ドル円は135円台に下落 景気後退への懸念で株安、原油安、利回り低下=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は戻り売りが優勢となり、再び135円台に下落した。朝方発表になった米PCEのデータが予想を下回ったことで、インフレへの懸念が一服。また、米株式市場に売りが強まったことや、米国債利回りの低下、原油相場が下落していることもドル円の戻り売りに繋がったようだ。米10年債利回りは一時3%を下回っている。
前日は137円ちょうどまで上昇する場面が見られたものの、本日は期末とあって、積み上がったロングポジションの調整が出ていた可能性もありそうだ。後半には135円台半ばまで下落している。
米経済は年末にリセッション(景気後退)に向かう可能性が高いとの指摘が聞かれる。第4四半期と2023年第1四半期の米GDPはともに縮小し、米経済は年明けに景気後退に直面する可能性が高いとしている。インフレが個人消費を圧迫し、投資が金利上昇で打撃を受け、労働市場は悪化する可能性が高いという。可能性は低いと思われるが、米消費者にさらなる財政刺激策が提供され、FRBが予想よりも緩やかな引き締めになることも考えられる。しかし、それではインフレを抑制できず、長期的にはあまり最適ではないという。
ユーロドルは下に往って来いの展開。ロンドン時間にはドル買いが優勢となり、1.04ドルを割り込む場面が見られていた。しかし、朝方発表の米経済指標を受けてドルの戻り売りが強まったことで、ユーロドルはロンドン時間の下げを取り戻す展開となった。1.04ドル付近は今年に入ってからの下げ相場でも強いサポートとして機能しているが、きょうも押し目買いが入りサポートされている。
ユーロに関してはECBの利上げが注目されているが、ECBはFRBよりも大きな課題に直面しており、ユーロは上昇に苦戦するとの見方も出ている。ウクライナ危機とNATO拡大により投資環境は厳しくなる中で超低金利により、ユーロ建ての運転資金やバランスシートのエクスポージャーはヘッジしやすい環境にあり、ユーロ売りが出易い状況にあるという。そのような中、例えECBが7月に0.50%ポイントの利上げの可能性に言及し始めたとしても、ユーロはそれほど上昇しない可能性があるという。
ポンドドルも買い戻しが見られ、1.21ドル台後半まで上昇。NY時間の朝方には1.20ドル台に下落する場面も見られていた。市場では英経済の先行き不透明感が広がっており、今年の英成長は3.4%、2023年は0.6%に留まるとの見方が出ている。2023年第1四半期にかけて、四半期ごとの成長は平均して横ばいに留まり、テクニカル的なリセッション(景気後退)のリスクも高まると予想している。
一方、インフレについては、今年は高水準で推移するものの、負のベース効果、経済成長の低下、失業率の上昇、原油などの商品価格の低下により、2023年には急速に鈍化するという。英中銀は次回8月の金融政策委員会(MPC)でも利上げが見込まれているが、それで利上げは一旦停止する可能性もあるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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