ドル円は148円台を回復 米PPIで利下げ期待が後退=NY為替概況
ドル円は148円台を回復 米PPIで利下げ期待が後退=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となる中、ドル円は148円台を回復している。この日発表の米生産者物価指数(PPI)が予想を上回り、今週のCPI同様に根強いインフレを示したことがドル買いの反応に繋がった。一方、同時刻に発表になった米小売売上高は、予想こそ下回ったものの個人消費の底堅さは堅持している。
ただ、FRBはスタンスを変えないとの見方から、発表直後は為替市場の反応も鈍かったが、短期金融市場で6月利下げの確率が70%以下に下方修正され、今年の累計の利下げ幅も一時0.75%ポイント以下に織り込みが低下していた中で、米国債利回りの上昇と伴にドル買いが優勢となった。今週の高いインフレ指標を受けて市場も、ややこれまでの見方に黄色信号を点滅させているようだ。
ドル円は上値を拒んでいた148円ちょうど付近の売りオーダーをこなし、148.35円付近まで一時上昇。日銀の来週のマイナス金利解除観測が次第に強まる中で、明日以降148円台を維持できるか注目される。
ユーロドルは1.08ドル台に下落。一部のECB理事から、8月の夏休み前までにECBは2回利下げを実施する可能性があるのとの見解が出ていた。6月、7月の連続利下げか、4月と6月といった見立てであろう。
今週の米インフレ指標が予想以上に根強いインフレを示唆したことで、市場はFRBの利下げ期待を後退させた。しかし、ECBについては年内に計1.00%ポイントの利下げを見込んでいる状況。
ただ、ECBの利下げよりもFRBの利下げの方が、為替市場に与える影響が大きいとの指摘がストラテジストから出ていた。FRBの利下げは広範な市場により大きな影響を与えるという。その結果としてドル安が進み、ユーロドル年末までに1.15ドルまで上昇すると予想しているようだ。FRBとECBは6月に利下げに踏み切ると予想されているが、いずれも確実ではないとも付け加えた。
ポンドドルは戻り売りが優勢となり、一時1.2730ドル付近まで下落する場面が見られた。英住宅市場の持ち直しを示すデータを受けて、ロンドン時間にポンドはじりじり高となったほか、英利下げへの期待もやや縮小させていた。
利下げに対する市場のコンセンサスはなお8月利下げだが、金利見通しをより確かなものにするため、英中銀が明日発表するインフレ意識調査を待っている。
英経済が改善を続けていることから、ストラテジストはポンドの強気姿勢を崩していない。英経済の対外的な脆弱性は、対外純投資ポジションの大幅なマイナスと経常赤字の持続によって示唆されるほど深刻ではないという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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