ドル円は戻り売りが強まる ただ、ドル買いは根強い=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は戻り売りが強まり、一時135円台に値を落とした。一方、ドル買いも根強く後半には136円台に戻す展開。市場では円安期待が再び台頭しており、ドル円は142円まで上昇する可能性まで指摘されている。ドル高期待が根強いほか、日銀の本格的な緩和解除が当初の想定よりも遅れる可能性を挙げていた。136.20円でロングポジションを形成し、ターゲットは142円、ストップは132円を推奨している。
植田日銀総裁候補は先週の所信聴取で、賃金上昇の十分な裏付けを得ることの重要性を強調していた。つまり、今後数カ月間にインフレが減速し始め、政策調整への市場の期待がさらに下方修正される余地があるという。この場合、FRBやECBといった主要中銀との金融政策の格差拡大に対する新たな期待が高まり、円は他の通貨にアンダーパフォームし続ける可能性が高いとしている。
また、ドル円の水準は市場が予想するFRBのターミナルレート(最終到達点)を考慮すると、まだ低過ぎるようだとも指摘。為替にとって重要な点は米国の強い経済指標に対応して、FRBが何をするかよりも、海外の中銀がどう反応するかだとも指摘した。
ユーロドルは後半になって伸び悩み、1.05ドル台に下落している。ただ、きょうは一時1.06ドル台半ばまで上昇するなど買い戻しも見られていた。今月のユーロドルは下向きの流れを強めていたが、月末になってその動きも一服し、短期筋のショートカバーが出ていた模様。ただ、ドル高期待も根強い中、ユーロドルは下値警戒感が強まっている。1.05ドル割れは時間の問題との声も多い。
その一方で、3月2日木曜日に発表される2月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値でコアインフレが加速する可能性が高く、その場合、ユーロは上昇の反応を示すとの見方も出ている。コアインフレが上昇すれば、ECBは次回発表の経済見通しで、今年のコアインフレの見通しを上方修正する必要性に迫られ、ECBが利上げサイクルの減速に市場を誘導する余地が小さくなるという。3月のみならず、5月のECB理事会でも0.50%ポイントの利上げの議論を非常に活発化させるはずだとも指摘している。
ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報(2月)2日19:00
予想 0.6% 前回 -0.2%(前月比)
予想 8.4% 前回 8.6%(前年比)
予想 5.4% 前回 5.3%(コア・前年比)
ポンドドルも一時1.21ドル台を回復していたが、後半になって1.20ドル台半ばまで伸び悩む動き。本日の21日線は1.2095ドルに来ているが、その水準を一時上回っていたが、再び上昇トレンドを強め、1.25ドルを目指す雰囲気までは見られない中、戻り売りに押された格好。
ポンドドルは昨年12月から概ね1.19-1.24ドルの間を上下動する展開となっているが、現在はそのレンジ内に収まっている状況で、次の大きな展開待ちの雰囲気に変わりはない。
前日に英国とEUは北アイルランドの新たな貿易協定に関して合意した。これは市場にとっても歓迎すべきことだが、金利見通しが最も重要であるポンドに持続的な影響を与えることはないとの指摘も出ている。英経済への直接的な影響も大きくはないはずで、市場は恐らく双方の貿易関係における融和的なステップのみを歓迎しているという。
英中銀が引き続きポンドの最も中心的な推進力で、英金利は3月以降も上昇させる必要があるとの見通しから、他の景気に敏感なプロシクリカル通貨よりもポンドは回復力があることが証明される可能性があると指摘している。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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