為替相場まとめ6月5日から6月9日の週
5日からの週は、ややドル売りが優勢。次週の米FOMCが注目されるなかで、市場では据え置き観測が優勢。一方で、7月については追加利上げ観測が優勢。そのようななかで、豪中銀とカナダ中銀がインフレ圧力を背景に予想外の利上げを実施した。豪ドルやカナダドルが買われる動きがドル売り圧力に波及する面があった。一方で、各国債券とともに米国債利回りも上昇、ドル売りにブレーキがかかる面もあった。米経済統計では木曜日の新規失業保険申請件数が予想以上の増加となったことで、雇用市場が抑制されてきているとの観測とともにドル売りが広がった。ユーロドルやポンドドルも買われて、ドルが全般的に軟調となっている。ドル円に関しては来週の日銀決定会合に関して、大規模緩和を継続するとの関係者発言もあって日米金利差拡大観測が下支えとなった。139円台割れでは買いが入る一方で、140円台では先日の三者会合の影響もあって高値警戒感で上値を抑えられた。ウクライナ南部へルソン州でのダム爆破でウクライナ情勢が再び緊迫化しているが、相場への影響は限定的にとどまった。
(5日)
東京市場では、先週末からのドル高水準での揉み合い。先週末の米雇用統計で、非農業部門雇用者数の伸びが予想を大きく超えたことを受けたドル買いの流れが継続している。ドル円は午前の取引で140.26近辺と先週末高値を上回った。日経平均が大幅高となったこととの相乗効果もあった。その後の調整も140円付近では下げ止まった。ユーロ円は150円を挟んだ振幅。ユーロドルは1.0690付近まで軟化したあと、1.07台にかろうじて乗せる限定的な値動きだった。
ロンドン市場は、ドル買い圧力が継続。ドル円主導の値動きとなり、ロンドン序盤には高値を140.45近辺まで伸ばした。米10年債利回りは3.74%台へ一段と上昇している。一方、株式市場は欧州株、米株先物・時間外取引はいずれも高安まちまちとなっており、調整の動きが交錯。ドル円は140円台前半での揉み合いに落ち着いた。ユーロドルはロンドン序盤に1.0683近辺まで下落し、小幅ながら先週末からの安値を広げた。ポンドドルはロンドン午前も上値重く推移しており、安値を1.2382近辺に更新。ユーロ円は150.20近辺に高値を伸ばしたあとは150円挟みの揉み合い。一方、ポンド円は上値が重く174円台割れから173.75近辺へと軟化している。ロンドン時間にはユーロ買い・ポンド売りのフローが入っている。ただ、この日発表された独仏ユーロ圏の非製造業PMI確報値はいずれも下方改定された。英非製造業PMI確報値は若干の上方改定だった。また、週末のインタビューでブイチッチ・クロアチア中銀総裁は、インフレリスクは依然として上振れしている、との認識を示していた。
NY市場では、ISM非製造業景気指数を受けてドル売りが強まった。ISM指数は50.3と判断基準の50寸前まで低下し、これまで力強さを維持していた米サービス業の景況感にも黄色信号が点灯し始めていることが示された。仕入れ価格は2020年5月以来の低水準となった。市場は先週末の米雇用統計を受けて、来週のFOMCは据え置きを有力視しているものの、7月は追加利上げを見込んでいる。本日の数字はFRBが一旦様子を見る必要があることを促す内容。このところの上昇でドルの上値が重くなっていただけに、一気に見切り売りが出た格好。ドル円は一時139円台前半まで急落した。ユーロドルは1.07台に買い戻された。きょうはラガルドECB総裁が欧州議会で証言を行っていたが、インフレ圧力はなお根強く、金利を一段と引き上げる必要があるとの認識を示していた。ポンドドルも一時1.24台半ばまで買い戻された。市場からは、英賃金の伸びを抑制するには労働者の増加だけでなく、利上げが必要になるとの指摘が出ていた。
(6日)
東京市場では、豪ドルが買われた。豪中銀政策金利がサプライズとなった。大方の予想に反して25bpの利上げとなり、豪ドル高となった。前回5月の会合後、今回の会合では金利据え置きという見通しが広がっていた。豪ドル/ドルは0.6625前後から0.6681まで、対円では92.45近辺から93.14近辺まで上昇した。その他主要通貨は落ち着いた動きとなるものが多くユーロドルは1.07台前半の23ポイントレンジ。ポンドドルは1.24台での30ポイントレンジにとどまった。ドル円は139円台半ばを挟む推移が続いた。いずれも前日米ISM指数を受けたドル安圏での取引だった。豪ドル/ドル上昇に引きずられてややドル売り優勢も値幅は限定的。
