ドル円は132円台に反発 金融システムへの懸念はひとまず一服=NY為替概況
きょうのドル円は買い戻しが優勢となり132円台に反発した。前日は一時130円台半ばまで下落する場面が見られていたが、UBSによるクレディスイスの買収および主要中銀による流動性供給強化の発表で金融システムへの懸念はひとまず一服しており、ドル円も買い戻しが強まっている模様。
きょうからFOMCが始まっており、明日結果が発表されるが、今回の件でFRBがどう対応してくるか確認したい雰囲気も強い。それに向けたポジション調整も出ているようだ。利上げは実施されるものの、FRBはこれまでよりは慎重なトーンも示し始めるのではとの見方も出ているようだ。
ターミナルレート(最終到達点)の予想も下方修正の動きが出ており、短期金融市場では明日を含めて0.25%ポイントの利上げをあと2回実施して利上げサイクルを一旦停止するとの見方を織り込んでいる。
明日はFOMCメンバーの金利見通し(ドット・プロット)も公表されるが、今年末の見通しの中央値が12月時点と同様に5.125%(5.00-5.25%を示唆)となるか注目される。
ただ一部からは、FRBはECBのように金融問題とインフレとの闘いを明確に区別するため、ドットプロットを上方修正するリスクを市場は過小評価しているとの声も聞かれる。ドットプロットが上方修正されれば、逆に金融市場における現在の警戒感が薄れ、FRBが依然としてインフレとの闘いに注力していることを示すことになるという。
ドットプロットの中央値は12月の5.125%から5.375%(5.25-5.50%を示唆)へと上方修正させる可能性があるという。
ユーロドルは買い戻しが続いており、一時1.07ドル台後半まで上昇した。1.08ドル付近にはオプション絡みなどの売りも観測されているようだが、突破できれば、今年の高値1.10ドル台を目指す展開も期待される状況。
ドルの戻り売りもさることながら、ECBの利上げ期待がユーロの下値を支えている面もある。しかし、先週のECB理事会を受けて、少数派であるが、ECBは先週の利上げで当面最後になる可能性があるとの見方が出ている。
ECBは先週の理事会で2023年第2四半期以降の利上げについて言及せず、声明でもデータ依存を強調し、今後の連続利上げの示唆から距離を置くことで、ハト派的なトーンへの顕著な変化が見られたという。それは今回の利上げが最後となる可能性を示す重要な変化だと指摘している。
ポンドは戻り売りに押されている状況。市場では今週の英中銀金融政策委員会(MPC)に関して見方が分かれており、それを警戒したポンド売りが出ているとの指摘も聞かれる。
0.25%ポイントの利上げが優勢となっているが、短期金融市場では据え置きの観測も相当程度出ている。明日は2月の英消費者物価指数(CPI)が公表されるが、それが答えを提供してくれるのかもしれない。
ただ、英中銀の利上げは以前からピークが近いと見られている。今回は予想通りに利上げを実施したとしても、早期の利上げ一時停止を示唆してくる可能性があり、いずれにしろポンドは売りの反応との見方もあるようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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