【これからの見通し】米欧インフレ指標に注目、米PCEデフレータの鈍化具合が焦点に
【これからの見通し】米欧インフレ指標に注目、米PCEデフレータの鈍化具合が焦点に
きょうはユーロ圏消費者物価指数速報値と米PCEデフレータが発表される。いずれも今後の金融政策の行方に大きな影響を与えるものとして注目度が高い。
ユーロ圏については昨日にスペインやドイツの最新のCPIが発表されており、参考となる。3月スペインCPIは前年比+3.3%と前回の+6.0%から大幅に低下した。カレンダー効果を上回る減速となっている。一方で、コア前年比は+7.5%と前回の+7.6%からわずかの低下に留まっている。ヘッドラインの低下が市場にインパクトを与えたが、コア指数は引き続き粘着性が強かった。
3月ドイツ消費者物価指数は前年比+7.4%と前回の+8.7%から伸びが鈍化した。ほぼ予想通りの数字となっていた。事前に各州ごとの数字が同傾向を示していたことから市場の反応は限定的だった。
そして、きょうのユーロ圏消費者物価指数の発表となる。市場予想は前年比+7.1%と前回の+8.5%からの鈍化が見込まれている。一方、コア前年比は+5.7%と前回の+5.6%をやや上回る見込みで、引き続き根強いインフレ圧力が確認されそうだ。上記のように、ユーロ圏については事前の情報量が多く、サプライズはなさそうだ。
2月米PCEデフレータは、ユーロ圏と比較すると新規性が強い。前年比+5.1%と前回の+5.4%から伸びの鈍化が予想されている。コアデフレータは前年比+4.7%と前回と同水準が予想されている。3月14日に発表された2月米消費者物価指数は前年比+6.0%と前回の+6.4%から伸びが鈍化していた。コア前年比は+5.5%と前回の+5.6%からの若干の伸び鈍化にとどまった。CPIとPCEデフレータの結果で異なる傾向が示されるようだと、市場のサプライズを呼びそうだが、予想段階では極端な結果は想定されていない。
発表後には短期金融市場の金利見通しの変化をチェックしておきたい。現時点での市場センチメントはややECBのタカ派度合いを強くみており、ユーロドルの下支えとなっている。この動きに変化があるのかどうかがポイントとなろう。
このあとの海外市場で発表される経済指標は、フランス消費者物価指数(速報)(3月)、ドイツ雇用統計(3月)、スイス小売売上高(2月)、イタリア消費者物価指数(3月)、ユーロ圏雇用統計(2月)、ユーロ圏消費者物価指数(HICP)(概算値速報)(3月)、南アフリカ貿易収支(2月)、ブラジル雇用統計(2月)、カナダ実質GDP(1月)、米個人所得・支出(2月)、米PCEデフレータ(2月)、米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)(3月)、米ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)(3月)などが予定されている。
発言イベント関連は米欧金融当局者の予定が多い。ECB関連では、カザークス・ラトビア中銀総裁、ビスコ伊中銀総裁、ラガルドECB総裁、ブイチッチ・クロアチア中銀総裁など。米金融当局者は、ウィリアムズNY連銀総裁、クックFRB理事などが金融政策および経済について講演を行う。
minkabu PRESS編集部 松木秀明

執筆者 : MINKABU PRESS
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