今週のまとめ12月16日から12月20日の週
16日からの週は、次週のクリスマスを控えて模様眺めムードが広がった。ドル円は109円台、ユーロドルは1.11台、豪ドル/ドルは0.68台での取引が続いた。そのなかでフロー主導で神経質に動く場面も散見された。米中貿易合意については来年1月の署名が期待されている。米株式市場では、ダウ平均などが最高値を更新している。一方、米下院でトランプ米大統領の弾劾の動きも報じられたが、いずれにも市場は反応薄だった。そのなかでは、ポンド相場の下落が目立った。前週は英総選挙で保守党が過半数を確保し、ポンド相場が大幅上昇した。しかし、週明けには、英政府が離脱の移行期間延長を回避する立法を計画していると報じられ、ポンド売りが強まった。来年末の期限とあって、EUとの貿易協議の時間がわずか11カ月に限られることになる。市場には協議がまとまらないリスクが意識され、合意なき離脱を警戒している。英中銀は年内最後の金融政策発表を行い、事前予想通り政策金利を据え置いた。ポンドは神経質に上下動したあと、結局は売りに押されており、対ドル一時1.30第割れ、対円142円近辺など総選挙後の上昇を解消した。
(16日)
東京市場は、比較的落ち着いた展開だった。先週の一連のイベントを通過して、一服感が広がった。ドル円は先週末終値に近い109円台前半で取引を開始し、その後も同水準での揉み合いが続いた。値幅は18銭にとどまった。米中通商協議については第1弾合意を好感も、中身としては微妙という印象が強い。第2弾については交渉スタートも見えておらず、市場の反応が難しい。先週末に急騰したポンドドルは、1.33台後半でじり高。ポンド円は146円台半ば超えへと再び買われた。これまで、だらだらと続いてきた不透明感が払しょくされ、EUとの合意の下でのブレグジットに向かう方向がはっきりとしたことで、ポンド買いの流れが継続している。
ロンドン市場は、先週末と比較して値動きが落ち着いている。ドル円は109.40-50レベルと東京市場からやや上昇しての揉み合い。ユーロドルはポンドドルとともに振れるも、レンジは1.1130近辺から1.1150近辺と狭い。ユーロ円も121.70台から122円付近での推移にとどまっている。ポンドは前週末の大幅な値動きの余韻が残り、神経質に上下動。ロンドン朝方には上値を試してポンドドルが1.3422レベル、ポンド円が146.81レベルまで上昇。しかし、その後は売り戻しが強まって1.3323レベル、145.76レベルまで下押しされた。この日は欧州株が全般に堅調。米債利回りも安定推移。一連の欧州製造業および非製造業PMIがやや弱含んだが、ユーロ売り反応は限定的だった。英製造業および非製造業PMIも予想を下回り、ポンド売りに反応する場面があった。
NY市場で、ドル円は底堅く推移した。米株や米債利回りが上昇し、ドル円をサポート。一時109.65レベルまで買われた。この日発表の米住宅指標が強い内容だったこともフォローした。先週から引き続き米中合意が材料視されている。まだ気掛かりな点はあるものの、ひとまず合意をみせたことで安心感が広がっている。次は1月初旬に予定されている法的文書の完成と署名。その後に第2段階に進むが、具体的にどうなるか注目されている。ユーロドルは買い戻しの流れの中で、1.11台半ばでの推移。一段高にはドイツ政府の財政刺激策の動きが鍵になっているようだ。ポンドドルは戻り売りに押されて1.33台での取引。先週の総選挙を終えて、今後の英中銀の動向やEUとの自由貿易協定の交渉などが次の焦点になっているもよう。
(17日)
東京市場で、ポンドが大きく売られた。東京朝方に「ジョンソン英首相がEU離脱の移行期間延長を回避するための法改正を計画」と報じられたことが背景。一気にポンド売りが広がった。移行期間が2020年末までの期限となることで、英国とEUとの貿易交渉期間はわずか11カ月となる。市場では、合意なき離脱の可能性が懸念された。ポンドドルは1.33台を割り込んで、1.32台前半へ、ポンド円は146円台から145円割れ目前まで下落。その後はじりじりと買い戻されたが、下落の半分程度にとどまった。豪中銀金融政策理事会の議事要旨が公表された。新味はなく、市場の反応は限定的だった。ドル円は109.50付近での揉み合いに終始。
