前月比)
結果 1.7%
予想 1.5% 前回 0.9%(前年比)
【英国】
RICS住宅価格指数(1月)9:01
結果 17%
予想 3% 前回 -2%
【ユーロ圏】
ドイツ消費者物価指数・確報値(1月)16:00
結果 1.7%
予想 1.7% 前回 1.7%(前年比)
結果 -0.6%
予想 -0.6% 前回 -0.6%(前月比)
ドイツ調和消費者物価指数・確報値(1月)16:00
結果 1.6%
予想 1.6% 前回 1.6%(前年比)
結果 -0.8%
予想 -0.8% 前回 -0.8%(前月比)
【米国】
消費者物価指数(1月)22:30
結果 0.1%
予想 0.2% 前回 0.2%(前月比)
結果 0.2%
予想 0.2% 前回 0.1%(コア・前月比)
結果 2.5%
予想 2.4% 前回 2.3%(前年比)
結果 2.3%
予想 2.2% 前回 2.3%(コア・前年比)
新規失業保険申請件数(02/02 – 02/08)22:30
結果 20.5万件
予想 21.0万件 前回 20.3万件(20.2万件から修正)(前週比)
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《2/13 木曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【カナダ】
*ポロズ・カナダ中銀総裁
金融の脆弱性は将来の成長を弱体化する
財政政策によってカナダ経済は有意に変化
財政の助けがなければ政策金利は低下
【豪州】
*ロウ豪中銀総裁
低金利は将来の投資の可能性
投資が不足しているエリアはない
豪州の投資はGDPの内訳のおいて非常に低い
留学・観光などの部門でコロナウイルスは大きな影響
新型コロナウイルスの問題を除けば豪経済は順調
【中国】
*中国
湖北省トップ、武漢市トップ、国務院香港マカオ事務弁公室トップを交代。
*習中国国家主席
中国経済発展のモメンタムを維持する。
新型ウイルス感染地域からの影響を最小化させる。
今年の成長目標を達成するよう努力する。
【新型コロナウイルス関連】
*中国は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて湖北省のトップを交代。
*中国湖北省衛生健康委員会
12日に新たに感染者1万4840人を確認。
過去の疑いのある症例の見直し、治療計画第5版の公表を受けてデータ開示を改定。
情報開示には臨床診断で確認された感染者も含める
同省で12日に死者は242人増え、中国本土での死者は計1310人。
感染者は湖北省だけで4万8000人超。
*香港政府
新型コロナウイルスに対する施策として、学校について、来月16日まで閉鎖を延長。
香港政府スタッフは在宅勤務を一週間延長。
*米疾病対策センター
新型コロナウイルスの検査キット、期待通りに機能しないとの不具合報告を受けた
【ユーロ圏】
*デコス・スペイン中銀総裁
新型ウイルスはリスク・バランスを引き続き下方に傾けている。
金融政策は極めて緩和的に維持し続けるべきだ。
ECBは引き続きあらゆる手段を講じる用意。
ステーブルコインの扱いについて規制を調整する必要。
ユーロ建て安全資産の確立が資本市場同盟(CMU)の基礎に。
*EU経済見通し
今年と来年の成長率見通しを1.2%で据え置き。
新型コロナウイルスは成長見通しへの主要な下押しリスク。
メインシナリオはウイルス感染拡大が第1四半期でピークアウト、世界的な感染は抑制。
欧州経済は拡張的な財政政策の恩恵を受ける可能性。
製造業には一時的な安定化の兆候みられる。
新型コロナウイルスによる製造業への打撃からは立ち直るだろう。
ジョンソン英首相が示した野心的な英経済成長については懐疑的。
【米国】
米30年債入札結果
最高落札利回り 2.061%(WI:2.068%)
応札倍率 2.43倍(前回:2.54倍)
*レーンECB理事
金融刺激策はなお効果を発揮。
低金利の段階は暫定的。
英EU離脱の不確実性はユーロ圏経済を抑制。
英国はユーロ圏の未来の原動力になるほど大きくはない。
ECBは政策の限界には達していないが近づいている。
ユーロ圏の財政担当者はもっと仕事ができる。
【英国】
*英政府
ジャビット英財務相が辞任。
リシ・スナック氏を英財務相に任命。
*スラック英報道官
政府は予算増額に関して非常に野心的な議題を持っている。
10番(官邸)と財務省が緊密に協力して、国民への約束を果たすと期待。
政府の財政規律遵守に関しては確認を避けた。
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《本日予定されている主な経済指標》
【日本】
第3次産業活動指数(12月)13:30
予想 0.1% 前回 1.3%(前月比)
【インド】
卸売物価指数(1月)15:30
予想 3.00% 前回 2.59%(前年比)
【ユーロ圏】
ドイツGDP・速報値(第4四半期)16:00
予想 0.1% 前回 0.1%(前期比)
予想 0.3% 前回 0.5%(前年比)
ユーロ圏GDP・改定値(第4四半期)19:00
予想 0.1% 前回 0.1%(前期比)
予想 1.0% 前回 1.0%(前年比)
ユーロ圏貿易収支(12月)19:00
予想 193億ユーロ 前回 192億ユーロ(季調済)
予想 N/A 前回 207億ユーロ(季調前)
【米国】
小売売上高(1月)22:30
予想 0.3% 前回 0.3%(前月比)
予想 0.3% 前回 0.7%(自動車除くコア・前月比)
輸入物価指数(1月)22:30
予想 -0.2% 前回 0.3%(前月比)
予想 0.2% 前回 0.5%(前年比)
鉱工業生産(1月)23:15
予想 -0.2% 前回 -0.3%(前月比)
設備稼働率(1月)23:15
予想 76.8% 前回 77.0%(前月比)
企業在庫(12月)15日0:00
予想 0.1% 前回 -0.2%(前月比)
ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値(2月)15日0:00
予想 99.4 前回 99.8
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員