ロンドン市場は、ドル買いと円買いが優勢。ロンドン序盤までは予想外の豪中銀利上げを受けた豪ドル買いの影響でドル売り圧力が優勢だったが、ロンドン時間に入るドル買いに転じている。ウクライナ情勢が再び緊迫化しており、欧州株などが上値重く推移、リスク回避圧力に。また、ECB消費者インフレ期待調査では「インフレ期待が著しく低下、前月の上昇の大部分を戻している」としており、ユーロ売りにつながった面も。クノット・オランダ中銀総裁はインフレ目標に戻ること確認するまで引き締めを継続とこれまでの主張を展開したが、これはステップ・バイ・ステップのやり方で行うべき、とやや慎重さもみられた。ユーロドルは1.0730付近まで買われたあと、1.0680台まで下落。ユーロ円も149.60付近から下放れて一時149円台割れとなった。ポンドドルは1.24台半ばから1.24手前水準へ、ポンド円は173円台後半から172.70付近まで下押しされた。ドル円は売りが先行して139.10近辺まで下落した後は、クロス円の下げ渋りとともに139.40台に反発。
NY市場では、ドル買いが優勢。ドル円は買い戻しが強まり、一時140円手前まで買い戻された。前日は弱い米ISM非製造業景気指数をきっかけにドルの戻り売りが強まり、ドル円も139円台前半まで下落。140円を再び割り込んでいたが、下値でのドル買い意欲も根強い中、ドル円は水準を維持している。一部からは、ドル円は今年に入ってから日米の長期ゾーン利回りの格差よりも短期ゾーンの格差とより密接に連動しているとの指摘も聞かれる。これは来週の日銀決定会合よりも、FRBの決定の方が大きな影響を与える可能性が高いことを示しているという。ユーロドルは1.06台に再び下落。ECBの政策金利のピークが9月ではなく7月前倒しになると考える理由は僅かながら増えている。ポンドドルは一時1.23台に下落した。21日線で上値を抑えられた格好となっており、戻り売りの流れが続いている。
(7日)
東京市場では、ドル円の頭が重い展開。一時139.10台まで下落した。日経平均が600円弱の下げで引けるなど株安の動きがリスク警戒の円買いを誘った。前日140円を付けきれずいったんドル安・円高となっており、短期筋のポジション調整を誘った面も。ユーロ円は朝の149.39近辺から148.60台まで、ポンド円は173.50台から172.80台まで下落した。目立った動きを見せたのがトルコリラ。東京時間にもかかわらず朝からリラ安が優勢で、対ドル、対円での史上最安値を更新している。連日のリラ安のなかで投資家のポジション調整が入ったとの観測もきかれた。
ロンドン市場は、ドル安・円安の動きが優勢。東京市場では日経平均の急落を受けて円高・ドル高とリスク回避の動きがみられたが、ロンドン市場では流れが反転している。きっかけとなったのがOECD世界経済見通し。今年の世界経済成長予測が上方修正されている。特に英国は従来のマイナス成長見通しからプラス成長へと引き上げられている。売りで始まった欧州株は下げ渋っており、英FT指数は上げに転じている。為替市場ではユーロドルが1.06台後半に下押しされていたが、反転上昇して1.07台を回復。ユーロ円も148円台後半から149円台に乗せ、東京市場での下げを解消。ポンドドルは一時1.24台割れも、その後は1.2450超えに高値を更新。ポンド円は172円台後半に下押しされたあと、173円台半ば超えに高値を伸ばしている。ユーロ対ポンドではユーロ買い優勢からポンド買い優勢に転じた。ドル円は下げ一服。東京市場からの下げでは139円台は維持されており、ロンドン時間には139円台半ばを試した。トルコリラは再び最安値を更新した。トルコ当局が為替介入姿勢を弱めるとの見方が広がっている。
NY市場で、ドル相場は振幅。序盤はドル売りが先行したものの、次第に買い戻しが優勢に。ドル円は140円台に上昇した。カナダ中銀が予想外の利上げを実施したことで米国債利回りが上昇しており、ドルをサポートしている模様。来週のFOMCは据え置きが予想されているものの、きょうのカナダ中銀の決定を受けて、FRBも予想外の利上げを実施してくるのではとの思惑も出ているようだ。短期金融市場では80%程度だった据え置きの確率が65%程度に低下している。ユーロドルは買いが優勢となり、一時1.07台半ばまで戻していた。しかし、NY時間に入って次第にドル買いが優勢となったことから、一時1.06台に値を落とした。ポンドドルは一旦1.25ドルちょうど付近まで上昇していたものの、NY時間に入ってからのドル買い戻しで、一時1.24台前半まで伸び悩んだ。カナダ中銀が予想外の25bpポイントの利上げを実施した。カナダ中銀は持続的な需要超過と予想を上回る第1四半期のGDP、そして、最近の総合インフレの上昇を理由に挙げている。カナダ中銀は明らかにインフレが許容できる時間内に目標に戻らないと以前よりも懸念している。注目すべきは、ガイダンスで追加利上げへの言及がなかったことだが、市場では7月も追加利上げがあるのではとの期待も高まっており、カナダ円は104円台後半まで上昇する場面があった。
(8日)
