為替相場まとめ7月22日から7月26日の週
22日からの週は、円高が進行した。ドル円は一時151円台まで下落する場面があった。7月3日につけた161.95近辺の高値から、昨日には151.94近辺まで下落。1カ月に満たない短期間で10円幅の円高進行となった。クロス円も総崩れとなった。7月に入ってからは、米CPIが弱含んだタイミングで2日連続で政府日銀が介入の動きをみせて市場に強烈なパンチを浴びせたことが円高のきっかけだった。その後は、トランプ発言、バイデンの出馬撤退などが円買い材料とみられた。また、日本側からは、河野デジタル相や自民党の茂木幹事長などから円安に強い懸念が示され、日銀に利上げへの圧力をかけたことも大きな材料に。さらに、世界的に株式市場が崩れていることもリスク回避の円買いにつながった。これまで相場をけん引してきた米半導体株などが急反落する事態となり、日経平均も一日で一時1300円超の下落となった。中国の成長鈍化も不透明感を広げ、銅相場や原油などの商品市況が下落した。市場ではこれまでの円キャリー取引の巻き戻しが強まったとの見方も出ている。一方、第2四半期の米GDP速報値が強含んだことでドル円が反発する動きもみられた。円相場主導でかなりボラタイルな相場が続いた。来週31日には日銀決定会合と米FOMCが予定されている。市場では円高相場が短命の終るのか、持続性が確認されるのか。日米金融当局の出方待ちになっている。
(22日)
東京市場は、円高の動き。ドル円は157.40付近で週の取引をスタート。週末にバイデン大統領が次期大統領選からの撤退を表明と大きなニュースが入ったが、相場への影響は限定的だった。午前中に157.10台から157.60付近で振幅したあと、午後に入ると一気に円買いが入り157.01近辺まで下落した。ユーロ円は171.68近辺を高値に170.91近辺まで、ポンド円は203.61近辺から202.78近辺まで急落。クロス円はドル円以上に下落している。ユーロドルは1.09台乗せのあと、1.0883近辺に軟化。ポンドドルも1.2939近辺を高値に1.2912近辺に水準を下げた。中国人民銀行は大方の予想に反して利下げに踏み切った。朝に7日物リバースレポ金利を引き下げ、最優遇貸出金利(ローンプライムレート)も引き下げるのではとの思惑からオフショア人民元が売られた。
ロンドン市場では、円相場が振幅。円買いが先行し、ドル円は東京午後から売りが強まった。東京昼前には157.60台まで買われたが、157円台割れから156.20台まで急落した。日曜日に報じられたバイデン大統領の次期大統領選からの撤退表明を受けて、トランプラリーが意識されたとの観測がでていた。しかし、欧州株が堅調に始まり、リスク警戒が後退すると円売りに転じた。ドル円は156.90台まで反発。その後は神経質な上下動となっている。ユーロ円は171.60近辺の高値から170.00まで下落したあと、170.90台まで戻した。ユーロドルは1.0890前後での推移。円主導の展開で目立った動意を見せなかった。
NY市場では、ドル円が157円台まで戻した。バイデン大統領が日曜日に大統領選からの撤退を表明したことが円買いの動きを強めたとの指摘があった。日本株が下落しており、リスク環境が悪化する中、これまでの円キャリー取引の巻き戻しが警戒されたようだ。先週末に米商品先物協会(CFTC)が発表したIMM投機筋の建玉報告によると、レバレッジ・ファンドが円の売り越しを3万8025枚減らし、2011年3月以来の縮小幅となっていた。9月のFRBの利下げ観測が強まっていることや、トランプ前大統領が円安に批判的な発言をしたことも背景にありそうだ。また、来週は日銀も決定会合が控えている。国債購入の更なる縮小、いわゆるテーパリングの具体策が打ち出されると見られているが、同時に利上げの可能性も一部から根強く出ている。円相場主導の展開のなかで、ユーロドルは1.08台後半、ポンドドルは1.29台前半での上下動に終始した。
