【来週の注目材料】米物価は上昇傾向を維持か=米消費者物価指数
【来週の注目材料】米物価は上昇傾向を維持か=米消費者物価指数
10日に米労働省が5月の米消費者物価指数(CPI)を発表します。ウォーシュ新FRB議長の下、早期の利上げがあるかどうかのカギを握る物価統計の中で、市場の注目度が最も高い指標となっています。
前回4月の米CPIは、前年比+3.8%と3月の+3.3%から伸びが加速しました。変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア前年比も+2.8%と3月の+2.6%から伸びが加速しています。ともに市場予想を小幅ながら上回る強い結果となりました。
内訳をみると、ガソリンが前年比+28.4%と大きく伸びたことで、エネルギー全体でも+17.9%と高い伸びとなり、総合指数の伸びを支えています。ガソリンは対イラン軍事作戦を受けて、2月から3月にかけて前月比+21.2%と大きく伸びた後、4月も前月比で+5.4%と上昇傾向が継続しています。
食品は家庭用食品が前年比+2.9%と3月の+1.9%から伸びが大きく加速し、全体でも+3.2%と高い伸びになりました。食品は牛肉の伸びが目立つほか、野菜や果物など幅広い品目で価格上昇がみられます。ガソリン価格の上昇を受けた輸送コスト高が価格を押し上げているとみられます。また、中東情勢を受けて世界的な肥料価格の高騰が見られ、食品価格にも影響を与えている可能性があります。肥料の生成に必要なアンモニアの生産に不可欠な天然ガス資源を豊富に抱える湾岸諸国が、世界的な肥料の生産地となっており、ホルムズ海峡の封鎖を受けて供給が滞っているためです。こうした動きは中長期にわたる野菜・果物・畜産価格の上昇につながると警戒されています。
コア指数は財部門が前年比+1.1%と3月の+1.2%から小幅に鈍化。前月比で+0.03%とかなり低い伸びにとどまっています。衣料品が6か月連続で伸びが強まり+4.2%まで伸びていますが、新車価格の低下が見られるなど、項目ごとにまちまちで、全体で相殺されました。
サービス部門は前年比+3.3%と3月の+3.0%から伸びて全体の伸びにつながりました。コアサービスの58.6%と相当部分を占める住居費が前年比+3.3%と伸び、全体を押し上げる形となりました。ただ、こちらは特殊要因によるところが大きいです。住居費のうち家賃などは比較対象を6つのサンプル群に分けて半年ごとの変化を確認する形で算出します。しかし昨年10月は米政府機関閉鎖の影響でデータが取れず、昨年10月のデータは昨年4月のデータで置き換えました。そのため、実態よりも低く出ていたとみられ、その比較で今回が高くなったという結果になりました。今後は正常化していくことが期待されています。
11日には5月の米生産者物価指数(PPI)が発表されます。こちらは前回がサプライズを伴う強さとなりました。4月は前年比+6.0%と3月の+4.3%から一気に伸びが加速、市場予想の+4.8%をはるかに上回り、3年4か月ぶりの高い伸びとなりました。食品とエネルギーを除くコア前年比も+5.2%と3月の+4.0%から一気に伸び、市場予想の+4.3%を大きく超えています。
PPIはCPIに比べてコスト上昇時の価格転嫁が起きやすい面があり、エネルギー価格の上昇を受けた輸送・倉庫コストの拡大などがPPIを押し上げたほか、卸売業、小売業のマージンなども拡大しています。こうした性質から、PPIはCPIの先行指標とされており、今回の大きな伸びが今後のCPIの上昇につながると見込まれます。
こうした状況を受けて今回の見通しですが、CPIは前年比+4.2%、コア前年比+2.9%と4月を超える伸びが見込まれています。1日に発表された5月の米ISM製造業景気指数で価格指数が82.1と高い水準で推移。3日発表の同非製造業景気指数では価格指数が71.3に上昇し、2022年8月以来の高水準となっています。物価の上昇傾向が印象付けられる状況となっており、CPIでも高い伸びが見込まれる状況です。
前回のCPIを押し上げたガソリン価格については、EIA(米エネルギー情報局)による全米全種平均で4月の1ガロン当たり4.236ドルから5月は4.609ドルへ前月比+8.8%の伸びとなっており、今回も全体を押し上げるとみられます。さらに、前回大きく伸びたPPIが勢いを維持しているようだと、米国の物価高警戒から利上げ期待が高まり、ドル高を誘発する可能性があります。
MINKABUPRESS 山岡
執筆者 : MINKABU PRESS
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