【来週の注目材料】CPIに続く鈍化見込みもブレに注意=米PCEデフレータ
【来週の注目材料】CPIに続く鈍化見込みもブレに注意=米PCEデフレータ
11月30日10月の米個人消費支出(PCE)デフレータが発表されます。
同指標は米国のインフレターゲットの対象となる物価指標です。エネルギー価格の下落などを受けて6月分が前年比+3.0%まで低下しましたが、その後再び伸びが強まり、8月分、9月分と+3.4%となっています。この反発はエネルギー価格によるところが大きく、食品とエネルギーを除いたコア指数は6月分の前年比+4.1%から7月分が+4.3%と反発しましたが、その後は8月が+3.8%、9月が+3.7%と鈍化しています。前回の+3.7%は2021年9月分以来の低い水準となっています。
14日に発表された10月の米消費者物価指数は前月比横ばい、前年比+3.2%となり、9月分の+0.1%、+3.7%を下回りました。また、ともに市場予想値も下回る弱い伸びとなっています。食品とエネルギーを除いたコア指数も前月比+0.2%、前年比+4.0%と9月分及び市場予想値の+0.3%、+4.1%を下回る伸びとなりました。
エネルギー価格の下落が全体を押し下げました。特にガソリン価格は9月の前年比+3.0%から10月は-5.3%となり、全体を押し下げています。このところ伸びの鈍化が続く食料品は前年比+3.3%と9月の+3.7%から順調な鈍化を続けています。
コア指数の対象としては昨年11月から前年比マイナス圏が続く中古車が、前年比-7.1%とマイナスを続けました。今年5月から前年比マイナスが続く医療費も今回もマイナスでした。
コアの鈍化に関しては住居費の鈍化も大きく影響しました。伸びの鈍化が続く住居費は前年比+6.7%と9月の+7.2%から鈍化しました。住居費はCPI全体を100としたとき、34.8%と三分の一以上を占める大きな項目です。コア指数だけにかぎると43.7%が住居費が占めているだけに変化の影響が大きく出ました。
こうした状況を受けて今回のPCEデフレータですが、前月比+0.1%、前年比+3.1%とともに前回からの伸び鈍化が見込まれています。コアデフレータも前月比+0.2%、前年比+3.5%と伸び鈍化見込みとなっています。
CPIが弱く出た後ということで、市場予想通りの結果に留まった場合は市場の反応は限定的に留まると見込まれます。ただ、PCEデフレータはCPIに比べて住居費が全体に占める割合がかなり低くなっています。CPI以上に全体に占める割合の大きい医療費なども弱く出ており、コア指数の予想程度の鈍化は納得のいく水準ですが、予想ほど弱く出ない可能性には注意したいところです。やや強めに出た場合、ドル買いを誘う可能性があります。
MINKABU PRESS 山岡和雅

執筆者 : MINKABU PRESS
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