(23日)
東京市場は、円買いが優勢。朝の日経報道で次期首相候補の一人である茂木・自民党幹事長が日銀に対する利上げ要求発言を行ったことがドル円、クロス円の重石となった。幹事長は「過度な円安は日本経済にとってマイナスなのは明らか、物価上昇が長期化する恐れがある」「段階的な利上げの検討も含め金融政策を正常化する方針をもっと明確に打ち出す必要がある」などとしている。先日の河野デジタル相に続いて、ここにきて秋の総裁選立候補が噂される有力議員からの利上げに向けた発言が続くことで、今月の日銀会合での利上げ期待も含め、海外勢を中心に早期の利上げ期待が広がる展開となっている。ドル円は157円付近から一時156.20近辺まで下落。ユーロ円は171円付近から170.10台まで下落した。ユーロドルは1.08台後半での10ポイントレンジにとどまった。
ロンドン市場は、円高の動きが継続。東京朝方に自民党の茂木幹事長の、過度な円安は日本経済にとってマイナス、日銀に段階的利上げ検討も含め金融政策正常化の方針をもっと明確に打ち出す必要、との発言が報じられた。これを受けて日銀利上げ観測が再燃している。ロンドン時間にも円買い圧力が継続し、ドル円は155.80台、ユーロ円169.40付近、ポンド円201.10台などへと安値を広げている。ロンドン時間にはドルストレートでのドル買いも加わっている。クロス円の下落がユーロドルやポンドドルの上値を重くしたほか、中国発のリスク警戒でドル高となる面も指摘された。資源価格下落やリスク回避に敏感な豪ドルが軟調となり、豪ドル/ドルは0.6620付近に安値を広げている。ユーロドルは1.0850台、ポンドドルは1.2880台まで下押しされた。今月末の日銀決定会合に関する思惑、米FOMCを控えてブラックアウト期間入りとなるなかでのポジション調整、米大統領選関連の思惑からのドル相場の神経質さなど、様々な要素が交錯している状況のようだ。
NY市場では、円買いが優勢。ドル円は一時155円台半ばまで下げ幅を拡大。9月のFRBの利下げ期待が高まる中、円キャリー取引の巻き戻しが続いており、ドル円は下値模索が続いている。
来週のFOMCが目先の注目だが、円相場に関しては日銀の決定会合も来週に予定されている。日銀の予告通りに国債購入減額の具体策を発表してくると見られている減額幅が焦点に。それ以上に利上げ実施の見方も一部では根強い。先日の河野デジタル相に続いて、本日は茂木自民幹事長が「金融政策を正常化する方向で着実に政策を進める方針をもっと明確に打ち出すことが必要」と語っていた。市場では今回は利上げに言及はするが、実施は先との見方が有力視されている模様。短期金融市場では0.1%の利上げを45%程度で織り込んでいる。ユーロドルは1.08台半ばへと緩やかな売りに押された。ECBについて、短期金融市場では80%の確率で9月の追加利下げが織り込まれている。ポンドドルは1.28台に軟化も、その後は押し目買いが入った。ただ、全体的にポンドドルは上値が重くなって来ており、調整の動きが続いている。市場では来週の8月1日に英中銀が利下げを開始するかで見解が分かれている。短期金融市場では利下げに踏み切ると見ている確率は40%程度。
(24日)
東京市場では、円高が止まらず。ドル円は朝方に買い戻しが入ったが155.99近辺と156円を付けきれず。その後は売りに転じて155.50割れから売りが加速、午後には154.37近辺まで安値を広げた。海外勢を中心に来週の会合での利上げ期待が広がっており、短期金利市場では約56%の利上げ織り込みと、利上げ派が据え置き派を上回っている。クロス円も軒並み下落した。ユーロ円は167.50割れ、ポンド円は199円付近、豪ドル円は101円台後半、NZドル円は91.50割れなどへと大幅安になっている。ユーロドルが1.842-1.0855レンジとなるなど円を除くと落ち着いた動き。