ロンドン市場は、ポンドが再び下落。ポンドドルはロンドン序盤に1.3250割れから一時1.3162レベルまで急落。ポンド円も145円台割れから144.20近辺まで下落した。総選挙後の上昇を消す動きとなっている。現時点では英政府の反応は報じられていない。英雇用統計では失業率が低水準を維持、予想外に雇用者数が増加したが、賃金の伸びがやや鈍化しており、まだら模様だった。ユーロドルは比較的小動き。ポンドドルとともに1.1130近辺まで下げた後は反転して1.1160レベルまで上昇。ユーロ円も一時122円割れもその後は122.28レベルまで高値を伸ばす動き。ユーロ圏貿易黒字が拡大したことがユーロ買いにつながった面も。ドル円は欧州株の反落には反応薄で、109.50-60レベルでの揉み合いに終始している。
NY市場は、小動き。ドル円は109円台半ばでの振幅が続いた。状況は前日と変化はなく、米中合意を好感しており米国債利回りも上昇していることから下値はサポートされている。一方、第1段階で合意はしたものの、その詳細はまだ不確定で、第2段階の交渉の道筋も見えないことから、積極的な上値追いには手控ムードも見られる。この日発表の米鉱工業生産や住宅指標も予想を上回る内容だったが反応薄。ユーロドルは1.11台半ばでの推移。そのなかでポンドは引き続き軟調。ポンドドルは1.31近辺まで一段と下落した。ジョンソン英首相がEU離脱の移行期間である2020年末の延長を回避する法改正を目指すと伝わったことで、市場は再び合意なき離脱への懸念を高めている。総選挙後の上げを失った。
(18日)
東京市場は、ポンド売りが継続。ポンド円は143円台前半、ポンドドルは1.30台後半まで下落した。英総選挙後の上げを帳消しにしている。英政府は来年1月に欧州連合(EU)から離脱した後の移行期間を、2020年末から延長することを阻止する方針である。移行期間で各国との条約締結など準備が整わない可能性が意識されている。ドル円は109.41から109.57の狭いレンジでやや上値重く推移した。米中通商協議の第1弾合意が来月初めに無事署名に至るとの期待感はあるが、合意に関する両国の発言内容は一致せず不透明感が根強いことも模様眺めムードを後押ししていた。
ロンドン市場は、ポンド相場が落ち着いた。序盤の下げはポンドドル1.3077レベルと、東京午前の安値には届かず。その後は1.3120台までの反発。前日までの下落の流れを受けた安値圏で推移している。11月英消費者物価指数は前年比+1.5%と事前予想をやや上回ったが、引き続き英中銀目標を下回っている。ポンド円は143円台前半から半ばで方向感に欠ける動き。ユーロドルは序盤に1.1126レベルまで下押しされたが、その後は1.1140台まで下げ渋った。ユーロ円は121円台後半で小高い。12月の独IFO景況感指数は95.5と事前予想や前回値から改善した。ただ、IFOエコノミストは、製造業はリセッション状態を脱していない、回復には時間がかかると分析した。一方、第4四半期の独GDPは+0.2%と予想した。ドル円は109.40-50レベルに膠着。欧州株も、値幅は限定的。
NY市場は、小動き。ドル円は前日と同様に109円台半ばでの振幅が続いた。状況に変化はなく、米中合意を好感し、米国債利回りも上昇していることから下値はサポートされている。一方で第1段階では合意したものの、その詳細はまだ不確定で、第2段階の交渉の道筋も見えないことから、積極的な上値追いには手控えムードも見られる状況。クリスマスや年末が近づいており、積極的に110円台をうかがう動きはみられず。ユーロドルは戻り売りが優勢で、1.11台前半へとじり安の動き。ポンドドルは1.30台へと下落。ロンドン市場では下落一服となっていたが、NY時間には再び上値が重くなった。合意なき離脱の不透明感がポンド相場を圧迫している。
(19日)
東京市場で、ドル円は一時上昇も続かなかった。仲値公示にかけて10銭程度買われ109.68レベルの高値を付けたが、すぐに売り戻され、その後は109.55-60レベルに膠着した。トランプ大統領への弾劾訴追が米下院で可決されたが、材料視されず。日銀金融政策決定会合は、事前見通し通りの現状維持。声明も新味なく影響はほとんど見られず。米債利回りが朝から低下傾向で、ドル円を除くとドルは若干重い。ユーロドルは1.1110台から1.1130台へと小高い。ポンドドルは1.30台後半での揉み合い。豪ドルは、雇用統計が強い内容だったことで買われた。雇用者数が予想を超える増加、失業率は予想外に低下した。対ドルで0.6850台から0.6880近辺まで買われた。
