FX/為替「ドル/円、157円の攻防へ 日銀オペ据え置きなら円売りも」 外為どっとコム トゥデイ 2024年5月23日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年5月23日8時20分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼22日(水)の為替相場
(1):タカ派のRBNZ 豪ドルは一時つれ高
(2):英CPI予想ほど低下せず
(3):英首相 7月に総選挙実施を発表
(4):タカ派的だったFOMC議事録
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:東京市場から157円の攻防となる公算/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
22日(水)の為替相場
期間:22日(水)午前6時10分~23日(木)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):タカ派のRBNZ 豪ドルは一時つれ高
NZ中銀(RBNZ)が政策金利の据え置きを決めた上で発表した声明がタカ派的と受け止められてNZドルが急伸。豪ドルも一時つれ高した。ただ、豪ドル/NZドル相場が急落したことなどから一巡後は下落に転じた。
(2):英CPI予想ほど低下せず
英4月消費者物価指数(CPI)は前年比+2.3%(前月+3.2%)と2021年7月以来の低い伸びになったものの、市場予想(+2.1%)は上回った。英政府によるエネルギー価格の上限引き下げという特殊要因を除けばインフレ圧力はなおも強いとの見方が広がり、英中銀(BOE)の早期利下げ観測が後退した。なお、BOEが注目するサービスインフレ率は前年比+5.9%と小幅な鈍化にとどまった(予想+5.4%、前回+6.0%)。変動の大きい食品とエネルギーコストを除いたコアインフレ率も、前月の+4.2%から+3.9%に鈍化したが市場予想(+3.6%)は上回った。
(3):英首相 7月に総選挙実施を発表
英国のスナク首相は7月4日に総選挙を実施すると発表。スナク首相率いる与党・保守党の支持率は低迷しており、14年ぶりの政権交代が現実味を帯びることになった。首相が敢えて劣勢の選挙に臨むことについて識者は「インフレ率が下がり、やるなら今だと考えたのだろう」との見方を示した。
(4):タカ派的だったFOMC議事録
米連邦準備制度理事会(FRB)は4月30-5月1日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録を公表。「インフレ鈍化の過程が以前の想定よりも長引く可能性がある」との認識を共有したことが明らかになった。「インフレ率が持続的に目標の2%に向かっている兆候が示されない場合は政策金利をより長期に維持する」ことを議論したとした上で、インフレ再燃リスクが顕在化すれば「政策をさらに引き締める意向があると『さまざまな参加者』が言及」したと指摘。FRBの利下げ開始が後ずれするとの見方を誘った。
22日(水)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
【情報提供:外為どっとコム】
- ※ 「外為注文情報」とは、外為どっとコムの『外貨ネクストネオ』でお取引をされているお客さまの指値やストップ注文の状況を確認できるツールのことを指します。
- ※また、高機能チャート(無料)では「取引分析」 を選択することで、チャート上に注文情報の表示が可能です。
- ※ 尚、この外為注文情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。
人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:東京市場から157円の攻防となる公算
昨日のドル/円は156円台後半へと上昇。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で「さまざまな参加者」が、インフレリスクが再燃するようなら追加利上げに前向きとの意向を示したことが明らかになると156.81円前後まで上値を伸ばした。ドル/円は、そのFOMCが開催された今月1日以来の高値を示現。同日に、政府・日銀が円買い介入に踏み切ったと見られる157円台に接近した。
157円台を回復すれば介入警戒感が再び高まることも予想されるが、本日から明日にかけてイタリアでG7財務相・中銀総裁会議が行われることを考えると、実際に介入を発動するのは難しいタイミングだろう。そうした中、本日は日銀が10時10分に通知する国債買い入れオペの金額に注目したい。本邦10年債利回りは昨日、11年ぶりに1%を付けた。この背景には、日銀による買い入れオペの減額観測があったとされている。ただ、仮に減額すれば日銀が長期金利の上昇を追認したことになり、さらなる金利上昇を招きかねない。このため本日のオペは据え置かれると見ており、円売りを誘発する可能性もあると予想している。ドル/円は東京市場から157円の攻防となる公算が大きい。なお、NY市場では前週分の新規失業保険申請件数や5月の購買担当者景気指数(PMI)が発表される。これらの結果がドル高持続のカギとなりそうだ。
注目の経済指標:各国製造業・サービス業PMI
注目のイベント:日銀国債買入れオペ
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
マネーを育てよう!をテーマに、外為どっとコム総合研究所に所属する研究員が執筆するオリジナルレポートのほか豪華講師陣の貴重なFXレポート、個人投資家や著名投資家のインタビュー記事など、バラエティ豊かな情報を配信しています。為替トレンドに合わせた特集記事やFX初心者でも安心の学習コンテンツを用意しており、個人投資家の取引技能の向上に寄与すべく活動しています。