【これからの見通し】米雇用統計をチェックして来週のパウエル議会証言に備える
【これからの見通し】米雇用統計をチェックして来週のパウエル議会証言に備える
きょうは米雇用統計に市場の関心が集まっている。今回発表される6月の数字は失業率が3.6%と前回からの低水準を維持する見込み。前回7.5万人増と低迷した非農業部門雇用者数は16.0万人増に回復する見込み。平均時給は前月比+0.3%、前年比+3.2%と予想されており、それぞれ前回から0.1%ポイント上昇する見込みとなっている。
非農業部門雇用者数に関しては事前のエコノミスト予想のレンジは10万人増から22万人増と幅広い。それでも結果が予想レンジから離れることがあり、要注意の指標となる。市場では7月FOMCでの0.25%利下げを織り込んでおり、数字次第では0.50%利下げに再び見方が傾く可能性もある。一方で、賃金動向にも注意したい。平均時給の伸びが加速する予想となっている。総じて予想通りであれば、市場はそれほど極端な反応は示さないだろう。
来週10日にはパウエルFRB議長が下院金融委員会で半年に一度の議会証言を行う。同日にはFOMC議事録(6月18-19日開催分)も公表される。米雇用統計とともに大きなイベントリスクとなっており、週末にかけてはポジション調整が入る可能性にも留意しておきたい。
きょうは米雇用統計とともにカナダの雇用統計も発表される。6月失業率は5.5%と前回5月の5.4%から小幅に悪化する見込み。雇用者数の増減は0.99万人増と予想されており、前回5月の2.77万人増からは伸びが鈍化する見込み。予想通りであれば、カナダドル売り圧力が広がりそうだが、事前の相場の織り込みなどにも注意しておきたい。
先ほど発表された5月のドイツ製造業受注は前月比-2.2%、前年比-8.6%と前回および予想いずれからも下方乖離する結果だった。このところECB当局者からは利下げの議論が持ち出されている。次期総裁に指名されたのが政治家であるラガルド氏であることも、景気対策を重視するとの思惑を呼びやすい。ユーロ相場には売り圧力がかかりやすくなっており、米利下げ観測に基づくドル売り圧力とぶつかり合う状況にある。
また、きょうは中国関連の報道が多かった。中国側は、貿易協議での合意には米国の制裁関税撤廃が必要だとあらためて述べており、G20サミットでの米中首脳会議を経てやや強気姿勢に戻っているようだ。香港関連では英国の干渉に反発、南シナ海での対艦弾道ミサイル発射実験報道、中国業界団体の調査要請受けて鉄鉱石先物が大幅安など。中国関連でのリスク材料が数々と報じられている。豪ドルなどリスク動向に敏感な通貨が圧迫されやすくなっている。
minkabu PRESS編集部 松木秀明

執筆者 : MINKABU PRESS
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