ロンドン市場は、ポンド相場が上下に振れた。英中銀の政策金利発表は事前予想通りの据え置きだった。票割れは7対2と前回の会合と同様の結果。サンダース、ハスケル両委員が利下げを主張していた。議事録では英総選挙や貿易戦争の影響を判断するには時期尚早、英経済センチメントの改善は次のブレグジットの段階如何、もし不透明感が続くのなら、成長支援策が必要に、などとしていた。ポンドは発表前に上に往って来いの値動きだったが、発表後には一時売りが強まった。しかし、すぐに切り返して上昇。その後はほぼ元の水準へと戻しており、乱高下も方向感無しに。ドル円は109円台半ば、ユーロドルは1.11台前半での推移。NY市場を控えて、やや円高方向への動きを示している。欧州株が軟調で、調整の動きへの警戒感もあるもよう。
NY市場では、ドル円が軟調。フィラデルフィア連銀指数や米中古住宅販売件数などの米経済指標が予想を下回ったことをきっかけに売りが出ている。米国債利回りが上げ幅を失ったこともドル円を圧迫。109.50近辺から一時109.20近辺まで下落した。ただ、米株式市場でダウ平均が最高値を更新しており、ネガティブな雰囲気は広がっていない。クリスマスを控えた調整の動きとみられる。ユーロドルは一時1.1110近辺まで軟化したが、大台割れは回避された。ポンドは売りが再燃。ポンドドルは一時1.30台を割り込む場面があった。英中銀の政策金利発表後の上下動から下抜けた格好だった。EUとの貿易関係への不透明感や、スコットランドの独立国民投票のリスクなどが意識されたようだ。
(20日)
東京市場は、小動き。ドル円は109円台前半での動き。NY市場では円高・ドル安方向へ調整が入ったものの、その後の東京市場ではこう着感が強い。クリスマス前の週末とあって、世界的に金融市場の模様眺めムードは強まる見通し。今週で主要中銀の今年最後の金融政策会合は終了しており、年内で注目度の高いイベントは残されていない。米国産農産物の購入金額や、関税の段階的引き下げの有無など、米中通商合意の不透明感は濃いが、懸念はひとまず脇に置かれている。ユーロ円は121円台半ばで調整含みだが、動意は限定的。EUからの移行期間に関する懸念がくすぶっているポンド円は142円台前半と前日から安値圏で底ばい。豪ドル円は75円台前半で推移。
ロンドン市場は、フロー主導でまちまちな値動き。来週のクリスマスを控えた週末とあって取引参加者が少なくなっている状況。ドル円が109円台前半での揉み合いに終始するなかで、ポンド高・ユーロ安の動きがみられた。序盤はポンド買いの動き。この日発表された第3四半期の英GDP確報値が小幅に上方改定されたことが買いを誘い、ポンドドルは1.30台前半から半ばへ、ポンド円は142円台前半から半ば超えへと水準を上げた。このあと英議会でEU離脱協定案の審議・採決が行われる予定。それに先立ってジョンソン首相は、離脱期限延長は法案に含まれないと明言した。ユーロドルはしばらく1.1120付近での膠着状態だったが、取引中盤にかけて動意付き、1.11台割れとなった。ユーロ円は121円台後半から前半へ、ユーロポンドは0.85台前半で軟調な動き。欧州株が堅調ななかで米債利回りの上昇を背景に、ユーロドルの大台割れのフローが誘発されたもよう。
NY市場はドル買いが優勢となり、ドル円は109円台半ばに戻している。特段の買い材料は見当たらなかったものの、米株式市場が最高値更新を続けていることもあり、買い戻しが出ている模様。前日は米経済指標が弱い内容だったことをきっかけに売りが強まり、109円台前半まで下落していた。上値の重さに業を煮やした短期筋の売りと見られるが、109円台前半の水準が固かったことから、今度は買い戻しに動いたものと見られる。
執筆者 : MINKABU PRESS
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