[資源・新興国通貨9/16~20の展望] トルコ中銀は3.25%の利下げを決定

達人の予想 

豪ドル

豪ドルは今週(9/9の週)、対米ドルや対円で6週間ぶりの高値を記録しました。米中貿易摩擦をめぐる懸念が後退し、それが投資家のリスク意識の変化を反映しやすい豪ドルにとって追い風となりました。米中両国は貿易摩擦解消に向けて、9月半ばに次官級協議、10月に閣僚級協議を行う予定。中国は9月11日に一部の米国製品を追加関税の対象から除外すると発表し、米国も同日、すでに課している対中追加関税の税率引き上げを2週間延期するとしました。

米中貿易摩擦が激化するなどして、市場でリスク回避の動きが強まらなければ、豪ドルは引き続き堅調に推移しそうです。豪ドル/米ドルは0.69米ドル台へ定着し、豪ドル/円は75円台に乗せるかもしれません。ただし、来週(9/16の週)は米FOMCや日銀金融政策会合が開催されます。それらの結果も豪ドル/米ドルや豪ドル/円に影響を与えそうです。なお、豪州の経済イベントは、9月17日にRBA(豪中銀)議事録、19日に豪州の8月雇用統計があります。

NZドル

豪ドルと同様、足もとでリスク回避の動きが弱まっていることはNZドルにとってプラス材料であり、NZドルは引き続き底堅く推移する可能性があります。

来週(9/16の週)は、19日発表のNZの4-6月期GDPが材料になるかもしれません。RBNZ(NZ中銀)が11月に追加利下げを行うとの観測が市場にあるなか、GDPがRBNZの8月時点の見通し(前期比+0.5%)を大きく下回る結果になれば、利下げ観測は一段と高まる可能性があります。その場合、NZドルは上値が重くなると考えられます。

また、米FOMCや日銀金融政策決定会合の結果もNZドル/米ドルやNZドル/円の動向に影響を与えそうです。

カナダドル

カナダドル/円(日足。2019/5/13~)
カナダドル/円(日足。2019/5/13~)

今週(9/9の週)のカナダドルは、原油価格の反落が重石となり、対米ドルで弱含みました。一方、対円は異なり、リスク回避の動きが弱まった(円安材料)影響の方が大きく、6週間ぶりの高値を記録しました。

原油価格には下押し圧力が加わりやすいかもしれません。「トランプ米大統領は対イラン制裁の緩和を検討している」との報道があるうえ、主要産油国が12日の閣僚級会合で協調減産の強化を見送ったためです。原油価格が軟調に推移すれば、カナダドルは上値が重い展開になりそうです。

対円は円相場の動向にも影響を受けそうです。ただ、カナダドル/円は200日移動平均線(9/12時点で82.228円水準に位置)に接近しており、テクニカル面から“売り(カナダドル売り/円買い)圧力”が加わりやすいかもしれません。

トルコリラ

TCMB(トルコ中銀)は9月12日の会合で、3.25%の利下げを決定。政策金利(1週間物レポ金利)を19.75%から16.50%に引き下げました。7月(4.25%)に続く、大幅な利下げです。

TCMBは声明で、「インフレ見通しは引き続き改善した」と指摘し、さらに「8月に大幅に低下した」と強調。内需の状況や金融引き締めの水準が引き続きディスインフレを支えており、「年末時点のインフレ率は、7月のインフレ報告で示した見通し(+13.9%)を若干下回る可能性がある」と分析。それらを踏まえて3.25%の利下げを決定したと説明しました。

一方で、「現時点で現在の金融政策スタンスは、予想されるディスインフレの道筋とおおむね整合性が取れている」と表明。利下げペースが今後鈍化することを示唆しました。

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TCMBの大幅な利下げにもかかわらず、政策金利発表後にトルコリラは上昇しました。声明で先行きの利下げペース鈍化が示唆されたためと考えられます。TCMBの政策会合が終わり、目先の材料がいったん出尽くした感もあるため、トルコリラは当面、底堅く推移するかもしれません。

ただし、米国による対トルコ制裁に注意は必要です。トルコがS-400(ロシア製地対空ミサイルシステム)の導入を進めていることについて、ムニューシン米財務長官は9月9日に「トルコに対して制裁を検討している」と語りました。米国が対トルコ制裁に動いた場合、トルコリラは下落するとみられます。

南アフリカランド

南アフリカランドは今週(9/9の週)、対米ドルや対円で6週間ぶりの高値を記録しました。足もとで米中貿易摩擦をめぐる懸念が後退し、リスク回避の動きが弱まっています。それが新興国通貨であるランドを支援したほか、南アフリカのGDPの強い伸びや格下げ懸念の後退もランドを押し上げました。

南アフリカの4-6月期GDP(9/3発表)は前期比年率+3.1%と、市場予想の+2.4%を上回りました。格付け会社のムーディーズは10日、「南アフリカの財政リスクや経済改革をめぐる政治的な制約は、現在の格付けにすでに反映されている」と表明。ムーディーズにおける南アフリカの格付け(外貨建て長期債務)は、投資適格級最低の“Baa3”。格下げされればジャンク(投機的等級)に転落します。ムーディーズは11月1日に南アフリカの格付けを見直す予定です。

リスク回避の動きが再び強まることに注意は必要ですが、南アフリカランドはさらに上値を試す可能性があります。ランド/円は200日移動平均線(9/12時点で7.633円水準に位置)が目先の上値メドになりそうです。

9月19日のSARB(南アフリカ中銀)会合では、政策金利の据え置き(現在6.50%)が決定されそうです。

メキシコペソ

メキシコペソ/円(日足。2019/5/13~)
メキシコペソ/円(日足。2019/5/13~)

エブラルド・メキシコ外相は9月10日、不法移民問題についてペンス副大統領ら米政府高官と会談しました。メキシコが不法移民対策を強化することを条件に、米国は6月に対メキシコ関税の発動を“期限を設けず”に延期。今回の会談は、不法移民対策の評価期間(90日間)が終了したことを受けたものです。

エブラルド外相は会談後の会見で、メキシコの不法移民対策の効果を強調。一方、米国は声明を発表し、メキシコの不法移民対策について進展があったとしつつも、「米国への不法移民の流入をさらに減らすために、やるべきことが残っている」としました。なお、会談では関税について議論されなかったようです。

不法移民対策の成果を踏まえ、今後、米国は追加対策の必要性や関税発動の是非についての判断を下すと考えられます。それらに関する報道が出てきた場合、メキシコペソが反応する可能性があり、要注意です。

メキシコペソ/円は今週(9/9の週)、6週間ぶりの高値を記録しました。リスク回避の動きが弱まったためです。それは新興国通貨のメキシコペソにとってプラス材料であると同時に、円安要因でもあります。ペソ/円は引き続き底堅く推移する可能性があり、上値メドとしては200日移動平均線(9/12時点で5.670円水準に位置)が挙げられます。

八代 和也

執筆者 八代 和也|マネ―スクエア シニアアナリスト

マネースクエア シニアアナリスト。資源・新興国通貨を中心に分析し、マネースクエアのWEBサイトにてレポート(「ウィークリー・アウトルック」、「デイリー・フラッシュ」など)配信のほか、動画コンテンツ「M2TV」出演、セミナー講師を務めている。

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