東京市場は、ややドル安。前日NY市場でのドル高の動きに調整が入った。カナダ中銀が予想外の利上げを発表、その後の米債利回りの上昇でドル高が進行した経緯がある。ドル円は139円付近から140円台に乗せた。東京市場では午前に140円を挟んだドル高圏で推移したが、次第にドル売り・円買いに押されて午後には139.60台へと軟化した。日経平均の続落も重石に。ユーロドルは朝方に1.07台割れとなったが、東京勢の本格参加後には1.0710付近へと上昇。底堅く推移している。ユーロ円は149.60付近から149.80付近で振幅した。ロンドン早朝にかけてトルコリラが再び最安値を更新している。
ロンドン市場は、ドルが小安い。ユーロドルは1.07付近でサポートされると1.0730台へと上昇。ユーロ円は欧州株の下げ渋りもあって149.60近辺から一時150円台乗せへと上昇。これに対して、ポンドは伸びを欠いており、ポンドドルは1.2440付近から1.2480付近まで買われたあとは1.2450台へと押し戻されている。ポンド円は174.40付近まで買われたあとは174円台前半での揉み合いに落ち着いている。対ユーロでポンドは上値重く推移している。この日発表された第1四半期ユーロ圏実質GDP確報値は前期比マイナス0.1%と改定値プラス0.1%から下方修正された。2期連続のマイナス成長となり、テクニカル・リセッションとなった。ただ、ユーロ売り反応は見られず。ドル円は東京午後からの揉み合い水準を踏襲して139.60台から139.80台での静かな取引が続いている。米10年債利回りは3.80%付近と前日終値水準を挟む動きにとどまっている。前日の値動きに対する調整の色合いが濃い展開となっている。
NY市場では、ドル売りが強まった。米新規失業保険申請件数が労働市場の軟化を示唆したことから、米国債利回りの低下とともに売りが膨らみ、ドル円は138円台に下落した。ユーロドルは1.07台後半へと再び買われ、ポンドドルは1.25台半ばへと上伸。米新規失業保険申請件数は26.1万件と前回の23.3万件から増加。2021年10月以来の高水準の増加となり、企業のレイオフ発表が実際の雇用削減につながり始めた可能性が示唆されている。前日はカナダ中銀が予想外の利上げを実施したことから、カナダ債と伴に米国債利回りも上昇し、ドル円は140円台を回復していた。カナダ中銀の利上げで来週のFOMCへの思惑が高まった格好で、短期金融市場では利上げの確率を若干上昇させている。それでも30%程度で、据え置きと見ている向きが圧倒的に多い。
(9日)
東京市場は、リスク選好の円売りが優勢。前日の米株高を受けて日経平均が大幅反発、為替市場では円売り圧力が広がっている。ドル円は朝方の138.76近辺から上昇基調で推移、139円台乗せから午後には139.39近辺まで高値を伸ばしている。クロス円も全般に堅調。ユーロ円は149円台後半から150円台前半へ、ポンド円は174円台半ばから175円台乗せを試す動き。豪ドル円は93円台前半から後半へと上伸している。一方、ドル相場自体は揉み合い。ユーロドルは1.0770-1.0780台の狭いレンジに高止まりしている。
ロンドン市場は、ややドル買いが優勢。前日のNY市場でのドル売りに対する調整が入っている。ドル円の買いが先行し、一時139.73近辺まで上昇。ドル売りへの調整に加えて、関係者が来週の日銀決定会合でのYCCなど緩和策の維持を確認したことが円売り圧力となった面があった。ただ、NY市場を控えて買いも一服し、139円台半ばに落ち着いている。ユーロドルは1.0780付近から一時1.0750台へ、ポンドドルは1.2570付近まで買われたあとは1.2530台まで軟化する場面があった。欧州株は売りが優勢だが、下げ幅は限定的。全般に週末調整のムードとなっている。クロス円は序盤の円安局面でユーロ円が150.40台、ポンド円が175.20台へと買われたあとは値動きが一服している。トルコリラは再び最安値を更新している。新中銀総裁が任命され、政策の正常化が期待されているが、為替市場では引き続きリラ売り圧力が優勢。ノルウェークローネが堅調。この日発表された同国のインフレ指標が強含んだことが利上げ観測につながった模様。
NY市場では、朝方カナダ雇用統計の予想を超える弱さを受けたリスク警戒の動きにドル売りとなった、米債利回りの低下などがドル売りを誘い、ドル円は139円00銭台を付けた。大台を維持して切り返すと、139円60銭前後が重くなり、その後は落ち着いた動きとなった。来週の米FOMCなどを睨み、週末越えのポジション作成に慎重。落ち着いた動きとなった。雇用統計後に対ドルで一時急落したカナダは、その後発表前の水準に戻した。行き過ぎた動きへの警戒感、今週の中銀会合でのサプライズ利上げ後のカナダ買い基調などが見られる。
執筆者 : MINKABU PRESS
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