【来週の注目材料】メイ首相窮地に?15日の採決は否決見込み濃厚<英下院EU離脱協定採決>


 今年3月末に迫る英国のEU離脱期限。
11月にメイ首相が取りまとめたEU離脱協定案についてEU首脳との間で合意がなりましたが、
協定案を成立させるために必要な議会での採決合意が難航しています。

 元々、メイ首相は先月時点で同協定の採決を行う予定となっていましたが
合意の目途が立たず、今月に先送りとなりました。

 英与党保守党は下院で過半数を確保しておらず、
北アイルランドの地域政党DUP(統一党)が閣外協力する形で過半数超えとなっています。
しかし、DUPは離脱協定でのバックストップ条項に反対し、
同条項が削除されない限り、同協定に反対するとの姿勢を打ち出しています。
(なお、英国は二院制ですが、上院である貴族院は実質チェック機能しかなく、下院採決がほぼすべてです)

 この時点で過半数を超えることが出来なくなっていますが
さらに与党保守党内にも同協定に反対する議員が相当数おり
年が明けても可決の目途は見えません。

 9日から同協定案をめぐる審議が英下院で再開されていますが、
その中で離脱案承認ムードが強まるどころか、
メイ首相への圧力が強まる展開に。

 否決された場合、従来は21日以内に代替案(プランB)を提出する予定となっていましたが、
9日の下院で、離脱案が否決された場合、プランBを議会開催日ベースで3日以内に提出することという動議が
与党保守党の離脱強硬派議員から出され、野党労働党などが乗る形で僅差ながら成立。
メイ首相へのある力が強まるとともに、
首相の求心力低下が印象付けられる展開となりました

 現状を考えると、15日の採決は否決が濃厚。
メイ首相は3月29日の離脱期限について、延長交渉をEU側と交渉するなどの動きを見せる可能性がありますが
現状では否定しています。
また、二度目の国民投票実施についても否定的な見方が多く
事態は相当に混乱しそうな状況です。

 英国のブックメーカーは10日、
15日の採決が否決される確率を87.5%と報じました。
現状で得られる得票数については237票が目途となっており、
実際に必要な308票(過半数は326票だが、欠席するシンフェイン党、投票に参加しない議長・開票係などを除いた数字)に
はるかに届かないという見通しです
 3月までにプランBなどが合意される確率についてもかなり低く見積もっており
このまま合意なき離脱に向かう可能性について
73%という数字を出しています。

 とはいえ、合意なき離脱になった場合、英経済に与える影響はかなり深刻。
英国の国立経済社会研究所(NIESR)は、
EUとの合意の下でのEU離脱を前提に
今年、来年の経済成長率を、それぞれ+1.9%、+1.6%と
堅調な数字を見込んでいますが、
合意なき離脱になった場合はいずれも+0.3%にとどまると
かなり深刻な影響が出ることを見込んでいます。
カーニー英中銀総裁も、合意なき離脱になった場合、
1970年代の石油ショック並みの大型不況が英国を襲うと継続しています。
 
 ポンド売りの動き一気に進むとみられるだけに、今回の採決は要注意。
9日から始まった審議は、15日まで五日間続けられ、
(こうした状況でも土日はしっかり休むあたりが英国らしいです。年末年始もがっつり休みましたし)
15日の英国時間午後7時(日本時間で16日午前4時)以降に採決となります。

minkabuPRESS編集部山岡和雅

出所: minkabuPRESS

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