ロンドン市場は、根強い円高圧力が継続。ドル円は東京市場で156円付近から154.50割れまで下押しされた。特段の新規材料はみられなかったが、月末の日銀決定会合での利上げ観測が円買い圧力となっていたようだ。ロンドン序盤には下げ一服となり155円手前まで買い戻しが入った。しかし、ロイターが複数の関係者の発言として、日銀は来週の会合で利上げを検討へ、と報じると一時154.29近辺まで安値を広げた。ただ、1人の関係者は消費見通しが不透明であることを踏まえると「決定は紙一重で、難しい判断に」とした。その後は、154円台半ばから後半で推移している。また、月末会合では債券購入半減について発表される計画とも報じられており、かなりライブな会合となりそうだ。また、この日はユーロ圏と英国の7月PMI速報値が発表された。ユーロ圏が予想外に弱含む一方、英国は改善を示した。ユーロ対ポンドではポンド相場が底堅さを示している。ユーロドルは1.08台前半から半ばで下に往って来い。ポンドドルは1.28台後半から1.29台へと買い戻されており、この日の高値圏で推移している。クロス円はドル円とともに上値を抑えられており、ユーロ円は一時167.20台、ポンド円は199円台割れとなる場面があった。
NY市場では、円買いが加速。ドル円は一時153円台前半まで急落する場面があった。9月のFRBの利下げ期待が高まる中で、円キャリー取引の巻き戻しが加速しており、ドル円は下値模索が続いている。テクニカル勢も下値警戒感を強めており、新規に売りで参入しているようだ。きょうの下げでドル円は100日線を下回っており、200日線が控える151円台半ばの水準を試す展開になるか注目される。来週の日銀決定会合での利上げ動向に焦点が当てられている。市場では利上げについては協議はするものの、今回の実施はないとの見方が有力視されている。ただし、日銀が利上げを見送ったとしても植田総裁の会見などで、9月利上げにオープンな姿勢を示唆してくる可能性はありそうだ。ユーロドルはロンドン時間に1.08台前半まで下落したが、NY時間にかけては下げ渋っている。ポンドドルもロンドン時間に1.28台に一時下落していたものの、NY時間にかけて1.29台に戻す展開となった。カナダ中銀が金融政策委員会の結果を公表し、予想通りに0.25%の追加利下げを実施。これを受けてカナダドルは売りの反応を示した。声明でマクレム総裁は「インフレが緩み続ければ、追加利下げの可能性」と言及したこともカナダドルの売りを誘っていた。
(25日)
東京市場では、円が一段高となった。ドル円は前日の円高の流れを引き継ぎ、昼過ぎには5月3日以来の安値水準となり152.23近辺まで下落した。来週の日銀金融政策決定会合で利上げが議論されるとの報道を受け、円が買われた流れが継続した。また、日経平均が一時1300円超の大幅な下げとなったこともリスク回避の動きから円買いを促した。しかし、午後は下げが一服し、152円台後半まで戻している。ユーロ円は166円台後半から165.05近辺まで下落したあと、午後は165円台後半に。ポンド円は198円台後半から196.27近辺まで2円以上の下落のあと、197台を回復した。ユーロドルは1.08台半ばで、11ポイントレンジにとどまった。
ロンドン市場は、円高圧力が継続している。来週の日銀決定会合での利上げ観測が円買いを誘っている。加えて、世界的な株安の局面でリスク回避の円買い圧力も働いている状況。円高の動きが突出するなかで、リスク動向に敏感な豪ドルやNZドル、カナダドルといった資源関連通貨が軟調。ユーロやポンドの下げ相対的に小幅にとどまっている。ドル円は一時151.90台と5月3日以来の安値水準となった。神経質に売買は交錯も、足元では152円台前半と上値が重い。クロス円も円買いに押されている。豪ドル円は99円台前半、ポンド円は一時196円台割れ、ユーロ円は164円台後半まで下押しされた。欧州株や米株先物が軟調に推移するなかで、米10年債利回りも4.26%付近から4.22%付近へと低下。前日終値を上回っているのはユーロドルくらいで、ポンドドル、豪ドル/ドル、ドルカナダなどはいずれも前日終値よりもドル高水準に振れている。全般にリスク回避圧力が強い展開になっている。
