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為替相場まとめ8月12日から8月16日の週

為替 

 12日からの週は、円売りが優勢だった。この週は米景気動向に市場の関心が向かった。インフレ指標として代表的な13日の米生産者物価指数と14日の米消費者物価指数については、多少の強弱はありながらも、インフレ鎮静化の方向性と市場は受け止めていた。市場の反応はそれほど大きなものとはならなかった。しかし、15日に発表された米小売売上高と新規失業保険申請件数には市場の反応が大きかった。小売売上高が予想を上回り、新規失業保険申請件数は2週連続での減少となった。先週のショック相場直後には市場で1週間以内の米50bp利下げ観測と、かなり悲観的な見方もでていたが、その後は次第に9月の50bp利下げ観測へと傾いた。そして、足元では9月の25bp利下げ観測に落ち着きつつある状況だ。米経済のハードランディング観測が後退したことで、米株が大幅上昇、為替市場ではリスク選好の円売りが強まった。ドル指数は神経質に上下動も、7月以降の低下の流れに大きな変化はみられていない。

(12日)
 東京市場は山の日の振り替え休日のため休場。

 ロンドン市場は、円安の動き。先週前半の混乱した相場展開は落ち着いてきており、週明けの株式市場は総じて底堅く推移している。リスク動向が改善しつつあるなかで、為替市場では円売りが継続している。ドル円は146円台半ばから147円台半ばをうかがう動き。ユーロ円は159円台後半から161円台乗せ、ポンド円は187円付近から188円台前半へと上昇してきている。一方、ドル相場ははっきりとしない動き。ドル指数は先週末のレンジ内での揉み合いに終始している。ユーロドルは1.09台前半、ポンドドルは1.27台半ばから後半での上下動となっている。このあとのNY市場では主要経済統計発表は予定されていない。明日の米生産者物価指数、明後日の米消費者物価指数待ちとなっている。また、明後日には英消費者物価指数も発表される。

 NY市場では、ドル円が反落。ドル円はいったん148円台に上昇したが、大台を維持できず147円台前半に急降下した。円キャリー取引の巻き戻しは一服し、ドル円は急落からの下げを取り戻しているが、上値追いには慎重になっている印象。円キャリー取引のポジション調整はひとまず終了との見方もあるが、円を再び積極的に売って、ドル円を押し上げようという雰囲気まではない。タカ派色を強めていた日銀も、株急落で一歩引いている感じもある。元日銀審議委員から、年内の追加利上げは無理との見解も出ていたようだ。米PPIやCPI、小売売上高待ちとなっている。ユーロドルは1.09台前半での狭いレンジ取引。ポンドドルはポンドドルは一時1.28台手前まで上昇と、買い戻しが続いた。ポンドにとっては、明日以降の英雇用統計、英消費者物価指数発表などが待たれている。

(13日)
 東京市場では、円売りが優勢。ドル円は朝方に146.92近辺まで下押しされたが、連休明け東京株式市場で日経平均が大幅高で寄り付き、午前中には36000円台を一時回復する動きを見せると、147.52近辺まで上昇。その後の調整で147.20台まで下げたが、午後には株高が再燃、日経平均が1200円超高となるなかで147.82近辺まで上値を伸ばした。クロス円も堅調。ユーロ円は160.60台を安値に、161.70台まで1円超の上昇となった。ユーロドルは1.09台前半で小動き、朝から12ポイントレンジ。株式動向をにらみつつの円相場主導の展開だった。

 ロンドン市場は、円売りが一服。ドル円はロンドン時間に入ると147円台後半で上昇一服に。欧州株は寄り付き時は買いが先行も、次第に上値が重くなり下げに転じている。また、ユーロとポンドは対照的な値動き。ロンドン朝方に発表された英ILO雇用統計では、失業率が予想外に低下、雇用者数も予想外に増加した。ポンドはこれを受けて上昇。ポンドドルは1.27台後半から1.28台乗せ、ポンド円は188円台から189円台半ばまで買われた。一方、ユーロ相場は上値が重い。独ZEW景況感が予想以上の悪化を示したことがユーロ売りを促した。独ZEWは「ドイツ経済見通しは崩れつつある」「経済への期待は、依然として高い不確実性に影響されている可能性高い」などと警戒感を示した。ユーロドルは1.09台前半で軟調に推移。ユーロ円は161円台後半まで買われた後、161円台前半へと押し戻されている。米生産者物価指数の結果を見極めたいとして、調整ムードが広がった。

