衝撃的な米雇用統計でドル急伸 ドル円も131円台に急伸=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドルが急伸。ドル円も買い戻しが強まり、131円台に急伸した。この日発表の米雇用統計の衝撃的な数字が前日までの市場の雰囲気を一変させている。1月分の米雇用統計で非農業部門雇用者数(NFP)が51.7万人増と予想(19万人増)を大きく上回ったほか、失業率も3.4%に低下した。NFPは前回分も上方修正されている。注目の平均時給もなお高い水準。
パウエルFRB議長は今週のFOMC後の会見でタカ派姿勢を強調していたが、市場は年内の利下げ期待を温存していた。しかし、きょうの米雇用統計は完全にFRBのタカ派姿勢を裏付ける内容となり、市場も年内利下げ期待などのハト派な雰囲気を後退させている。
ドル安を見込んでいたショート勢からの買い戻しが強まり、ドル円は本日安値から280ポイント超急伸する場面も見られた。
ユーロドルは戻り売りが強まっている。米雇用統計発表前は1.09ドル台半ばで推移していたが、1.07ドル台まで急落した。前日はECB理事会が開催され、大方の予想通りに0.50%ポイントの利上げが実施された。ECBは高インフレと景気後退の相反に直面しているが、高インフレへの懸念が景気後退懸念を上回り、今週のECB理事会ではタカ派が勝利を収めた。ラガルド総裁は3月の0.50%ポイントの利上げにコミットしていた。
市場からは、3月に0.50%の利上げを実施後、5月には中銀預金金利だけを0.25%ポイント引き上げ3.25%とし、その後は過去の利上げの影響を評価するために休止期間を設けるとの見方も出ている。リスクフリー資産の金利上昇は実体経済が直面する借入コストにまだ十分反映されておらず、金利上昇は特に南欧諸国において、経済と財政に試練を与えることになるという。
ECBには債務危機に対処する能力はまだ備わっていない。TPIは導入が困難で、イタリアの債務がもたらす安定へのリスクに対処できない可能性があるとも指摘している。
※TPI(Transmission Protection Instrument)
一定の基準の下、正当化できない金利差拡大抑制のために国債等を買い入れる枠組み。
ポンドドルは1.20ドル台半ばに急落。きょうの下げで21日線を下放れする展開となっており、目先は心理的節目の1.20ドルと、本日1.19ドル台半ばに来ている21日線が下値メドとして意識される。
市場は、前日の英中銀金融政策委員会(MPC)の決定で、利上げ期待を他の中銀よりも縮小させ、ポンド安を招いているという。今週のFOMCとECB理事会は市場に利上げ期待を後退させるよう促したが、最も調整させたのは英中銀だという。
英金利市場は、英中銀がターミナルレート(最終到達点)を4.50%まで引き上げると予想していたが、現在は3月か5月の0.25%ポイント利上げで終了を見込んでいるに過ぎないという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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