円高・ドル高の動き=外為どっとコム総研 神田卓也
円高・ドル高の動き
昨日のドル/円は、米中貿易問題を巡る楽観的な見方が後退する中、小幅に下落した。米国が複数の中国企業を人権侵害の疑いで「ブラックリスト」に掲載した事について、中国外務省が報復措置に「乞うご期待」と表明。これを受けて欧州株は下落したが、ドル/円の下値は106.80円前後に留まった。NY市場でも、米国が中国・新疆ウイグル自治区でのイスラム教徒の弾圧に関与した中国当局者へのビザ発給を制限すると発表した事などから米国株が値下がりしたが、107円割れの水準では底堅く推移した。リスク回避局面ではドルが強含む傾向(円以外の通貨に対して)にあるが、昨日も対ポンドを中心にドル高が進行しており、こうした動きがドル/円の下値を支えたと見られる。
本日のドル/円は、米中通商協議の進展に対する期待が薄れた事で上値の重い展開が見込まれるが、ドルの底堅さも考慮すると107.00円を挟んだもみ合いの展開になりやすいと考えられる。ただ、米中通商問題に絡む観測報道の「ヘッドライン・リスク」には引き続き警戒が必要だろう。
執筆者 : 神田卓也|株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長
株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 証券株式会社を経て、1991年㈱メイタン・トラディション入社。インターバンク市場にて、為替・資金・デリバティブ等の取引業務を担当し、国際金融市場に対する造詣を深める。2009年同社入社。