 NY市場では、ドルが売られた。7月の米生産者物価指数(PPI)が予想を下回り、インフレ鈍化を示したことから、為替市場はドル売りの反応が強まっている。ドル円もストップを巻き込んで146円台に一時下落。米PPIを受けて、9月FOMCでの利下げ観測がさらに強まっており、短期金融市場では50bpの大幅利下げの可能性が再び高まっている。前日は半分以下の確率だったが、現在は55%といったところ。ユーロドルは買いが優勢となり、1.10手前まで上昇した。心理的節目の1.10ドルを再び突破して行くか注目の展開に。短期金融市場では9月のECBの利下げをほぼ完全に織り込んでいる。ポンドドルの堅調で、一時1.2875近辺まで上昇。この日発表の英雇用統計では失業率の低下がポンド買いを誘っていたが、賃金の上昇が鈍化しており、市場では年内に2回の追加利下げの可能性も指摘されていた。

(14日)
 東京市場で、ドル円は下に往って来い。朝方には株高を受けて147.20付近まで上昇。その後は一転して146.08近辺まで売りに押された。岸田首相が次期総裁選の不出馬を発表。この発表をきっかけに株売りが強まり、高値から600円近く下げる中で、円買いとなった。下げ一巡後は午後に147円台を回復。NZ中銀は見方が分かれるなかで25bpの利下げを発表した。NZドル売りの反応が広がり、対ドルで0.60台後半から前半へと下落。対円では89円台前半から88円ちょうど近辺まで下落した。

 ロンドン市場は、円売りが優勢。欧州株が堅調に推移し、東京午後から一段と円安が進行した。ドル円は147.50付近に高値を更新。クロス円も買われ、ユーロ円は162円台前半へ、ポンド円は189円台前半へと高値を伸ばした。ただ、ユーロ買いの勢いほどポンドは買われていない。日本時間午後3時に発表された7月英インフレ指標で、消費者物価指数の伸びが予想を下回り、コア指数やサービスインフレが鈍化した。ポンドドルが1.28台後半から前半に下落する一方、ユーロドルは1.09台後半から1.10台前半へと上昇。ポンド売り・ユーロ買いの動きが強まっている。ユーロドルは節目となる1.10台に乗せると高値を1.1030近くに伸ばし、1月2日以来の高値水準となった。足元では、欧州株がやや上げ幅を縮小、ドル円やクロス円の買いも一服しており、日本時間午後9時30分の米消費者物価指数の発表待ちに。

 NY市場で、ドル円は147円を挟んで上下動した。7月の米消費者物価指数(CPI)が発表になり、ほぼ予想通りの内容となた。ただ、為替市場はドル買いの反応を見せ、ドル円は147円台半ばまで上昇した。しかし、買い一巡後は146円台に再び値を落とす場面がみられた。7月の米CPIは6月に引き続きインフレの鈍化傾向を示し、FRBの9月利下げへの期待は追認する内容ではあった。しかし、市場の一部では0.50%ポイントの大幅利下げの可能性を高める内容になるとの期待も出ていたことから、その点では鈍化ペースも緩く、物足りない内容となったようだ。短期金融市場では大幅利上げの確率を前日は55%程度で織り込んでいたが、米CPIを受けて40%程度まで低下した。ユーロドルは1.10台を回復し、一時1.10台半ばに上昇。米消費者物価指数(CPI)の発表でユーロドルも戻り売りに押される場面も見られたが、動きが一巡すると再び上値追いの流れに戻している。ポンドドルは1.28台で上下動。

