米小売売上高が強い内容 ドル円は150円を再びうかがうもその水準にはなお慎重=NY為替概況
米小売売上高が強い内容 ドル円は150円を再びうかがうもその水準にはなお慎重=NY為替概況
きょうのNY為替市場、この日発表の9月の米小売売上高が予想を上回る強い内容となり、米国債利回り上昇と伴にドル円も買いの反応が見られた。ドル円は一時149円台後半に上昇し、150円を再びうかがう動きが見られた。ただ、ドル高が強まる反応までは見られず、全体的には様子見の雰囲気が強い中で、その水準には慎重なようだ。
中東情勢は依然として緊迫化しているものの、外交努力が続いていることもあり、市場もひとまず行方を見守っているようだ。そのような中でドルと円の方向感が同じであることから、ドル円の値動きは膠着している。
今週は19日にパウエルFRB議長が講演を予定。この日の小売売上高を含めて、インフレ関連指標は根強いインフレを示唆しているものの、市場はFRBの姿勢に変化はないと見ているようだ。議長の発言も同様の雰囲気になるとの観測も広がっている。
一方、ロンドン時間に、日銀の24年度の物価見通しは2%以上に上方修正の公算大きいと伝わった。日銀が今月末に開催する金融政策決定会合で議論する最新の展望リポートで、23年度と24年度の消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)が上方修正となる公算が大きいという。報道が伝わった直後にドル円は円高に敏感に反応し、瞬間的に148円台に下落する場面が見られた。
FRBの政策が概ね固まりつつある中で、ドル円は日銀の動向に敏感になっている模様。もし、24年度も目標の2%以上であれば、持続的なインフレに該当し、少なくとも現在の超緩和策を継続する必要はないことを意味する。なお、25年度は現在の見通しである1.6%から大きく変わらない見込みだという。
ユーロドルは買い戻しが優勢となり、一時1.05ドル台後半まで戻した。本日の21日線は1.0575ドル付近に来ているが、その水準を一時回復している。
この日は10月調査分のドイツのZEW景況感指数が公表され、マイナス1.1と6カ月連続のマイナスとなったものの、予想は大きく上回った。インフレ期待の低下で予想以上にドイツ経済の景況感は改善した模様。同指標は今後6カ月間の経済情勢を示す。
発表元のZEWのワンバッハ会長は「最低点は過ぎたようだ。10月の金融市場専門家の景気予想には顕著な上昇が見られる」と述べていた。「インフレのさらなる低下への期待や、回答者の4分の3以上がユーロ圏の短期金利の安定を予想していることに起因している」とも付け加えた。
一方、中東情勢は成長見通しを下方修正する理由として回答者の一部から挙げられていたが、見通しへの影響は限定的であったという。
*ZEW景況感指数(10月)18:00
結果 -1.1
予想 -9.7 前回 -11.4
ポンドドルは一旦1.2135ドル付近まで下落したものの、一時1.22ドルちょうど付近まで切り返した。本日の21日線が1.2215ドル付近に来ており、その水準の上を再び回復するか注目される。
きょうは英国統計局(ONS)が6-8月の週間平均賃金上昇率(ボーナス除く)を発表し、前年比7.8%上昇と前回の修正値(7.9%上昇)から若干伸びは鈍化し、予想と一致した。伸び鈍化は1月以来で、ピークを打った可能性も示唆されている。一部からは、今回のデータは次回11月2日の英中銀金融政策委員会(MPC)は据え置かれるとの見方を裏付けるとの指摘も出ている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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