全体的に方向感のない中、ドル円は145円台半ばに下落=NY為替概況
全体的に方向感のない中、ドル円は145円台半ばに下落=NY為替概況
きょうのNY為替市場、全体的に方向感のない展開が見られた中、ドル円は145円台半ばに下落。ここに来て米中貿易協議の進展を受けた動きも一巡し、リスク選好の雰囲気も一服しており、円の買い戻しも出ていたようだ。
本日は4月の米生産者物価指数(PPI)と小売売上高が発表され、米景気減速とインフレ鈍化を示唆していた。一部からは、年内2回のFRBの利下げとの見方を後押しする内容との見方も出ている。現在、短期金融市場では9月と12月の2回の米利下げを織り込んでいる状況。
ドル円は4月22から5月12日までの上昇波の38.2%戻しが145.20円付近に来ており、節目の145円とともに目先の下値メドとして意識される。一方、本日の21日線は144円付近にあり、この水準はまだ距離がありそうだ。
ユーロドルは1.12ドルを挟んで上下動。ただ。上値は依然として重く4月下旬以降の下げトレンドは継続している。エコノミストからは、ユーロ圏の成長鈍化でECBは利下げを継続するとの指摘が出ている。ECBは今夏の追加利下げを通じて、ユーロ圏経済の重荷をさらに取り除く可能性が高いという。この日はユーロ圏の第1四半期GDP改定値が公表されていたが、前期比プラス0.3%と従来予想を若干下回る成長となっていた。この最新のGDPデータがECBの追加利下げの可能性を示唆しているとしている。
同エコノミストはまた、今回の成長の一部は特に製薬の拠点であるアイルランドでの関税の前倒し生産が押し上げ要因になったと分析。先行きについては、来年にかけて経済は緩やかなペースの成長に留まると予想。その上で、ECBは6月と7月にそれぞれ0.25%ポイントの利下げを実施する可能性が高いという。
ポンドドルは1.32ドル台後半での上下動が続いていたが、終盤に1.33ドル台に上昇。ただ、全体的には方向感のない値動きを続けていた。本日の21日線が1.3310ドル付近に来ているが、その下での推移が続いている。下放れる気配まではまだないが、21日線が強めの上値抵抗となっているようだ。
本日は1-3月期の英GDP速報値が公表されていた。前期比0.7%のプラス成長と予想を上回る強い数字となり、英中銀の利下げ期待の後退を裏付ける内容ではあった。
しかし、今回の強い数字は関税の先取りなど一時的な要因によるもので、恐らく今年の成長のピークを示すものだとの指摘も出ている。関税と税金の引き上げ、そして不確実性の高まりにより、英経済の成長は今後鈍化する見込みだという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。