(15日)
 東京市場で、ドル円は147円台で振幅した。午前の取引で147.61近辺まで一時上昇。午後には一転して147.06近辺まで反落している。米10年債利回りが午後に低下に転じたことがドル売り圧力となっていた。ユーロドルは1.1003近辺まで下落したあと、午後には午前の下げを帳消しにした。ユーロ円はいったん162.46付近まで上昇したあと、午後に一時162円台を割り込んだ。日本時間今夜9時30分に7月の米小売売上高などの発表を控えて、一方向には動きにくい相場展開となった。豪ドルは7月の豪雇用統計で正規雇用者数が増加したことで買われた。対ドルでは0.6637近辺、対円では97.68近辺まで一時上昇。

 ロンドン市場は、全般に落ち着いた展開。今週の注目指標である米生産者物価指数と米消費者物価指数発表を通過して、株式市場・為替市場ともに波乱なく推移している。市場の視線が来週末のジャクソンホール会合に移ってきていることや、夏休みシーズンとなっていることも影響しているようだ。ドル円は前日NY終値を挟んで、147円台での売買が続いている。ユーロドルは1.10台乗せ水準を維持も、値幅は13ポイント程度に抑えられている。ユーロ円は162円台割れ水準から162円台前半と、ドル円と同様に前日NY終値を挟む取引。そのなかで、ポンドは堅調に推移。日本時間午後3時に発表された第2四半期の英GDP速報値が予想通りの伸びを示すと、ポンド買いの反応がみられた。ポンドドルは1.28台前半から後半へ、ポンド円は189円付近から189.50付近へと上昇。
 
 NY市場では、ドル買い・円売りが強まった。ドル円は買いが強まり、149円台に上昇した。7月の米小売売上高が予想を上回る伸びを示し、新規失業保険申請件数も前回から減少したことに反応。今回の結果を受けて市場では、9月FOMCでの利下げ期待は温存されているものの、50bpの大幅利下げについては可能性を大きく後退させている。短期金融市場での大幅利下げの確率は25%程度まで低下。米国は物価よりも実体経済、特に雇用の方に焦点が移っている。きょう発表の米小売売上高でソフトランディングへの期待が高まり、株高もあってドル円は下値をサポートされたようだ。ユーロドルは戻り売りが強まり、一時1.09台半ばまで下落した。ポンドドルは下に往って来いの展開。米小売売上高の発表で1.28ちょうど付近まで下落したものの、売りが一巡すると買い戻しが活発化し、指標発表前の水準に戻した。米株高とともにクロス円が買われており、ドル高とともに円安も進行した。ユーロ円は163円台、ポンド円は191円台に上昇。

(16日)
 東京市場では、ドル円の調整の動き。前日NY市場では米小売売上高の好結果を受けて147円台から149円台前半へと買われた。東京朝方も高値圏で取引を開始。一時149.35近辺をつけたあとは、調整売りに押されて148.74近辺まで下落した。しかし、日経平均が1000円超高と買われる動きに、次第にリスク選好の円売りが下支えし、午後には再び149円台へと戻した。ただ、朝方の高値には届かず。ユーロ円も163.80台から一時163.35近辺まで下落も、その後は163円台後半に下げ渋っている。ユーロドルは1.09台後半での強保ち合いにとどまった。
 
 ロンドン市場は、ドル売りと円買いが優勢。ドル円は上値重く推移している。149円付近で揉み合ったあと、売りに押されており、一時148.10台まで下値を広げている。昨日のNY市場では強い米小売売上高などを受けてドル円は147円台から149円台まで急伸したあと、きょうは反落している。一方、ポンドドルは1.2909台乗せに高値を伸ばし、ユーロドルは1.10手前まで買い戻されている。ドル指数は10日線を下回る水準に低下。欧州株は高安まちまちとなっているが、クロス円も上値が重い。ユーロ円は163円台後半から162円台後半へ、ポンド円は192円付近から191円台前半へと軟化している。きょうのロンドン市場は調整主導の動きとなっている。

 NY市場でドルは再び売り優勢となり、ドル円は147円台に再度下落した。この日発表の8月調査分のミシガン大消費者信頼感指数が予想を上回ったことでドルは一旦買い戻されていたが、動きが一巡すると、再びドル売りの流れに戻っている。FRBが9月FOMCで利下げを実施するとの見方には変化はないほか、イスラエルとハマスの停戦交渉が再開している。中東情勢の緊迫化が一服し、原油相場が下落していることも、リスク回避のドル買い需要を後退させている模様。

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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