NY市場では、ドルが買い戻された。この日発表の第2四半期の米GDP速報値が年率換算で2.8%のプラス成長と予想を上回り、個人消費も予想を上回った。これを受けてドル円は急速に買い戻された。米株式市場が反発していたこともドル円をサポート。ロンドン市場で151円台まで下落したあと、米指標を受けて154円まで反発と、荒っぽい展開となった。ユーロドルは買い戻しが優勢となり、一時1.0870近辺まで上昇。ただ、上値の重い雰囲気に変化はなく、1.09台を再び試そうという勢いまでは見られず。ナーゲル独連銀総裁の発言が伝わっていたが「データにサプライズがなければ、ECBは利下げができるはずだ」と述べていた。同総裁はまた、ECBの政策は会合ごとに決定され、9月に何が起こり得るか事前にコミットはできないと、ECB当局者がこれまでに表明している姿勢を踏襲している。ポンドドルはNY時間に入って緩やかに戻り売りに押されており、1.28ドル台半ばに値を落とした。英中銀による来週8月1日の利下げ期待はいまのところ五分五分で推移している。
(26日)
東京市場は、売買が交錯。ドル円は前日海外市場で154.94近辺まで下げたあと、米GDP速報値に強含みを受けて154.30台まで反発する激しい振幅がみられた。東京朝方は153.40付近まで下げたあと、仲値関連のドル買いなどで154.14近辺まで上昇。その後は再び153.50割れへと下落。昼前には154円近くまで下げ渋り。神経質に売買が交錯しているが、午後には153円台後半での推移とやや上値が重くなっている。ユーロ円は166.45近辺から167.28近辺までのレンジ。午後には166円台後半で推移した。ポンド円は197.20台から198.10台までのレンジ。ユーロドルは1.0850挟み、ポンドドルは1.2851-1.2866での小動き。全般に、前日の激しい値動きからは落ち着いた。
ロンドン市場は、円安の動き。欧州株や米株先物・時間外取引が堅調に推移していることに反応。米PCEデフレータ発表や週末を控えて、株安の流れは一服している。パリでのオリンピック開会式を目前に、フランス高速鉄道に対する破壊行為があったが、バッハ会長は開会式に影響はないと述べている。全般に落ち着いた相場展開となるなかで、ドル円は153円台後半での揉み合いを抜け出すと、高値を154.64近辺に伸ばした。クロス円も底堅く推移。ユーロ円は166円台後半から167円台後半へ、ポンド円は197円台前半から199円付近まで買われている。対ドルでの値動きはまちまち。ユーロドルは1.08台半ばを軸に振幅する一方、ポンドドルは1.28台半ばから後半へと小高い。ユーロ対ポンドでは、ポンド買いが先行も、次第に落ち着いた。この時間帯は手掛かりとなる経済指標発表はほとんどなかった。ECB消費者インフレ期待は、1年2.8%、3年2.3%とともに前回と同水準にとどまった。
NY市場でドル円は再び売りに押され、一時153円台前半まで下落する場面が見られた。前日までの急激な円買い戻しは後退し、ドル円は一時154円台に戻していたが、FRBが重要視するインフレ指標である6月のPCEデフレータが、予想通りにインフレの落ち着きを示す内容となった。個人支出も公表され、底堅い個人消費が示され、市場は9月のFRBの利下げ期待を変えていない。
執筆者 : MINKABU PRESS
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