【来週の注目材料】中銀会合目白押し 利下げから大幅利上げまで各国の状況の差が鮮明に
【来週の注目材料】中銀会合目白押し 利下げから大幅利上げまで各国の状況の差が鮮明に
先々週の豪、カナダ、先週の米、ユーロ、日本に続いて、今週も中銀会合が目白押しとなっています。主なところだけでも火曜日の中国、木曜日のスイス、英国、トルコ、メキシコの会合が予定されています(ハンガリー、ブラジル、フィリピン、インドネシア、ノルウェーなどもあります)。
各国中銀の姿勢・状況の違いがよくわかる予想状況となっています。中国、スイス、トルコ、メキシコについて今回見ていきます。英国は18日の更新です。
利下げが見込まれているのが20日の中国人民銀行(中央銀行)です。人民銀行は13日、7日物リバースレポ金利を予想外に引き下げ、従来の2.0%から1.9%としました。引き下げは2022年8月以来です。15日には1年物中期貸出制度(MLF)を従来の2.75%から2.65%に引き下げました。これらを受けて主要政策金利とされる最優遇貸出金利(LPR:ローンプライムレート)についても、1年物を従来の3.65%から3.55%へ、5年物を従来の4.30%から4.20%へ、それぞれ0.1%の引き下げが見込まれています。
中国では国内外の需要の鈍化や、規制などの影響を受けた不動産部門の低迷などによる、景気の不透明感が懸念されており、利下げによって景気支援姿勢を示す形となっています。
据え置きが見込まれているのが22日(発表は日本時間23日午前4時)のメキシコ銀行(中央銀行)です。メキシコ中銀は前回5月18日の会合で政策金利を11.25%で据え置くことを決定しました。メキシコ中銀は2021年6月から利上げをスタートし、2023年3月まで15会合連続で利上げを実施してきました。5月の消費者物価指数は前年比+5.84%とピークの+8.7%から順調に落ちてきており、今回も据え置きが見込まれています。
大幅利上げが見込まれているのがトルコ中央銀行です。5月の大統領選に勝利し、今後5年間の政権運営継続が決まったエルドアン大統領は、新内閣にかつて財務相や副首相を務めたシムシェキ氏を抜擢。同氏はエルドアン大統領の低金利志向などに反対して対立し、2018年に政権を離れた人物。米メリルリンチでストラテジストを務めるなど、マーケットにも精通しています。さらに、中央銀行総裁として、5月に破綻したファーストリパブリックバンクで共同CEOを務めていたエルカン氏を指名。米国の大学院で金融工学の博士号を取得し、ゴールドマンサックスに約10年務めていた同氏も市場には精通しています。
新財務相・中央銀行総裁のもと、これまでの低金利路線が一気に変化するという見方が広がっています。市場の予想はかなり分かれていますが、現行の8.50%から20%-30%へ一気に引き上げるという見通しが広がっています。ゴールドマンサックスは一時的措置として40%まで引き上げるという予想を示しています。
スイス国立銀行(中央銀行)は0.25%と0.5%の利上げ見通しで見方が分かれています。専門家予想と短期金利市場での織り込みは、0.25%見通しがやや優勢となっていますが、ともに割合は60%台に留まっており、0.5%見通しが30%台とそれなりの割合で残っています。なお、スイスは年4回しか会合がありませんが、9月、12月ともに追加利上げが見込まれています。
見方が分かれていることもあり、どちらになった場合でも相場へそれなりに影響が出ると見込まれます。
MINKABU PRESS 山岡和雅
執筆者 : MINKABU PRESS
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