【これからの見通し】異次元のリスク回避相場、米国売りの様相も呈するなかで週末を迎える
【これからの見通し】異次元のリスク回避相場、米国売りの様相も呈するなかで週末を迎える
今週はトランプ関税をめぐって市場が大混乱に陥っている。高率の関税が世界経済に悪影響を与えることが懸念されるほか、米国経済自身への悪影響を心配する動きも強まっている。いわゆる米国売りの状況もみられ、米株安、ドル安に加えて米国債売りによって利回りが急上昇する場面もあった。米国から資金が逃げ出す状況が懸念されて、トランプ大統領が急遽、一部関税を90日間停止したことは記憶に新しい。ただ、中国との貿易戦争はより一層深刻化しており、混乱はまだ続きそうだ。
ドル円は今日の東京市場で一時142円台まで売られる場面があった。ドル円以上に下げがきついのがドルスイスで、一時0.82の節目水準を割り込んだ。ドル売りの相手先としてスイスフランと円が買われる構図がみられている。
市場はトランプ関税関連の報道に振り回されており」、経済指標は過去の数字とする後追い感が強いようだ。主要国の金融当局者は市場の利下げ観測拡大を横目に、待ち・様子見の姿勢を取っている。市場とのコミュニケーションもかなり崩壊しているようだ。
このような不確実な状況の下で、週末を迎えることとなる。トランプ関連の新たな情報に振れ回されやすい点は留意しつつも、週末を控えた急速なポジション調整といった相場の自律的な動きにも警戒していきたい。
この後の海外市場で発表される経済指標は、インド鉱工業生産指数(2月)、メキシコ鉱工業生産指数(2月)、米生産者物価指数(PPI)(3月)、米ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)(4月)、ドイツドイツ経常収支(2月)などが予定されている。米PPIの予想は前年比+3.3%と前回の+3.2%から若干の上昇見込み。コア前年比も+3.6%と前回の+3.4%からの上昇が見込まれている。ミシガン大指数は53.5と前回の57.0から低下する予想になっている。
発言イベント関連では、ラガルドECB総裁がEU財務相理事会(非公式)で記者会見を行う。カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、コリンズ・ボストン連銀総裁などがメディアに出演する。ムサレム・セントルイス連銀総裁、ウィリアムズNY連銀総裁などが米経済見通しおよび金融政策について講演を行う。米主要企業決算は、モルガンスタンレー、JPモルガン、ブラックロック、ウェルズファーゴなど金融機関の発表が予定されている。いずれもトランプ関税に対する文脈が注目されよう。
minkabu PRESS編集部 松木秀明

執筆者 : MINKABU PRESS
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